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氷河期ストレージ ~雪が止んだ日、世界は再び動き始めた~  作者: 宵白レン
第二章

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第13話  Day14 選ばれた四人

 あれからさらに四日が経った。


 雪はまだ止まず、それどころか気温はさらに下がり、刑務所を取り巻く状況は四日前よりも確実に悪化していた。刑務所へ続く道を走る除雪車両さえ、もうほとんど見られなくなった。


施設内に残っている職員たちは、相変わらず仮眠を挟みながら勤務を続ける日々を送っていた。それでも人手は足りず、本来なら複数人で担当する仕事を一人で抱え、事務職員まで現場の補助に回らなければならない状況が増えている。


 そして、この四日間で新たに六人が死んだ。


 五人は受刑者だった。


 原因は一つではない。以前から体調を崩していた者が症状を悪化させ、持病を抱えていた者が衰弱し、夜の間に容体を急変させた者もいた。医務室では限られた人員と薬で対応を続けていたが、寒さと疲労によって体調を崩す者そのものが増え続けており、すべての受刑者に十分な処置を施すことは難しくなっていた。


 そして、残る一人は職員だった。


 雪で帰宅できなくなってから何日も施設に泊まり込み、十分な睡眠を取れないまま勤務を続けていた職員が夜勤中に倒れた。発見された時にはまだ意識があったものの、その後容体が急変し、医務室での処置も及ばなかった。


 四日前、懲罰区画で最初の死者が出た時には、施設全体に大きな動揺が走った。


 それからわずか四日で死者はさらに六人増えた。


 まだ誰も、それを当たり前のことだとは思っていない。それでも、次に死ぬのが誰なのか分からないという現実だけは、受刑者にも職員にも否応なく突きつけられていた。


 その日の午前、水城は厨房を訪れていた。


 昼食の準備が始まっているはずの時間だったが、以前と比べれば厨房の様子もずいぶん変わっていた。作業に当たっている職員の数は減り、並べられている食材も明らかに少ない。保存の利く食材を少しでも無駄にしないよう、田所たちは残っているものを確認しながら献立を組んでいた。


「田所さん、食料の状況をもう一度確認させてください」


 声をかけられた田所は、手元に広げていた在庫表から顔を上げた。目の下には薄い隈ができている。厨房も例外ではなく、人手不足の中で毎日数百人分の食事を用意し続けているのだから、疲労が溜まっていないはずがなかった。


「……かなり厳しいです」


 田所は在庫表へ目を戻し、いくつかの数字を指で追った。


「通常の食料は、もうほとんど底をつきかけています。今使っている分を使い切ったら、もう非常用の備蓄を開けるしかありません」


「あと、どのくらいですか?」


「物によって違いますが、長くはありません。乾物や缶詰なんかは多少残っていますけど、それだけで今まで通りの食事を出し続けるのは無理です」


 予想していた答えだった。


 雪が降り始めて一週間の時点ですでに、通常の食料が長く持たないことは分かっていた。その後、受刑者への食事量を減らしたことで消費速度そのものは落ちたが、食料が増えたわけではない。外から一度も新しい食料が届いていない以上、残っている量が減り続けるのは当然だった。


「配給業者の方は?」


「今日も連絡しました」


 田所は首を横に振った。


「やっぱり駄目です。外はむしろ前より状況は悪くなってるそうです。道路の状態もそうですし、向こうも車両と人員を確保できない。ここだけじゃなく、配送できなくなってる場所が増えてるみたいで」


「そうですか……」


「それと、向こうからはっきり言われました。仮に今雪が止んだとしても、すぐに配送を再開するのは無理だそうです」


 水城が顔を上げた。


「雪が止んでも?」


「これだけ積もってますからね。街の方もまず道路を通れる状態にしなきゃならない。それから安全を確認して、車両を出して、配送網そのものを立て直す必要がある。雪が止んだ翌日から元通り、なんてことにはならないそうです」


