第10夜 再会
夜。
港の倉庫街。
ノワールナイトはブランの手掛かりを探していた。
静まり返った埠頭。
その時。
「……ようやく会えたな。」
低い声が響いた。
ノワールナイトは振り返る。
街灯の下。
一人の男が立っていた。
黒いコート。
胸元には黒い鳥の紋章。
RAVEN隊長。
「……お前が隊長か。」
男は静かに頷く。
「昨日の戦いを見せてもらった。」
「無駄のない動きだった。」
ノワールナイトは剣に手を添える。
「何のために来た。」
「お前を知るためだ。」
隊長は淡々と答える。
「昨日の映像を何度も見返した。」
「フェザーブレード。」
「ワイヤー。」
「相手を殺さず、動きを封じる戦い方。」
「見覚えがあった。」
隊長の目がわずかに細くなる。
「……修司。」
ノワールナイトは反応する。
「相馬さんを知っているのか。」
「ああ。」
「二十年前。」
「奴はブランに潜り込んだ。」
「俺たちの内部を探った男だ。」
隊長は少しだけ笑う。
「油断ならない男だった。」
「そして。」
「奴には相棒がいた。」
「黒崎恒一。」
その名前を聞いた瞬間。
ノワールナイトの拳がわずかに握られる。
隊長は続ける。
「恒一は、修司とは違う意味で厄介だった。」
「修司が頭脳と技術で戦う男なら。」
「恒一は、真正面から敵を止める男だった。」
「二人が組んでいたからこそ、ブランは何度も追い詰められた。」
ノワールナイトは黙って聞いている。
隊長は遠くを見る。
「……忘れられない二人だ。」
「敵でありながら、認めざるを得ない存在だった。」
「だから分かった。」
隊長はノワールナイトを見る。
「その戦い方。」
「修司が教えたものだな。」
ノワールナイトは答えない。
隊長はそれ以上追及しなかった。
「今日は戦わない。」
「今のお前を倒しても意味がない。」
「もっと力をつけろ。」
「その時、改めて相手をしてやる。」
そう言い残し、隊長は闇の中へ消えていった。
ノワールナイトはしばらくその場に立ち尽くしていた。
父の名前を知る男。
相馬の過去を知る男。
そして、ブランの中心にいる存在。
RAVEN隊長。
――翌日。
相馬モータース地下工房。
蓮は昨夜の出来事を話した。
「隊長が言ってた。」
「二十年前、相馬さんと父さんを知っているって。」
相馬は黙っていた。
工具を置く。
「……そうか。」
「会ったんだな。」
蓮は相馬を見る。
「相馬さん。」
「あの人は何者なんだ。」
しばらく沈黙。
やがて相馬は静かに答えた。
「俺と恒一が、最後まで追い続けた男だ。」
「RAVEN隊長。」
「ブランの中でも、最も危険な存在だった。」
蓮は拳を握る。
相馬は続ける。
「だが、今のお前が知る必要があるのは一つだけだ。」
「奴は強い。」
「そして……。」
「絶対に油断するな。」




