表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
187/193

184 また逢いたいので、最終決戦6 ──単純な物理攻撃に対応出来ない


 ──六日目。


 僕が脳みそをフル回転させて、打開策を見つけ出すべく苦悶していると、昼過ぎだろうか? 遠くから地響きが聞こえてくる……


【遠見】スキルを発動させて、鉄格子の向こうに目を凝らす。

 すると、応援部隊らしき神聖騎士団の中隊が、土煙を上げながら真っ直ぐこちらに向かって来る最中だった。



 自主的に来たのか──あるいは白鳥がなんらかの手立てで、連絡を付けたのか…………



 白鳥が数名の部下を引き連れて、中隊を出迎えに駱駝を走らせる。

 僕の馬車の遥か遠くで、白鳥たちと中隊が接近すると、両者の駱駝は歩速を緩めて脚を止めた。



 ──残念ながらこの距離では、僕のスキル──【プレコックス感】等の属性付与の射程外だ……。


 

 白鳥は駱駝を降りて、爽やかな笑みを浮かべつつ、歓迎するような動作で軽く片手を持ち上て、応援部隊の部隊長らしき人物を出迎えようと、彼の方へ一歩、足を踏み出した──その瞬間。

 部隊長は白鳥の方を見向きもせず、突然、大声を張り上げた。



「魔導士隊! ってぇぃぃぃっぃぃぃ!!」



 十数名からなる魔導士隊と呼ばれた各隊員は、色鮮やかな魔法弾を次々と撃ち放った。



 こちらに向かって飛んで来た! と思った瞬間、魔法弾は着弾し、僕の乗っている馬車を吹き飛ばす。


 強い衝撃と共に、鉄製のドアが痛ましい音を立てて軋み、その空隙から僕は外へと放り出された。


 視界が上下左右に何度も反転。

 赤土の上──ようやく、僕の身体が仰向けになって停止した。と同時に、息が止まるような鋭い痛みを全身に覚える。


 僕は手枷、足枷をされた状態のまま、半ば無意識に【白魔法】を発動させた。

 痛みがすこしやわらぎ、身体にわずかばかりの力が戻る。


 仰向けに寝転がった真上には烈日。焼けるような空気。少し湿ったサバンナの大地から立ち上る、微かな土の匂いが意識に触れた。


 僕は大地に手を突いて、慌てて上半身を起こし、白鳥たちの位置を確認すべく、首を振ろうとした瞬間──部隊長が再び、怒声を発した。



「弓隊! ってぇぃぃぃっぃぃぃ!!」



 その声に弾かれるようにして、僕は膝を突いて身体を起こした。



 応援部隊の弓隊が、僕に向けて大量の矢を放つ。


 無数の矢が一瞬で空を覆い、先ほどまであれほど澄んでいた青空が、嘘のように昏く翳った。



 僕はどうすることも出来ず、呆然とするほかない……。


 白鳥の方に視線をぐと、彼もまた、急に何をするんだ! と言わんばかりの表情で固まっている……。



 そんな中、部隊長が再び叫んだ。 



「陛下の勅命だ! この世界の清浄と正常を保つため、異物を速やかに排除するのだぁ!!  奴を絶対に王都へ入れるなぁ!! 国王の神聖な住処をかげすことだけは、断固死守だーー!!」




 大量の矢が放物線の頂点に達するのを見ながら、僕は出来ることを考えた。













 だが、何もない……。




 元々、僕の保有スキルは、こうした単純な物理攻撃に対応出来ないものばかりなのだ。



 為す術なしだと、諦めた僕の視界の端に、硬直したままの白鳥の姿がチラリと映った。

 そして、彼のその引き攣った表情からは、“ちょっと待て! こんな筈ではなかった!”、というような心の叫びが見て取れた。


 まさか、この場で僕を処刑するとは、夢にも思わなかったのだろう。

 同じ世界、同じ職場から来た人間の死を、彼が望む筈も無い……。


 あるいは彼には、王都に着いたら、僕の減刑を願い出るような──そんな算段があったのかもしれない。

 今となっては、確かめる術もない訳だが…………。



 だがその代わり、僕は今すべきことを見いだせた。

 白鳥のその表情を見て、思い出せたのだ──そのことに感謝だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