「……当分は来ない、と」


「はい。少なくとも、こちらとしてはそう考えておいた方がいいと思います」


 水城は何も言わず、厨房の奥へ視線を向けた。


 冷蔵庫も冷凍庫もまだ動いている。棚にも食材は残っているし、倉庫には非常時のために備えられた食料もある。今日明日に全員が飢えるわけではない。


 だが、次が来ない。


 それが何よりも重かった。


 これまでは残量を確認しながら、どこかで道路が回復し、配送が再開することを前提に考えることができた。しかし、その前提そのものを捨てなければならない段階に来ている。


「……やっぱりか」


 水城が小さく呟いた。


「もう、職員を含めて全員分を減らすしかありません」


「俺もそう思います」


 田所もすぐに頷いた。


「受刑者だけ減らしたところで限界があります。職員の分も含めて、一日全体の消費量を落とさないと」


「どのくらい延ばせそうですか?」


 その問いに、田所はすぐには答えなかった。


 もう一度在庫表へ目を落とし、しばらく数字を確認したあと、重い表情のまま口を開く。


「どこまで減らすかにもよります。ただ……」


「ただ?」


「減らしたところで、なくなる日を先へ延ばすだけですよ……」


 水城は黙った。


「一週間を十日にするのか、二週間にするのか。それはできます。でも、新しい食料が入ってこない限り、最後は同じです」


「……それはわかります。それでも、やるしかないでしょう」


「ええ、それしかないですね」


 田所の返事にも力はなかった。


 水城は現在の在庫量と、非常用備蓄へ切り替える時期について詳しく確認すると、厨房をあとにした。


 その足で次に向かったのは、所長室だった。


「失礼します」


 中へ入ると、大庭は机に座ったまま、積み上げられた報告書に目を通していた。以前より明らかに書類の量が増えている。施設内で問題が起きるたび、その最終的判断はここへ集まってくる。


「なんだ」


「食料と人員について、報告があります」


 大庭は書類から目を上げた。


 水城は田所から聞いた内容をそのまま伝えた。通常の食料がほぼ底をつき、間もなく非常用備蓄へ手を付けなければならないこと。今日も配給業者へ連絡したものの配送は不可能で、仮に雪が止んでも交通と物流の回復には時間がかかること。そして、この四日間だけで六人の死者が出ていること。


 最後まで黙って聞いていた大庭は、しばらく考えたあとで口を開いた。


「……職員の食事を一食分減らせ」


 水城は黙って続きを待った。


「受刑者は、今の量からさらに半分だ」


「……待ってください」


 予想していたものとは違う答えに、水城はすぐに声を上げた。


「受刑者はただでさえ衰弱している者が増えています。医務室へ運ばれる人数も増えています。それに、四日前の一件から精神的にもかなり不安定になっています。これ以上減らすのは危険です」


「だからどうした」


 大庭は表情を変えなかった。


「この雪がいつ止むか分からん以上、食事は減らす。それだけだ」


「それなら職員も同じ割合で――」


「駄目だ」


 水城の言葉を、大庭が遮った。


「職員も減らす。だが、それでも受刑者より優先する」


「所長、もうこの四日間だけで六人死んでるんですよ? この状態でさらに食事まで減らせば、もっと死者が増えます」


「だからなんだ」


「……え?」


「職員だって一人死んでるんだぞ」


 大庭の声が低くなった。


「今、この施設に何人の職員が残っていると思ってる。外から出勤できない以上、残った人間はまともに休むこともできず働いている。その上、体調を崩す者まで出ているんだ。これ以上職員が倒れたら、誰が七百人近い受刑者を管理する」


