182 また逢いたいので、最終決戦4 ──Hang up Phone
──翌朝。
ほとんど一睡も出来ないまま、夜が明けた。
曙光の眩さが目に痛い。
そして──ステータス・ウインドウを確認すると、大半のユニーク・スキルのレベルが上昇していた。
有効射程が100メートル近くまで伸びている……
恐らく昨日、スキルを多用したためだろう。
今のスキル・レベルは、こんな感じだ。
“【物忘れ(レベル24→26)】──付与された人物の“物忘れ”の頻度が激増。【注意力】激減。──有効射程:《《25→80m》》”
“【パニック(レベル25→27)】──付与された人物が些細なことで“パニック”になる。──有効射程:《《25→90m》》”
“【器用低下(レベル26→28)】──付与された人物の【器用】が1まで低下。──有効射程:《《25→90m》》”
“【運動神経低下(レベル24→27)】──付与された人物の【運動神経】が1まで低下。──有効射程:《《25→80m》》”
“【想像力低下(レベル23→26)】──付与された人物の【想像力】が1まで低下。──有効射程:《《25→70m》》”
“【注意力低下(レベル24→26)】──付与された人物の【注意力】が1まで低下。──有効射程:《《25→80m》》”
“【社会性低下(レベル27→29)】──付与された人物の【社会性】が1まで低下。──有効射程:《《25→90m》》”
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“【Hate(レベル22→28)】──あらゆる生命体の強い怒りを呼び起こすスキル。──有効範囲:3→5km。
※属性付与が可能。《《属性付与有効射程:60→100m》》”
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“【HUP(レベル22→25)】──Hang up Phone。電話をしても、電話に出てもらえないスキル。
※属性付与が可能。《《属性付与有効射程:60→120m》》”
“【NR(レベル22→25)】──No Return。メールをしても、返事が返ってこないスキル。
※属性付与が可能。《《属性付与有効射程:60→120m》》”
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これらのスキルを使って、どうやってこの危地を抜け出すか……
白鳥は交渉でどうにかなる相手ではない。
話し合うと負けは必定。必ず彼のペースに巻き込まれる。
だけど絶対に勝てない相手でも、このまま無様にやられる訳にはいかない……
どうせ死ぬなら、せめて一寸の虫にも五分の魂があることを示したい。
僕は再び、考えを巡らせた。
なにか、この状況で出来ることはないのか…………?
一人、馬車の中であーでもない、こーでもないと呻吟していると、遠くから人の話し声が聞こえてきた。
声の方に視線を向けると──僕をぐるりと、遠巻きに取り囲むように設営されている神聖騎士団のテントの一つから、人影が出て来る。
【遠見】スキルを発動させると──白鳥が朝早くから電話のような魔道具で、誰か偉い人と話をしているようだった。
職場で電話をしている時のように、時折ペコリペコリと頭を下げている。
僕は咄嗟に【HUP】※を白鳥に放った──ギリギリ有効射程圏内だ。
※Hang up Phone──電話をしても、電話に出てもらえないスキル。
すると突然、電話を切られた白鳥が、ハテナ? という感じで小首を傾げた。
遠目で見ていると、なんだかかわいい。
彼は再び電話を掛け直したが、何度掛けなおしてもすぐに電話が切れてしまうため、それを魔道具の故障だと思ったらしい白鳥は、やがて諦めテントの中へと姿を消した。
こんなものでも多少の時間稼ぎになる筈だ……この間になにか有効な手段を考えねば……




