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ノワールナイト  作者: Dai
第三章 壮絶決戦編

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第42夜 反撃

――監獄。

「くそっ……」

蓮は、鉄格子を握り締めた。

「早く……ここから出ないと……」

「無駄だ」

隣にいた警官が口を開いた。

「ここには、囚人たちが看守として配置されている。脱獄なんてできるわけがない」

蓮は唇を噛んだ。

「……それでも、ここから出なければならない」

その時、別の警官が口を開いた。

「だが……ここから出る方法が、一つだけある」

「……何ですか?」

「ゲームに参加して、それに勝つことだ」

「ゲーム……?」

警官は、牢屋の外を指さした。

そこには、一人の大男が立っていた。

「奴を倒すんだ」

蓮は大男を見つめた。

「そんなことですか……」

「待て。話は最後まで聞け」

警官は真剣な表情で続けた。

「ただ戦うんじゃない。挑戦者は目隠しをされ、耳栓もされる。視界と聴覚を奪われた状態で、あの大男に立ち向かわなくちゃならない」

「……!」

「それが、ここから出るための唯一の方法だ。これまで何人もの男が挑戦したが、全員こっぴどくやられたよ」

その時、一人の警察官が前に出た。

「……俺がやる」

「おい、やめておけ!」

「黙って見ていられるか!」

警察官は目隠しと耳栓を装着し、闘技場へ向かった。

「始め!」

合図と同時に、大男が動き出す。

警察官は相手の気配を感じ取ろうとした。

しかし――

ドゴッ!!

「ぐあっ!」

強烈な一撃を受け、警察官の体が吹き飛ばされた。

立ち上がろうとするが、大男の追撃を受け、そのまま地面に倒れ込んだ。

「そこまで!」

警察官は、仲間たちに運ばれていった。

蓮は、その様子を静かに見つめていた。

そして蓮は、ゆっくりと立ち上がった。

「……やります」

「おい、正気か!?」

警官が声を上げる。

「その怪我で勝てるわけがない!」

「早く、ここから出ないと……」

蓮は大男を見据えた。

「俺が止めなければ、影都が破壊される……」

そして、決闘を申し込んだ。

――監獄内の闘技場。

蓮は目隠しをされ、耳栓を装着された。

目の前には、大男が立っている。

「始め!」

合図と同時に、大男が動いた。

蓮は気配を感じ取ろうとする。

しかし――

ドゴッ!!

「ぐあっ!」

腹部に強烈な一撃を受け、蓮の体が吹き飛ばされた。

「がはっ……!」

立ち上がろうとする。

だが、再び大男の拳が襲いかかった。

ドゴッ!!