「それは分かっています。ですが――」


「なおさら職員の食事をこれ以上減らすわけにはいかん」


 大庭は椅子に深く座り直し、水城を真っ直ぐ見た。


「お前は職員より、あんなクズ共の方が大事だと言うつもりか?」


「いえ……そんなわけじゃありません」


「なら一緒か?」


「いえ、どちらを大事にするかという話ではなくて――」


「前にも言ったはずだ」


 大庭は再び水城の言葉を遮った。


「優先するのは職員だ。受刑者を管理する人間が倒れれば、この施設そのものが維持できなくなる。食料が限られているなら、まず管理する側を残す。それの何がおかしい」


 水城は答えられなかった。


 理屈そのものが理解できないわけではない。


 実際に職員は足りていない。一人が倒れれば、その穴を別の誰かが埋めなければならず、その人間にさらに負担がかかる。そうして次の一人が倒れれば、残った職員の負担はもっと増える。


 すでに、その悪循環は始まっていた。


 だからといって、受刑者の食事をさらに半分にしていいとは思えない。


「……決定を変えるつもりはない」


 大庭の言葉で、水城はそれ以上の反論を飲み込んだ。


「分かりました……」


 納得したわけではなかった。


 だが、これ以上話しても大庭が判断を変えないことも分かっていた。


 水城は一度視線を落としたあと、もう一つの問題を口にした。


「それから、職員の中で体調を崩す者が増えています」


「さっき聞いた」


「今は絶対的に人手が足りません。このままでは、食事を減らす以前に施設の運営そのものが回らなくなります」


 大庭がわずかに眉を寄せた。


「……何が言いたい」


 水城は少しだけ間を置いた。


「受刑者の中から、協力者を募りましょう」


「……なんだと?」


 大庭の表情が明らかに変わった。


「受刑者に刑務所の仕事をさせる気か?」


「今の人数では職員だけですべてを維持するのは無理です。もちろん、全員を房から出すわけではありません。受刑者の中にも重罪の者とそうでない者がいますし、服役中の態度や作業実績、職員からの評価も残っています。その中から問題を起こす可能性が低い者だけを選ぶんです」


「信用できるのか?」


「信用するかどうかではありません。こちらで仕事を限定して、移動できる範囲も決めます。必要なら職員を付けます」


「職員を減らすために受刑者を使うのに、その監視に職員を付けるのか」


「一人の職員が数人を見ればいいんです。それでも今よりは負担を減らせます」


 大庭は何も言わなかった。


 水城はそのまま続ける。


「これも職員のためです」


「…………」


「今いる職員の負担を減らさなければ、さらに多くの者が倒れます。そうなれば、本当に受刑者を管理することすらできなくなります」


 大庭は腕を組んだまま、しばらく考え込んだ。


 水城も急かさなかった。


 受刑者を房から出し、刑務所を維持するための仕事に参加させる。それが大庭にとって簡単に受け入れられる提案ではないことは分かっていた。


 やがて、大庭が口を開いた。


「……四人だ」


「え?」


「まずは四人。男二人、女二人だ」


「四人……」


「これまでの素行、職員からの評価、作業態度、規則違反の有無。全部確認して、その中から選別しろ」


「四人じゃ全然足りません。焼け石に水です」


「それでもだ」


 大庭は譲らなかった。


「まずは四人だけ試験的に使う。問題を起こさず、こちらの指示通りに動けるかを確認する。それを見てから増やすかどうか判断する」


「ですが、今はそんな悠長なことをしている場合じゃ――」


「話はここまでだ」


 大庭は机の上の書類へ視線を戻した。


 明確な拒絶だった。


 水城はしばらくその場に立っていたが、これ以上の話はできないと判断した。


「……分かりました。失礼します」


 所長室を出た水城は、そのままシステム室へ向かった。


 システム室では、施設内の受刑者に関する情報を端末から確認することができた。氏名や年齢、刑期といった基本情報だけではなく、服役中の作業記録、生活態度、規則違反や懲罰の履歴、職員からの評価なども残されている。


