38話 共闘
リレッタと2人でレイド級魔塊鬼狩りの任務を受けた後、Y08ベースを出て階段でビルの屋上へと出る――。
どこにいるのか分からないレイド級魔塊鬼に見つからないよう身体を屈め、ビルの縁から周囲を窺うと、碧い月明かりの下、普段通りの街並みが連なっているのが見える。
遠目に見る分には、ごく一般的な地方都市のようだが、人間は誰もいない。
まだ頑張っているパーティーがいるのか、時折響く衝撃音や爆発音は、魔法少女達とレイド級魔塊鬼の戦闘だろう。
「向こうの方で戦闘してるみたいだが、行ってみるか?」
苦戦しているようであれば、助けになれるかもしれないが……討伐報酬って参加者の頭割りじゃなかったっけ?
勝手に参戦して揉めたりしないかな?
「勝手に参戦して、後で報酬とかでもめない?」
「ヤバそうなら助ける。大丈夫そうなら見てる。それでいいだろ?」
「了解、じゃあ行ってみよう」
わたしが階段を降りようとした瞬間、リレッタにひょいっと小脇に抱えられた!?
「ふぁ!?」
「地上なんか歩いていけるわけねーだろ。防御魔法もない状態でレイド級と不意遭遇したら即・終了だ。建物の上を飛んで移動する。リリナはあたしが運んでやるから、ちょっと我慢しろ」
返事をする前に、リレッタが飛んだ!?
「うわぁぁぁぁ!」
「舌噛むから黙ってろ」
空中でリレッタの身体にしがみ付く!
呆然としている間に、衝撃と共に少し先のビルの屋上へ着地!?
なに、この身体能力!?
「なに、その身体能力!? 凄いな!」
「『血の宣誓』は3人だったから分け前も多いし、あいつ等かなり強いだろ? 結構稼げてたんだよ。おかげで、かなり強化できた。みんな良い身体つきしてるだろ?」
確かに、リレッタもそうだけど、カーミラさんもセラさんも良い身体してたわ。いやらしい意味じゃないよ? いや、ソッチの意味でも良い身体だけどさ。
「どんどん行くぞ、よっと!」
ぴょん、ぴょんとリレッタはビルの屋上から屋上へと飛び移っていく。これがまた、建物スレスレの高さで飛んでいくので、かなり怖い。
目を開けていると酔いそうなので、ギュッと目を瞑ってリレッタにしがみ付く。
うへぇ……。これ、人間の身体だったら絶対戻してるわ……。
しばらくぴょんぴょんして、ようやくリレッタに降ろされる。
完全に荷物扱いされたのは心外だが、安全に移動するためと割り切ることにする。
4階建てくらいのビルの屋上。見通しは悪くないが、それほど高くないので下から攻撃されそうな高さ。
見ると、300mほど先の道路の隅で、10~15人ほどの魔法少女達が2匹の魔塊鬼と戦っている。
こうして見ると、一目で分かるほど普通の魔塊鬼より黒煙の濃度が濃く、黒煙が生き物のようにゆらゆらと揺れている。
だが、魔法少女達が攻撃を集中している方は、もう片方に比べて明らかに煙が薄い。
わたしが狙撃した時もそうだったが、あの黒煙にはバリア的な効果があるんじゃないかな?
