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ノワールナイト  作者: Dai
第三章 壮絶決戦編

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第36夜 復活

――銀行強盗が起きる前。

警察署。

会議室。

神崎隼人は、一枚の紙を手にしていた。

そこには、ノワールナイトに関する真実が記されている。

神崎は何度も口を開こうとしては、言葉を飲み込んでいた。

今度こそ、皆に話すべきだ。

そう決意し、立ち上がる。

「皆さん。話したいことがあります」

会議室にいた警察官たちが、一斉に神崎へ視線を向けた。

「現在、失踪中のノワールナイトのことについてですが……」

「何? 見つかったのか?」

「そうじゃない……。ノワールナイトの警官殺し、実は……」

その時だった。

会議室に電話の音が響いた。

警察官の一人が受話器を取る。

「何だと? 銀行強盗?」

室内の空気が変わった。

「これで今月に入って3回目になります」

神崎は、手にしていた紙を静かに見つめた。

また、話せなかった。

――夜。

街を走る数台のバイク。

その後ろには、人質が乗せられていた。

武装した強盗たちは、警察の追跡を振り切ろうと、猛スピードで走り続ける。

その後方から、パトカーが迫っていた。

「これで何回目の強盗だ……」

運転席の先輩警察官が、ハンドルを握りながら呟いた。

「それも、ただの強盗じゃない。並外れた身体能力を持った武装集団……」

先輩警察官は、前方を睨んだ。

「おそらくRAVENの部隊だ。俺たち警察だけで捕まえられるかどうか……」

助手席に座る小郷勇気は、逃げ続ける強盗たちを見つめていた。

「やはり、ノワールナイトが完全に消えてからの犯行ですね」

「何?」

「まるで、こうなるのを待っていたかのような……計画的な犯行です」

勇気は拳を握った。

「やっぱり、この街にはノワールナイトが必要みたいだ……」

「バカを言うな!」

先輩警察官が声を荒らげた。

「奴は警官殺しだ。将来ある若い警官の命を奪った、最低な奴だ……」

ハンドルを強く握りしめる。

「今度こそ、我々だけで対応できることを見せつけるチャンスだ!」

その頃――。

逃走を続ける強盗たちは、バイクの後ろに乗せていた人質を突き落とした。

人質は地面に倒れ込む。

強盗たちは振り返ることなく、走り続けた。

その瞬間――。

一本のワイヤーが伸びた。

最後尾を走っていた強盗がバイクから引き離され、宙吊りになる。

「なっ……!?」

残った強盗たちは、そのまま逃走を続けた。

黒いバイクが現れる。

その姿を見た者は、まだ誰もいなかった。

ノワールナイトだった。

ノワールナイトは地面に倒れた人質へ視線を向ける。

「……」

人質が無事なのを確認すると、再び強盗たちへ目を向けた。

黒いバイクが走り出す。

逃げ続ける強盗たちを追いかけるノワールナイト。

その時――。

一台のパトカーの横を、黒いバイクが猛スピードで通り過ぎた。

「なっ……!?」

運転していた警察官が目を見開く。

「今のは……!」

勇気は走り去る黒いバイクを目で追った。

「黒いバイク……まさか!」

前方を走る黒い影。

「ノワールナイトか!」

勇気の声が弾んだ。

「ついに現れたぞ……!」

ノワールナイトはバイクに搭載された銃を構え、逃走する強盗たちのバイクを撃った。

銃弾を受けたバイクがバランスを崩す。

強盗はバイクから転げ落ち、地面を転がった。

ノワールナイトはバイクを止めると、降りて強盗へ歩み寄った。

「何が狙いだ……」

強盗の胸元。

そこには、黒い鳥の紋章があった。

閉じた翼と、鋭く突き出したくちばし。

そこには、獲物を狙う暗殺者のような鋭さがあった。

ノワールナイトは、その紋章を見つめる。

「……やはり、お前たちはRAVEN」

強盗を見下ろす。

「なぜ銀行ばかりを襲う?」

返事はない。

「今まで何をしていた……?」

その時だった。

パトカーのスピーカーから声が響いた。

『ノワールナイト!』