蓮は地面に倒れた。

「そこまで!」

決闘は、あっけなく終わった。

それでも蓮は諦めなかった。

腕立て伏せを繰り返し、腹筋を鍛える。

そして、再び挑戦した。

だが――

「ぐあっ!!」

二度目も、敗北。

蓮は地面に倒れ込み、動けなくなった。

「おい、もう無茶はよせ!」

神崎たちが駆け寄る。

しかし、蓮は意識を失ってしまった。

――暗闇。

蓮は、静かな空間に立っていた。

その先に、一人の男がいる。

「……父さん!」

黒崎恒一だった。

恒一は、蓮を見つめた。

「蓮……お前は何を焦っている?」

「早くここから出ないと、黒羽に街を破壊される……! 多くの命が奪われるんだ!」

蓮は声を荒らげた。

「だから、早く出なければ……!」

「まずは落ち着くことだ」

「落ち着いてなんかいられない!」

「蓮!」

恒一の声が響いた。

蓮は、思わず口を閉じた。

「……」

恒一は、静かに告げた。

「お前に、そんな荒い戦い方を教えた覚えはない」

蓮は俯いた。

「これまでの戦いを思い出せ」

恒一は、まっすぐに蓮を見つめた。

「お前はノワールナイトだ」

そして、穏やかな声で続けた。

「自分を信じて戦え。目が見えなくとも、音が聴こえなくとも、お前なら必ずやれるはずだ」

蓮は顔を上げた。

「まずは自分を取り戻し、落ち着いて戦え」

恒一は、少しだけ笑った。

「お前は俺の自慢の息子だ……」

「……父さん」

「必ず……やれる」

そして――

「正義を忘れるな……」

恒一の姿が、少しずつ遠ざかっていく。

「父さん……?」

蓮は手を伸ばした。

「父さん! 待って!」

しかし、恒一は止まらない。

「まだ、父さんと話したいことがたくさんあるんだ! 待ってくれ! 父さん!」

蓮の声が、暗闇に響き渡った。

だが、恒一の姿は、やがて見えなくなった。

――監獄。

「……っ!」

蓮は、勢いよく目を覚ました。

「はぁ……はぁ……」

荒い息を繰り返す。

「……夢……?」

蓮は、しばらく天井を見つめていた。

やがて、ゆっくりと拳を握り締める。

「……俺ならやれる」

蓮は立ち上がった。

「俺は……父さんの息子だ」

そして、再びゲームへの参加を申し込んだ。

「またやるのか……?」

神崎が驚いたように尋ねる。

「ああ」

蓮は、静かに答えた。

「今度は大丈夫です」

そして、警官たちに頭を下げた。

「いろいろとありがとうございました。ここを出たら、助けを呼んできます」

その表情には、先ほどまでの焦りはなかった。

――闘技場。

再び、蓮は目隠しをされ、耳栓を装着した。

目の前には、あの大男が立っている。

「さあ……来い」

合図と同時に、大男が動いた。

蓮は、じっと構えた。

焦らない。

相手の動きを感じ取る。

床を踏みしめる振動。

迫りくる気配。

大男の足音が、一瞬だけ止まった。

次の瞬間、床を強く踏み込む振動が伝わってきた。

蓮は、その瞬間を待った。

そして――

大男が拳を振り下ろした瞬間、蓮は身をかわした。

拳が空を切る。

蓮は、その腕を掴んで体勢を崩した。

大男の体が傾く。

「……今だ!」

蓮は、その腕を離さず、相手の懐へ踏み込んだ。

そして、相手の腕を引きながら体をひねる。

大男の巨体が、バランスを崩して前のめりに倒れ込んだ。

蓮はその勢いを利用し、素早く背後に回り込む。

そして――

大男の首に足をかけ、地面に押さえ込んだ。

大男が必死にもがく。

しかし、蓮は離さなかった。

その時、歓声が上がった。

「いけー! いけー! いけー!」

「やれー!」

「勝てー!!」

警官たちも、思わず声を上げていた。

やがて――

大男の動きが止まった。

「勝者……ノワールナイト!」

その瞬間、再び歓声が上がった。

「うおぉぉぉぉ!!」

「やったぁぁぁぁー!!」

「勝ったぞー!!」

蓮は目隠しと耳栓を外し、ゆっくりと立ち上がった。

「……よし」

息を整え、鉄格子の向こうを見据える。

「これで、ここから出してもらう」

しかし――

「そう簡単に出させるかよ」

囚人たちが、蓮の前に立ちはだかった。

蓮は拳を握り締める。

「……やるしかないか」

その時――

「待たせた……」

背後から、聞き覚えのある声が響いた。

蓮が振り返る。

そこには、相馬と小郷勇気が立っていた。

「相馬さん……! 小郷さん……!」

相馬は、蓮を見て笑った。

「小型ドローンで追跡したんだ」

「そうだったのか……」

蓮は、二人を見つめた。

「相馬さん、無理しない方がいい」

「バカ言うな」

相馬は鼻で笑った。

「こんなチンピラどもぐらい、一人でも余裕だ」

蓮は、思わず小さく笑った。

小郷も、警棒を構える。

「蓮くん、行くぞ!」

相馬が拳を握る。

蓮も、静かに構えた。

三人が並び立つ。

そして――

囚人たちが、一斉に襲いかかった。

相馬が敵を蹴り飛ばす。

小郷が警棒で相手の攻撃を防ぐ。

蓮も、残された力を振り絞って戦った。

三人は互いに背中を預け、囚人たちを次々と倒していく。

やがて、囚人たちは地面に倒れ、動かなくなった。

「……よし」

相馬が周囲を見渡す。

「急ぐぞ!」

三人は、捕らえられていた警官たちを解放した。

――監獄の外。

大きなトラックが停車していた。

「全員、乗れ!」

相馬の声に、警官たちが次々と荷台へ乗り込む。

神崎と小郷も続いた。

「俺は自分のバイクで行く」

蓮は、相馬たちを見つめた。

「その方が早い」

相馬は短く頷いた。

「分かった。無茶はするなよ」

全員が乗り込んだことを確認すると、相馬は運転席に乗り込んだ。

エンジンが唸りを上げる。

トラックは走り出した。

目指すは、影都。

残された時間は、あと二十四時間。

ノワールナイトの反撃が、今、始まろうとしていた。

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