「どうする?」
「そうだな。2匹しかいないみたいだし、このまま順調にいけば、片方を倒してからもう片方を倒せるんじゃねーか?」
でも、中央ロビーにいた緑髪の魔法少女の話だと、1匹と戦っていたら後から3匹現れたって言ってたからなぁ……。
長引くと、他のも来そうな気がするんだよね。
「もうちょっと見ていよう。別のが現れるかもしれないし、その時は援護しよう」
地獄の殺戮者を召喚し、バイポッドを展開していつでも狙撃できる体勢で、戦闘の推移を見守る。
無傷の魔塊鬼からの攻撃は防御に専念しつつ、もう一方に攻撃を集中して確実にダメージを与えていく。
複数パーティーの合同のはずだが、連携がかなり手慣れている。もしかすると、何度かレイドを組んだことがあるのかもしれない。
「?」
突然リレッタに肩を叩かれ、示された方を見ると――わたし達がいるビルの後方から、明らかに普通の魔塊鬼とは違う濃い黒煙を纏ったレイド級魔塊鬼が2匹、戦闘中の現場へ向かって走ってくる。
位置関係は、 戦場 ― わたし達 ― 新手の2匹 となっており、戦っている魔法少女達は視線が通らないこともあって、新たな魔塊鬼に気づいていない。
新手を狙撃するにしても、もう200mも離れていないし、わたし達だけで2匹同時に相手取るのは無理だ。かといって何もしなければ、今戦っている魔法少女達は後方から奇襲されてしまうだろう。新手の出現を知らせに走ったとしても、この距離では間に合わない。
「連中が戦ってる『無傷の方』を撃つ!
わたし達が攻撃したことに気づけば、新手の2匹にも気付くだろう。
上手くいけば、新手が向こうに着く前に、今戦ってる2匹を倒して迎え撃てるはずだ。
もし新手の2匹がわたし達に気付いたら、リレッタ、抱えて逃げてくれ。そうすれば、新手が向こうに行くことはない」
「了解だ!」
相変わらず『フォーサイト』は頭部にボンヤリと光が集まっているだけだが、距離が近い分、中心を狙いやすい……照準、発砲!
ガァァァァァーーーーーーン!
爆発音に近い発砲音!
2匹の魔塊鬼と戦っている魔法少女達は無視。後方から近づいているはずの新手も、周囲の警戒も全部リレッタに任せて、わたしは狙撃に集中する。
排莢……どでかい薬莢が排出されるが、バイポッドのおかげで『フォーサイト』の示す光の中心を正確に照準し続けている……装填――発砲!
ガァァァァァーーーーーーン!
頭部の濃い黒煙が薄まり、黒灰色になっていく。
排莢、装填――発砲!
ガァァァァァーーーーーーン!
レイド級魔塊鬼の頭部が消滅!
だが前と同じで、頭が吹き飛んでも動きを止めず暴れ続けている――排莢し、マガジンを交換、再装填。
『フォーサイト』の光が胸部へゆっくり収束していく……照準。
戦っている魔法少女の何人かが、こちらを向いているのが見える――発砲!
ガァァァァァーーーーーーン!
胸部に大穴が空き――その瞬間、わたしの身体がひょいっと持ち上げられた!?
「邪魔だ、送還しろ!」
リレッタに小脇に抱えられたまま、地獄の殺戮者を送還。
わたしは必死にリレッタの身体にしがみ付く。
「おっ!」
運ばれ心地(?)は、さっきより無茶苦茶酷い!
さっきはビルの屋上を選んで飛んでいたようだが、今回は普通の民家の屋根でもお構いなしに、ジグザグにぴょんぴょん飛び回っている……。
後ろは見えないが、多分レイド級魔塊鬼に追われているんだろう。
全部リレッタに任せて、目を瞑ってしがみ付く。
しばらくして身体を離されたので目を開けると、かなり高いビルの屋上にいた。
「危なかったわ。連中、民家の屋根に着地したら屋根が崩れて一緒に落ちてった。あのまま2匹に追われてたらヤバかったかもしれねぇ」
まあ、あの巨体で普通の民家の屋根に着地したら、そりゃ天井抜けるよな。
「ありがとう、助かった。リレッタと一緒に来てよかったわ……」
リレッタがいなかったら、新手の2匹を確認した時点で撤退するしかなかった。
わたしの身体能力じゃ、レイド級に見つかったら逃げ切れない。
「お、デレた? 抱かれたいとか思っちゃった?」
「はぁ……普通にお礼言っただけだろ。疲れるからやめろ……で、どうなったんだ?」
「ん、リリナが2発目撃った時に止まってキョロキョロし始めて、3発目撃った時には上を見てた。で、4発目撃った時にビル登ってきたから逃げた。戦ってたレイドの連中は、コッチに気づいたみたいだけど、逃げたから詳しくは分からねえ」
横殴りしたの怒られないかな?