 水城が事情を説明すると、担当職員はすぐに端末へ向かった。


「男女それぞれで、服役中の評価が高い順に出してもらえますか?」


「分かりました。作業評価も含めます?」


「お願いします。直近だけじゃなく、これまでの記録を全部含めた総合評価で」


「はい。少々お待ちください」


 職員がキーボードへ手を伸ばしたところで、その動きが止まった。


「……副所長」


「どうしました?」


 振り返った職員は、水城の顔をじっと見ていた。


「顔色、また悪くなってますよ」


「そうですか?」


「そうです。前よりまた悪くなってます。ちゃんと休まれてますか?」


 水城は思わず苦笑した。


「俺のことは気にしなくていいです」


「いや、でも――」


「今はみんなが大変な時期です。休んでなんていられないでしょう」


「副所長まで倒れたら、もっと大変になりますよ」


「分かってます」


 水城はそう答えたものの、最後にまともな睡眠を取ったのがいつだったのか、すぐには思い出せなかった。


 自分だけではない。


 施設に残っている職員の多くが似たような状態だった。


「落ち着いたらちゃんと休みます。それより今は、受刑者の資料をお願いします」


「……分かりました」


 担当職員はまだ納得していない様子だったが、それ以上は何も言わず、端末へ向き直った。


 しばらくすると、画面に受刑者の名前が並んだ。


 水城は上から順番に記録を確認していった。


 単純に評価点だけを見れば、候補を決めること自体は難しくない。しかし今回必要なのは、ただ規則を守っているだけの受刑者ではなかった。職員の目が十分に届かない状況でも勝手な行動をせず、他の受刑者と一緒に作業させても問題を起こさず、何より今の異常な状況の中で指示に従える人間でなければならない。


 水城は一人ずつ記録を開き、作業内容や生活態度、過去の注意記録まで確認していった。


 時間をかけて候補を絞り込み、最終的に男女それぞれ五人の名前を残した。


「この十人の資料を印刷してもらえますか?」


「全部ですか?」


「はい。点数だけで決めるつもりはありません。実際に普段接している職員にも聞いてみます」


 プリンターが動き始め、十人分の資料が順番に吐き出されていく。


 水城はそれを受け取ると、担当職員へ礼を言ってシステム室を出た。


 最初に向かったのは、男性受刑者の収容区画を担当してきた職員たちのところだった。


「少し時間をもらえますか?」


 水城は五人分の資料を机に並べ、事情を説明した。


「この五人の中から二人を房の外へ出して仕事をさせるとしたら、誰を選びます?」


 担当職員は一枚ずつ資料を確認した。


「この二人ですかね」


 やがて抜き出されたのは、植松征司《うえまつせいじ》と久世和也《くぜかずや》の資料だった。


「理由を聞いても?」


「植松はまず問題を起こしません。言われたことはちゃんとやりますし、周りが騒いでても流されない。作業も真面目です。職員がずっと横についてなくても、勝手なことをするような奴じゃありません」


「久世は?」


「あいつも真面目ですよ。それに機械関係の作業になると特に手際がいい。前に作業で使ってた機材の調子が悪くなった時も、すぐ原因を見つけてました」


「なるほど……」


「他の三人も別に悪くはないです。ただ、今みたいな状況で外に出すなら、俺はこの二人にします」


 水城は二人の名前に印を付ける。


 だが、一人の意見だけで決めるつもりはなかった。


 別の担当職員にも同じ五人の資料を見せ、同じ質問をした。そのあとさらにもう一人にも話を聞く。多少意見が分かれる部分はあったものの、植松と久世についての評価はほとんど変わらなかった。


 水城は男性側の候補をその二人に絞り、今度は女性受刑者を担当している職員のところへ向かった。


「女性側からも二人選ぶことになりました」


 水城が五人分の資料を机へ並べる。


「この中なら、誰がいいと思います?」


 女性職員は事情を聞くと、資料を一枚ずつ確認していった。やがて二枚を手元へ引き寄せる。


「寺川容子《てらかわようこ》と……火野朱美《ひのあけみ》ですね」


「火野……ですか?」


 水城は思わず聞き返した。


「はい」


「この二人の方が評価点は高いようですが?」


 水城が別の二枚を指すと、女性職員は「ああ」と納得したように頷いた。


「火野は口が悪いんですよ」


「……それは知ってます」


「でしょう?」


 女性職員がわずかに笑った。


「職員に対しても言い方がきついですし、気に入らないことがあるとすぐ顔にも出ます。それで評価を落としてるところはあります。でも、服役中の作業に関してはしっかりやってますよ。決められた時間は守るし、自分に割り当てられた仕事を他人に押しつけたりもしません。規則だって文句は言いますけど、結局ちゃんと守ります」


