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2.第一話 『救世主はダンジョンにいる』後

 



 農家の朝は早い。

 起きてすぐ、くっついている花ちゃんと農園を見回る。

 おお、今日もいい天気だべさ。


 大体なにもないけど、なんか農家っぽいので大事な習慣だ。


『深緑の魔女』様の御社に、奉納。

 採れたての果物なんかを適当に。


 顔を洗ったりカンタンな身支度をして、花ちゃんを引きはがす。

 ずっと起きているのだが、花ちゃんたちは日が昇っていないときは省エネモードなのだ。


「おはよう」


 一木さんを見つけて、あいさつし、二人に水を掛ける。

 さぁ、目覚めよ!!

 二人がシャキーンとなると、それぞれ朝の仕事に取り掛かる。

 私はまず畑の雑草を根絶やしにする。

 魔法で、土の肥やしになってもらう。

 それから収穫。

 花ちゃんは蟲を。その後収穫に合流。

 花ちゃんは台車がお気に入りだ。

 一木さんは朝食の準備。収穫物のいくつかはそのまま料理に持っていかれる。


「わぁいいにおいだね」


 一仕事を終え、ご機嫌な朝食をいただく。

 ちなみに我が家の朝食はもっぱら和食だ。


 黒田米が我が家に来て以来、お米の美味さに二人が気づいてしまった。お米がトレンド入りだ。

 一木さんの窯の熟練度と合わさり、悪魔的な美味さが私たち魅了してやまない。

 うず高く盛られた白米をかきこむ幸せ。


 営業部村からお魚も調達して、焼き魚も。

 お味噌汁は野菜ゴロゴロタイプ。


 朝食をいただいたら、みんなで洗い物を片付け、ポーション作りだ。

 仕込んでいた薬草を元に、ノルマ分を生産。

 作ったポーションは一木さんの審査を経てラベリングされていく。

 その間、花ちゃんがお洗濯をしてくれる。


 一仕事終えたら、営業部村の一つへ足を運ぶ。

 ポーションの補充を日中の内に済ませ、帰りがけにいろいろお買い物する。

 お金は無いので、作物とか。求められるものはそれぞれ違うので、ペットボトルだったり、要らない雑誌だったりもする。


 そこでビックリしたのだけど、一木さんがいた。


「あれ? よく似た別人?」


 触腕を振ってる。本人だった。


「一木さん、私より速くこっち来たの?」


 フルフルと触腕を振った。

 あれ? スマホは?


 なになに? 『あっちも、こっちも私』?


 一木さんが増えた。

 いや、そういうこともあるのか。植物型だし。

 やけに村の発展が早いと思っていたけど、一木さんが関係していたのかな?


 農園に戻るとやっぱり元の一木さんがいた。


【あっちは分体】

「じゃあ、二木さんだね」

【あっちも私】

「だって、紛らわしいし」

【二木さん……】


 ピンと来ていない一木さん。

 もしかして、各村に三木さんや四木もいるの?


 レポートに書いておきましょう。

 でもその前にお昼だ。

 お昼ご飯は、私が作ったりする。

 料理をしないと腕が鈍ってしまうからだ。


「どう?」


 二人共『食べれなくはないよ』と気を使ってくれるが、不評である。

 元々、料理自体不得意じゃなかったんだけど、最近は自分でもひどいと思う味だ。


 一木さんに監修してもらってもダメだから、たぶんスキルの影響かな。


 ジャムや漬物も、今は一木さん担当。


 お昼過ぎから夕刻まで、私はレポートを書いたり、薬草の仕込み。


 それから、雑誌を読んだりする。


「へぇ、『深緑の魔女』様は猫を飼ってるんだって」

【飼ってないと思う】


 こうやって、情報もちゃんと得ている。

 私が朝が早く、夜はすぐに寝るのも、雑誌の情報からだ。

『深緑の魔女』様は、夜中現れるそうな。

 かち合いたくないので、夜は家から出ない。


 夕飯は一木さんの挑戦の場。

 今日はピッツァ!

 うちの作物、窯と相性が良い。私と花ちゃんも手伝う。


「ねぇ見て」


 生地を回転させて、均等に伸ばすわざ、できるの。


【遊ばないで】


 怒られた。

 あるのに! 本当にあるのに!


 たらふく食べて、満足したら入浴。寝る準備だ。


 良い子は寝ないと、『深緑の魔女』が来ちまうぞ~。

 キャー!! などと花ちゃんと一木さんを脅す。鼻で笑われた気がする。


 怖いので鍵を閉めて、花ちゃんを抱きしめ、布団をかぶって寝る。


 私が寝た後、緑のダンジョンでは様々なものたちが活動を続けているのだろう。

 日が昇り、出歩いていると昨日は無かったドロップアイテムなんかが手に入ることがある。

 ラッキー、などと思ってはいけない。

 たぶん誰かの落とし物だ。

 杖とか、斧とか、カバンとか。

 転がっている人とか。


「遺留品、今日は多いな」


 いちおうダンジョンなので、死人も出る。

 私が見つけた時はダンジョンの外に出してあげている。

 来世でお幸せに。南無―。


「うわ、まただよ……今日は多い」

『~~~』

「うわ、生きてる!」


 すごくたまに生きたまま転がっている人もいるので、ポーションかけて外にだしておく。

 5人。

 きっとパーティが壊滅したんだ。かわいそうに。強く生きるのよ。


「じゃ、お大事に」

「なぜ、助けル?」


 一人起きてしまった。

 ちょっと訛っている。

 外国人かな?


「アディオス、アミーゴ!」


 私は立ち去った。

 

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ほのぼの暮らし(他にとっては死地の戦々恐々なフィールド)
ふたきさんかな? にき?
 ネット環境が有れば天国。
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