連中が足止めしてくれてたから速射できたし、結果的に上手く利用した形になっちゃった。
ベースに戻ってからでも、事情を説明しておいた方がいいな。
「とりあえずベースに戻るか」
「了解」
ひょいっと小脇に抱えられたので、わたしはリレッタにしがみ付く。
「フフッ、必死にしがみ付いてくるリリナ、コアラみたいで可愛いな!」
「うるさい! これ、酔うぞ。人間だったら確実に戻してるわ」
メリハリがあって抱き付き心地の良い身体だと思ったのは秘密。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
ベースに戻り、中央ロビーでレイドを組んで戦っていた魔法少女達が帰還するのを待つ。
リレッタは「面倒くさいし、別にいいだろ」と言っていたが、今後の『血の宣誓』の活動を考えれば、悪印象を持たれるのは避けたいところだ。
カーミラさんやセラさんが可哀そうでしょ?
わたし達が中央ロビーに着いた頃には、立て続けに運び込まれていた負傷者の収容も一段落したらしく、魔法少女達の姿はさっきより減っている。
「別に挨拶とかいいだろ、面倒くさい。完全にハブられてた前よりはマシにはなるだろうが、どうせ『ホンモノ』がいるってだけで敬遠されるんだからよ……」
「だから、それについてもエリカさんに説明しといたから。他の魔法少女達と関係改善しといて悪いことはないだろ? 普段の人付き合いで何とかなることも色々あるんだよ」
そんな話をしていると、ぞろぞろと魔法少女達が帰ってくる。
遠くでよく見えなかったが、多分レイドを組んで戦っていたパーティーだ。
リレッタの脇をつついて、一緒に立ち上がる。
邪険にされても「挨拶をした」という事実があれば、後から何とでもなる。挨拶なしで放置が一番まずい。
「あの、さっきはすいませんでした」
先頭の、濃紺のロングヘアに黒と紫のシックな衣装の魔法少女に声を掛ける。
前髪は目にかかるギリギリの長さで無表情なので、ちょっと怖い印象だ。
「えっ……ああ! もしかして、さっき狙撃してくれた人?」
ふんわり微笑むと、一気に人懐っこい印象に変わる。
「はい。後方から新手の魔塊鬼が接近してたんですが、伝える手段がなくて……」
「さっきは助かったわ! 私は『ノクターン』のリーダー、ヨハナ。みんな、さっき狙撃で1匹倒してくれた人だって!」
後ろの魔法少女達から感嘆と感謝の声が上がり、わたしは驚く。
さらに2人の魔法少女が前に出てくる。
「本当に助かりました! さすがに4匹同時には相手できませんでしたから。ああ、申し遅れました。わたしは『ルミナスドーン』のリーダー、ヒカリナです。本当にありがとうございました」
柔らかい金髪のセミロングに琥珀色の瞳。白と金の衣装が聖女っぽい。
「『クリスタルヴェール』のリーダー、スミレアです。先ほどはありがとうございました。新手の接近を教えていただけなければ危なかったです」
透明感のある銀髪ショートに、水色と銀の衣装のクール系魔法少女も頭を下げる。
実際に見るのは初めてだが、『ノクターン』『ルミナスドーン』『クリスタルヴェール』は、Y08ベースでも精強なパーティーとして有名だ。
「意図を察してくださったようで、助かります……」
リレッタの脇をつつく。
「『血の宣誓』のリーダーのリレッタです……」
リレッタがそっぽを向きながらボソッと言う。
人見知りか! まあ、頭を下げただけマシか……。
「『血の宣誓』のリリナと申します」
何となく名刺を渡したくなりながら、頭を下げる。
こういう時、名刺あると便利だよな。相手の名前を忘れないし。
「ああ、『血の宣誓』さんですか。お噂はかねがね」
微笑んだのは『忍者・ヨハナ』さん。
あ、あだ名はわたしが勝手につけたやつね。あと『聖女・ヒカリナ』さんと『水銀・スミレア』さん。うん、覚えた。
「そこらへんは色々事情がありまして……皆さんには迷惑をおかけしないようにしますので、今後はよろしくお願いいたします」
「ああ、そういう意味じゃないから。カリアさんから話を聞いて、大変だったんだろうなって思ってさ」
「ありがとうございます。わたしは新参ですが、リレッタが頑張ったんです」
「そうなんですね。今日は、お2人ですか?」
『聖女・ヒカリナ』さんが周囲を確認してから聞いてくる。
「ええ。逃げる時に2人の方が早いので。わたし強化していないんで、リレッタに抱えてもらって移動しているんです」
「あらっ! リリナさんちっちゃいですもんね。フフフ」
笑われた……いや、アンタらだって製造当初はこの大きさだったでしょうが!