「なるほど……」


「それに……」


 女性職員がそこで言葉を止めた。


「どうしました?」


「今の女子受刑者の中では、火野がリーダーみたいになってるんです」


「リーダー?」


「本人にそのつもりがあるかは分かりませんけどね。何か揉め事があれば間に入りますし、体調の悪い人がいれば職員を呼ぶ。不安がってる人がいたら声をかけたりもしてます。最近は特に、他の受刑者も火野の言うことなら比較的聞きます」


 水城は改めて火野の資料へ目を落とした。


 評価表に並んだ数字だけを見ていては分からない部分だった。


「寺川は?」


「寺川は逆ですね」


「逆?」


「とにかく目立ちません。あまり人と話さないし、自分から揉め事を起こすこともない。言われた作業は黙ってやるし、規則違反もほとんどありません。協力させるだけなら問題ないと思います」


「分かりました。ありがとうございます」


 さらに男性側と同じように、別の女性職員にも五人の資料を見せた。さらにもう一人、長く女性区画を担当している職員にも意見を求める。


 寺川についての評価は、誰に聞いても大きく変わらなかった。


 目立たない。口数も多くない。人付き合いが得意なようには見えないが、作業は真面目で、指示されたことはきちんとやる。


 一方、火野については誰に聞いても最初に出てくる言葉が同じだった。


 口が悪い。気が強い。職員にも平気で文句を言う。


 だが、そのあとに続く言葉まで、ほとんど同じだった。


 仕事はする。決められたことは守る。困っている者を放っておけない。


 そして、今の女性受刑者たちの中で、最も周囲から頼られている。


 すべての話を聞き終えた頃には、水城の中でも答えは決まっていた。


 植松征司、久世和也、寺川容子、火野朱美。


 大庭から許された、わずか四人。


 まずはこの四人を房の外へ出し、職員の仕事を手伝わせることになった。


 ◇


「――その時に選んだ四人が、そこに座っている四人です」


 水城の言葉で、話は一度途切れた。


 蓮は焚き火を囲んで座っている四人へ順番に視線を向けた。


 あの時、水城が数百人の受刑者の中から選び出した四人が、今もこうしてこの場所にいる。


 それだけを見れば、水城の選択は間違っていなかったのかもしれない。


 だが、蓮が気になったのは別のことだった。


「それより、こいつらは、なんでここに入ったか知っときたい」


 一瞬、四人の間に沈黙が落ちた。


 最初に反応したのは火野だった。


「ああ? なんでてめえにそんなことまで説明しねえといけねえんだよ!」


「火野さん、やめなさい」


 水城がすぐに制した。


「ここは彼の言う通りにしましょう」


「けどよ、こいつ――」


 火野は納得していない様子だったが、水城を見たあと、それ以上は言わなかった。


 水城は蓮へ向き直った。


「では、私の方から説明しましょう」


 そう言ってから、四人の顔を一人ずつ見ていく。


「いいですね?」


 植松が静かに頷いた。


 久世もそれに続き、寺川も小さく頷く。


 最後まで不満そうな顔をしていた火野も、しばらくしてから視線を逸らした。


「……勝手にしろ」


 四人の了承を確認した水城は、再び蓮へ向き直った。

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― 新着の感想 ―
 理想論と現実論、お互い少しずつ歩み寄れれば妥協点を見出せるが⋯⋯。  現在の生存者を見ると副所長についていく人が正解だったようだが。
水城が理想論かな?
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