185 また逢いたいので、最終決戦7 ──微笑みの杖
矢が放物線の頂点を通り過ぎ、重力に引かれて、その鏃をほんの少し下に下げる。
矢が僕の方に向かって、落下を始めた。
その様子を見ながら、僕は立膝の状態から立ち上がり──。
白鳥と……彼の部下達に付与したスキルの解除を始めた。
まずは【Hate】だ……
一つずつ、確実に解除しよう。パニックになっていはいけない。
次は、【社会性低下】……
矢が迫って来るのが、スローモーションのようにはっきり見える。
落ち着いて解除を続ける。
【注意力低下】……
矢の群が迫る。
【想像力低下】……
前方の赤土に、ズドンッ! という音を立てて、矢が深々と突き刺さる。
【運動神経低下】……
耳のすぐそばをビュンッという風切り音とともに弓矢が掠め、耳朶から鮮血が飛び散った。
【器用低下】……
矢が、右大腿部を貫通する。
「ぐbfmlんq4-、lんgだおj───ッ!!!」
声にならない声を上げ、だけど痛みを懸命に堪えながら、スキルの解除を続ける。
【パニック】……
二本目の矢が左足首を貫く。
「ヒッhmhsg89:@」あw:@おbsd───ッ!!!」
拳を握り、歯を食い縛る!
【物忘れ】……
三本目の矢が、腹部に刺さった。
「ヌh場hあひー0うht9--─ッ!!! おおおおーーー腸ーーーー!!!」
目を見開き、気狂いのような奇声を上げながら、白鳥に視線を定める。
【HUP】……
四本目の矢が、左肩を撃ち抜いた。
「g─ܔথ念إく˥܀猿ਆᅃ₢ネΩℲ℉谷ⅆ▤⌲苦⌲⌲oらgq9──────ッ!!!」
──その瞬間、スッカさんの笑顔が瞼の裏に鮮やかに浮かび上がった。
その“彼女の微笑”を、杖のようにして、僕はなんとか意識を保つ。
……【NR】!
最後のスキルの解除を終えると、膝から地面に崩れ落ち──。
直後。
無数の矢が僕の背中に、剣山の如く突き刺さる。
僕は心に握っていたスッカさんの──“微笑みの杖”を……名残惜しくも手放した…………




