第2話 許すまじ風呂キャン界隈
――推しが可愛すぎてツラい。
正直言って、あつめちゃんの配信に中身は無い。可愛さ全振りだ。だがそれが良い。
脳死で愛でれる。
「アンタも程々にしときなさいよ」
「他に使い道もないし、別にいいでしょ」
「最近風呂キャン界隈のせいで収入が落ちてきたって言ってなかったっけ?」
どうでもいい話に花を咲かせるのは、同僚の衣織飾。服飾の女神に名を連ねる彼女は、同期の中では押しも押されもせぬ地位についている。うらやましい。
「わたしの稼ぎはどうでもいい。問題は推しにいくら貢げるかなの」
「あんな顔だけの女でいいなら、私に貢ぎなさいよ」
「飾は顔が良くても、性格がちょっと」
「性格はお互い様よ」
女神は基本、顔が良い。間違いない。
とは言え、可愛い、綺麗、幼顔、大人美人などなど、造形美は千差万別。中でもあつめちゃんはとびきり可愛い。
「類友だね、類友」
雑談とも呼べない無駄話に付き合ってくれる同期は貴重な存在だ。
世界の構成要素を司る女神から、何それって言うようなニッチなものを司る女神まで、今では数え切れないほどの同僚がいる。
どんどん出世して行く同期や後輩を見てきた。反対に、時代の流れに流され力を失う女神達も。
いいねもスパチャも貰えない関係だが、なんと気楽でありがたいことか。
中身のない雑談もはかどるというもの。
「――ところで、課長がアンタを探してたけど、また何かした?」
「……さて? どれのことだか」
人気者は引っ張りだこでツラいね。




