7.第五話 『ポーションがおかしい!?』 前
私は茫然とした。
「うっそ……」
畑に種を植えて一週間。全部が収穫期を迎えてしまった。
どうして一気に育つの?
それも葉物も根菜も果物も全部。
「え、花ちゃん何かした?」
『いや知らんし』と葉をパタパタとされた。
「じゃあ、一木さん?」
『こんなものでは?』と幹を傾げられた。
そういうものなの? ダンジョン。
これ、食糧自給率の根底覆しちゃわない?
日本、完全自給自足できちゃうぞ。
「いや、できてるだけってことも……」
早熟だと、しっかり栄養が実に行かずにスカスカということも多い。
私は野菜の素人だし、果物はもっと知らない。
とりあえず、赤く熟れたトマトをもぎって、かじった。
「うんまぁ~い!!!」
この酸味と風味!! うめぇぞ、こりゃうっめぇぞ!!
きゅうりを試した。
瑞々しい……青臭くない。なにこの清涼感……
漬物。漬物にしないと……!!!
くそう、きゃべつはどうだ!?
ああ、くそう、これもうまい!!!
生でこれほどうまいなら野菜炒めにしたら主役になっちまうぞ!!!
大根!! 甘い!!!
ナス!! ジューシー!!!
カブ!! 味が濃い!!!
ダメだ、全部美味しい!!
ちくしょう、果物はどうだ……
まずはリンゴ。
「……え?」
蜜がぎっしり。甘い、甘すぎるよぉ。
スーパーで買うやつじゃないよ。高級な贈り物のやつ!!!
ミカンも甘い!!
イチゴも、止まらない!!!
レモンは酸っぴいぃぃぃ。
「はぁはぁ……」
畑仕事の大半が収穫になってしまった。
放置したらまた虫や病気を呼び寄せてしまう。
毎回籠から溢れちゃうし、駄目にしちゃうのはもったいないから、保存食にできるだけ加工する。
食べる、加工する、食べる、加工する。
元々小食だったけど、不思議と苦しくはなかった。
ただ明らかにこれまでの私とは摂取カロリーが違い過ぎて、違和感がある。
仕事して疲れてるから?
太ったかな? 鏡……コンパクトの割れてらぁ。
まぁ、服が入ればいいか。
加工作業の方が大変だ。
漬物樽がもう三つ埋まったし、ジャムは棚を埋め尽くしている。
もうそれだけで一日終わっていく。
なんだ?
食品生産工場か?
私は何に備えてんだ?
ちなみにここに冬はない。
なんか質素に暮らそうとしてたのに、食卓が豪華だ。
引きこもるにあたり、買いだめていたカップ麺の箱はもう全く消費していない。
けど、おかしいのは畑だけじゃなかった。
「瓶とか樽とか買いだめないとなぁ。この野菜とか売ればいいかぁ……もう荷車欲しいなぁ」
ちょっとね、小屋と外を行ったり来たりしていて、両手塞がってたからお行儀悪いけど脚で開けたのよ。
「どっこいしょういち」
扉が吹っ飛んだ。
「なんじゃこりゃ」
土で作ったから崩壊してる。
とりあえず土魔法で扉を作り直した。
そしたらカチカチの板ができた。
もうカッチンコッチンで黒い鉄みたいだ。
「なんじゃこりゃ……」
とりあえずできちゃったもんはしょうがないので扉を取り付けた。
壁が耐えきれず崩壊し、ドシンとカチカチの扉が倒れた。
「なんじゃ……」
大きく空いた家の入口の前で茫然とした。
えぇ、泣きそう。
一先ず……魔力回復ポーションを飲んで、また壁を修復しないと。
ポーションを飲んで壁を作り、ポーションを飲んで壁を作る。それを繰り返していて違和感を覚えた。
魔力が減ってない……?
私は思い切って家の壁全部を一気にカチカチにしてみた。
つい10日前まで一枚のぼろぼろの壁一枚が限界だったのに。
考えられる理由は一つ。
「まさか……私の農作物の力?」
だって、私のステータスは10年変化してないし。
変化しそうな経験値も、この間魔蟲を一匹駆除しただけだし。
それしか考えられない。
すごい。
いやでもだとしたら、ダメだ。
こんな作物、下手に売れないじゃん!!!




