葉子と翔太38ー冬合宿②
二日目。
午前の授業が終わったので、ユイちゃんを誘ってお昼に行こうと思ったら、ユイちゃんが隣の席の男の子に声をかけられていた。
「か、神島さん、あの……」
「今日、お昼一緒に食べない?」
一位の子だ。合同模試でもいつも一番の、加藤くん。
「ごめん、友達と食べる約束してるから……」
「そうなんだ……」
加藤くんは少し困ったように笑った。
「……じゃあ、連絡先聞いてもいいかな」
「ごめんなさい。私、スマホ持ってないの」
「そっか。はは、わかった」
そう言って、加藤くんはそそくさと席を立っていった。
……ちょっと気まずい。
「うわ、KK玉砕か」
イズミくんが小声で言う。
「オレあいつと仲良くなれる気がする。神島、本当ガード堅いよな〜」
「イズミ、昼行こう。葉子たちも一緒に行く?」
翔太は松本くんと一緒だ。
結局、Aクラスの鷹宮塾の五人で、お昼に行くことにした。
午後は授業の合間に、先生に引率されて近くの神社まで初詣に行った。
厚手のコートで外に出たが結構寒い。手袋かマフラー持ってこれば良かったな。
「葉子、カイロ使う?」
「ありがと……」
翔太からカイロを受け取る。温かい。
「これも使う?」
翔太がマフラーを外そうとするが、首を振って遠慮する。
「葉子ちゃん、手繋いでも良い?」
ユイちゃんに言われて、手をつなぐ。反対の手をカイロと一緒にポケットに入れて、手を温めながら、列に並んで参拝の順番を待った。
友達と一緒に初詣に来るなんて、初めてだな……。合格祈願に来たけれど、他の事もこっそりお願いしてしまった。
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夜9時まで授業があって、ほとんどずっと過去問を解いては解説の繰り返しだ。難関校の過去問ばかりなので難しいが、少しコツが掴めてきた気がする。
夜の自習の時間、桜葉女子の過去問に取り組んでみたが、以前よりずっと集中出来るようになった。
部屋に戻ってベッドに横になった時、充実感で受験に対する焦りや不安が落ち着いたのを感じた。
今日もよく眠れそうだ。