ノワールナイトが振り返る。

『ついに見つけたぞ! そこでおとなしくしていろ!』

パトカーが接近してくる。

ノワールナイトは一瞬だけ警察の方を見た。

そして、再びバイクにまたがった。

エンジンが唸る。

黒いバイクは、夜の街へと走り出した。

「逃がすな!」

先輩警察官が叫ぶ。

「ノワールナイトを追うぞ!」

「待ってください! 今は銀行強盗を追うべきじゃ……」

勇気が制止する。

「どっちが俺たちの手柄になる!」

先輩警察官は勇気を睨みつけた。

「今はノワールナイトが優先だろ!」

「しかし……!」

「警官殺しのノワールナイトを発見! 標的はノワールナイトに変更!」

先輩警察官は無線を手に取った。

「全員、追跡を開始しろ!」

そして、不敵に笑った。

「さあ、始めるぞぉ。一世一代のショータイムだ!」

その隙に、残った強盗たちは姿を消していた。

ノワールナイトは、警察に包囲されていた。

「もう逃げられんぞ! ノワールナイト!」

警察官たちが一斉に銃を構える。

「袋の鼠だ! 覚悟しろ!」

ノワールナイトは周囲を見回した。

前方にも、左右にも、警察車両。

逃げ道はない。

ノワールナイトは静かにバイクを後退させた。

そして、背後にそびえるビルへと車体を向ける。

「何をする気だ……?」

警察官たちが見守る中、ノワールナイトはバイクを走らせた。

その瞬間――。

バイクからワイヤーが射出され、ビルの屋上に引っ掛かった。

ワイヤーが張る。

黒いバイクは、そのままビルの壁面を駆け上がっていった。

「なっ……!?」

警察官たちが目を見開く。

壁面を駆け抜けたバイクは、屋上へ到達した。

ノワールナイトはバイクを止めると、前方の塀へ銃を向けた。

銃声が響く。

塀が砕け、道が開けた。

ノワールナイトはハンドルに手をかける。

そして――。

ジェットモードのスイッチを押した。

バイクの両側から翼が展開する。

「何だ、あれは……!?」

警察官たちが見上げる。

ノワールナイトはアクセルを回した。

黒いバイクが屋上を走り出す。

そして、ビルの端から飛び出した。

「飛んだ……!?」

ノワールナイトは中央のハンドルを握りしめ、機体を操縦する。

夜空へと滑空する黒い影。

ビルからビルへ。

そのまま街の上空を駆け抜けていった。

やがて、黒いバイクの姿は夜の闇へと消えていった。

「くそっ! あともう少しだったのに!」

警察官が悔しそうに叫ぶ。

「何なんだ、あのバイクは……!」

勇気は、遠ざかる黒い影を見つめていた。

そして、少しだけほっとしたように苦笑いを浮かべた。

――翌朝。

テレビのニュース番組。

画面には、夜の街を走る黒いバイクが映し出されていた。

『昨夜、3年ぶりにノワールナイトが姿を現しました!』

『警察が追跡しましたが、ノワールナイトは現在も逃走中です!』

映像には、ビルの間を駆け抜ける黒いバイクが映っていた。

――警察署。

神崎は、その映像をじっと見つめていた。

「あれは……ノワールナイトか……」

神崎は静かに呟いた。

相馬モータース。

相馬はテレビを見つめていた。

「何をやってるんだ、お前は!」

相馬の怒声が響き渡った。

「お前が目立ってどうする! 強盗たちを逃がしてしまっただろ!」

蓮は黙っていた。

「復活したはいいが、楽しんでないか? 今の状況を……」

「そんなことより……」

蓮が口を開いた。

「奴らは、やはりRAVENの部隊だった」

相馬の表情が変わる。

「なぜ銀行ばかりを襲うのかは分からない。今回、情報は何も掴めなかったが……これから調査する」

「RAVENが相手なら、さすがのお前も厳しいだろうな」

相馬は蓮を見つめた。

「身体がなまってるんじゃないか?」

「相馬さん……」

「まずは、鍛え直してやる」

蓮は相馬を見つめた。

そして、小さく頷いた。

「ああ」

夜の街に、再び黒い影が戻ってきた。

しかし、その帰還を歓迎する者ばかりではない。

そして、RAVENの暗躍は、まだ始まったばかりだった。

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