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ノワールナイト  作者: Dai
第一章 伝説の誕生編

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第15夜 夜の騎士の戦い

廃工場。

男は暗闇を睨んでいた。

「……誰だ?」

返事はない。

ただ――

カツン。

靴音が響いた。

男が後ずさる。

「誰なんだ!」

暗闇から、一人の男が姿を現す。

黒いスーツ。

黒いマスク。

腰には黒い刀。

そして――

胸元には、黒い羽根の紋章。

「ノワールナイト……」

男の顔が青ざめた。

ノワールナイトは少女を見る。

椅子に縛られ、怯えている。

「……大丈夫だ」

低い声で告げる。

少女は目を見開いた。

「……お兄ちゃん?」

ノワールナイトは小さく頷く。

「助けに来た」

その言葉を聞いた瞬間、少女の目から涙がこぼれた。

「……怖かった……」

「もう大丈夫だ」

ノワールナイトは少女から視線を外し、男を見る。

「その子を返せ」

「ふざけるな!」

男がナイフを取り出す。

「近づくな!」

ノワールナイトは動かない。

「その子には手を出させない」

「だったら――」

男が襲いかかる。

キィン!

ナイトブレードが閃いた。

男のナイフが弾き飛ばされる。

「ぐっ!」

男は床に倒れ込む。

「くそっ!」

奥から別の男たちが現れる。

「こいつ一人だ!」

「囲め!」

複数の男たちが一斉に襲いかかる。

ノワールナイトは少女の前に立った。

そして――

ワイヤーガジェットを放つ。

バシュッ!

一人の足を絡め取り、転倒させる。

続いて、迫ってきた男の腕を掴む。

「ぐあっ!」

そのまま投げ飛ばす。

ドンッ!

別の男が背後から襲いかかる。

ノワールナイトは振り返らず、ナイトブレードの柄で男の腹を打ち抜いた。

「ぐっ……!」

男が崩れ落ちる。

残った男が叫ぶ。

「こいつ……化け物か!」

ノワールナイトはゆっくりと振り返る。

「違う」

一歩、前へ出る。

「ただの人間だ」

男が怯える。

「なら……なんで俺たちを邪魔する!」

ノワールナイトは答える。

「お前たちが、罪のない人間を傷つけるからだ」

男が殴りかかる。

ノワールナイトはその拳を受け止めた。

「俺の力は――」

拳を捻り、男を床へ叩きつける。

「悪を倒すためにある」

男は動かなくなった。

廃工場に静寂が戻る。

ノワールナイトはナイトブレードを鞘に戻した。

少女のもとへ向かう。

そしてーー

ノワールナイトは少女の前にしゃがみ込んだ。

「もう怖くない」

少女の縄を切る。

自由になった少女は、ノワールナイトに抱きついた。

ノワールナイトは一瞬驚いた。

「もう大丈夫だ」

少女の目から涙がこぼれる。

「……ありがとう」

その手を見て――

昼間に見た仕草を思い出す。

「さっきのサイン……」

少女が顔を上げる。

「どうして、あんなことをした?」

少女は少し黙ったあと、答える。

「前に……助けを求める時は、こうするんだって教えてもらったの」

「……そうか」

「勇気を出したな」

そして――

少女の頭に手を置く。

「……よく頑張ったな」

その時だった。

遠くから――

サイレンの音が聞こえてくる。

「……警察か」

ノワールナイトは立ち上がる。

少女が顔を上げる。

「お兄ちゃん……どこ行くの?」

ノワールナイトは振り返る。

「もう大丈夫だ」

「また会える?」

少しだけ間を置いて――

「……夜になったら、また会えるかもな」

少女は小さく笑った。

「うん!」

ノワールナイトは暗闇の中へ歩いていく。

廃工場の入口。

そこには――

一羽の黒い羽根が落ちていた。

* * *

翌朝。

会社。

蓮はいつも通り出社していた。

「おはようございます」

「おはようございます、黒崎さん」

美咲が笑顔で挨拶する。

「おはよう」

蓮も笑顔を返す。

だが――

美咲が蓮の手元を見る。

「……あれ?」

「ん?」

「手、どうしたんですか?」

蓮の手には、小さな傷があった。

「これ?」

蓮は少し考える。

「……転んだ」

「転んだ?」

「少女を探すのにずっと走り回ってたから」

美咲は疑うような目で蓮を見る。

「本当に?」

「本当だよ」

「……怪しい」

美咲が少し笑う。

蓮も苦笑した。

「それより――」

蓮は美咲を見る。

「昨日の女の子」

美咲の表情が変わる。

「あ……」

「どうなった?」

「ニュースで見ました」

美咲は少しだけ安心したように笑う。

「無事に保護されたみたいです」

蓮は黙って頷く。

「……そうか」

「よかったですね」

「ああ」

蓮の顔に、安堵の笑みが浮かぶ。

美咲はそんな蓮を見つめる。

「黒崎さん」

「ん?」

「昨日……ありがとうございました」

「何が?」

「私、あの子のこと……助けてあげてくださいって言ったじゃないですか」

「ああ」

「ちゃんと気にしてくれてたんだなって」

蓮は少し照れたように笑う。

「そりゃ気になるだろ」

「……優しいですね」

「そんなことないよ」

蓮は自分の席へ向かう。

美咲はその背中を見ながら――

小さく笑った。

「……やっぱり、優しいですよ」

蓮には聞こえなかった。

そして――

窓の外。

朝の街を、風が吹き抜ける。

夜の闇は消えた。

だが――

今夜もまた、どこかで悪が生まれる。

その時――

夜の騎士は、再び現れる。

黒い羽根を残して。

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