187 Epilogue1 ── たとえ、そうであったとしても
──三か月後。
僕はとあるエルフの村で、スッカさんとドーサさんと、無事再会を果たし──。
──それから更に一年後。
ドーサさんの故郷に至る果てしない道のりを、なんとか踏破し、彼女の同族たちから温かい歓迎を受けていた。
──そこから時は更に流れて数年後。
僕には“三つの宝”が出来ていた。
僕はスッカさんと結婚し、ドーサさんの故郷の近くのドワーフの村に新居を構えた。
生計は夢にまで見た白魔法……で立てることは、残念ながら叶わなかった。
努力は続けたが、あるレベルで成長が止まり、稼業として成立させることが出来なかったのだ。
僕は代わりに“用心棒”の道を選んだ。
世間的に聞こえは悪いが、これは高レベルの僕にしか勤まらない──僕にでも出来そうな──数少ない仕事の一つだった。
森に棲む魔物や、時折亜人狩りにやってくるヒト族から、ドワーフたちを守る生業だ。
時には、亜人達のレベル上げの手伝いなどもやっている。
ここが自分のニッチなのだと見定めて、死に物狂いで頑張った。
楽しい仕事ではないが、商売や素材集めに村を出るドワーフたちの護衛を務め、魔物を撃退したり、悪意を持った人族を追い払ったり。奮闘すれば、多くの亜人たちに感謝され、敬意を払って「次もよろしく!」などと肩を叩かれ、その度に心が温かい何かに満たされた。
思えば仕事で、誰かに喜ばれるなんて、生まれて初めての経験だ。
そして、僕はスッカさんとの間に、第一子を授かっていた。
ジャミング症候群の人間が、子供を生すことへの理非曲直──その是非は……非常にデリケートな問題で、大きな声では言及し辛い……。
我が子が……万が一、障害を持って生れて来たら…………誰だって胸が張り裂けるような悲痛に襲われるに違いない。“こんなことなら、生むんじゃなかった!”そう思う人だっているだろう。
だが、仮令そうであったとしても──自分の欠点を自覚して、生きる場所を選び抜き、努力を怠らず、周囲の人間に対する尊敬と、そして感謝の念を欠かさなければ──ジャミング症候群でも幸せになれるという確信を──僕はいつの頃からか、自然と抱くようになっていた。
僕は多くの親がそうであるように、我が子を愛し、大切に育てた。
ドーサさんは、村の幼なじみのエルフの男性と結婚した。
彼女も僕らの子供が生まれたのと同じ年に、第一子を出産し、今ではドーサさんとスッカさんはママ友だ。




