186 また逢いたいので、最終決戦8 ──この世界で
──気が付くと、左半身がなんだか熱い。
パチパチという、火が爆ぜる音が聞こえる。
そして、腰や肩、後頭部に痛みと冷気を感じた。
瞼を開けると、左側には緑色の炎を上げる不思議な焚き火が目に映る。
そして──僕を心配そうに覗き込む、ハヤナの瞳。
ハヤナは僕が目を覚ましたのを確認すると、直ぐ様外に飛び出した。
スッカさんたちへの伝令に向かったのだろう。
彼女の後ろ姿を見送りつつ、砂漠の地下室で僕がヒー太に託した伝言が、うまく伝わっていたことに安堵する。
ハヤナもよく、この洞窟を見つけたものだ。
きっとヒー太やシロたちが、必死で説明してくれたのだろう。
そして……そんなヒー太やハヤナの尽力も嬉しいが……
なにより……一番は……!
…………生き返れて、よかったぁ…………つ! とうことだ。
以前、【神木】に会いに行った時、【再出発の火】はどうなったのかと聞いたのだ。
そしたら──“あと一、二回は使えると思う”、というなんとも心許ない返事が返ってきて…………。
本当にここに戻れるのか、不安で不安で仕方がなかった。
乾坤一擲の大勝負──一か八かの賭けだったのだ。
なので……! 本当に生き返れて良かったぁ……っ!
・
・
・
長い間、寝転がったままの状態で、一人、幸運を噛みしめる。
その後、僕はゆっくりと立ち上がり。緑の炎を見下ろしながら……白鳥との闘いに思いを馳せた。
──そもそも、闘う必要なんてあったのだろうか? 話し合いでなんとか出来なかったのか? いや駄目だろう! などと、考え出すと止まらない。
だけど、そんな堂々巡りな一人相撲は自然と収まり、気が付くとスッカさんの笑顔が瞼の裏に浮かんでいた。
彼女達とは、とあるエルフの村で落ち合うつもりだ。
二、三日後にはハヤナが彼女たちにそれを伝え、きっと二人は待っててくれることだろう。
なんとしてでも辿り着かねば。
そんな決意とともに洞窟の入口に、視線を向ける。
暗闇を丸く切り取ったような、その白い光を見て思う。
『──この世界で──生きていこう──』
入り口に向かって、ゆっくり歩みを進めると。
水色の空と、白い雲が──光の中から、滲むように形を現す。
湿った岩肌の匂いに太陽の匂いが微かに混じり、僕の鼻孔をほんの僅かに擽った。
確固たる誓いを胸に、僕は外に飛び出した。
外の世界の眩さに、思わず目を眇める。
僕はもう一度、自分自身に宣言するように心の中で呟いた。
『──この世界で──生きていこう──』
──この場所に来たあの日と同じように、頭上には太陽がギラギラと輝いていた。