「あれっ? リリナさんって……アレでしょ! 魔法騎士3ユニット撃破したっていうツインテールだよね!
うん、そうだよ、このツインテール、千桜通信で見た! 凄い、本物のツインテールちゃん、見ちゃった!」
急にはしゃぎだしたのは『水銀・スミレア』さん。
クールなイメージが台無しである。
ちなみに千桜通信は、中央ロビーの巨大モニターに映される千桜のプロパガンダ番組だ。
あまり面白くないので見てる魔法少女はあまりいないらしいが、開戦直後は、戦意高揚のために、わたしの活躍(?)を頻繁に喧伝していたらしい。
ちゃんと名前も言ってたはずなんだけど、なぜか『ツインテール』だけ有名になって、誰も名前を呼んでくれないんだよね。
「えっ、あっ! 本当だ! ツインテールちゃんだ!」
「うそっ! 本物のツインテールちゃん!?」
「わたしニャンニャン動画見たー! 本物だー!」
「本物、ちっちゃくて可愛い!」
後ろに控えていた3パーティーの魔法少女達に囲まれ、ワチャワチャ触られる。
えーと、ニャンニャン動画って何……?
「ほら、リリナさんが困ってるでしょ。散った散った!」
『忍者・ヨハナ』さんが群がる魔法少女達を追い払ってくれる。
新造魔法少女はみんな同じくらいの大きさなのに、ちっちゃいちっちゃい言われるのは心外だ。確かにエステラより少し小さいが……と、思ってハっと気づく。
コレ、同期が2人しかいなくなったせいで目立ってるんだろ! エステラはまだ研修所みたいだし、現状新造魔法少女って、わたし1人だけだからな。
うーん、早めに強化してもらおう……。
「ええと、あれからどうなったんですか? 1匹倒れたところまでは見たんですが、すぐ逃げちゃったんで……」
「新手の2匹があなた達を追っていった後、残った1匹を討伐したわ。その後、あなた達の後を追って、倒壊した家屋から出てきた1匹を討伐して、次に近くにいた1匹も討伐したの。あなた達のおかげで、負傷者も出さずにレイド級魔塊鬼3匹を討伐できたわ!」
『聖女・ヒカリナ』さんがニコニコしながら説明してくれる。
歓迎ムードだったのは、討伐が成功したからだろう。
「『血の宣誓』の助力のおかげで、負傷者を出さずに帰還できた。改めてお礼を言わせてもらうよ」
『忍者・ヨハナ』さんがリレッタに握手を求める。
さすがにリレッタも拒否はせず、握手を交わす。
そのままリレッタは『聖女・ヒカリナ』さん、『水銀・スミレア』さんとも握手し、結構良い雰囲気になる。
減ったとはいえ、中央ロビーにはまだ魔法少女達が残っている。
この光景を見た魔法少女達の間で『血の宣誓』の評判が少しでも良くなればしめたものだ。
「あ、あの、リリナさん、握手お願いします!」
別れようとすると、『水銀・スミレア』さんが声をかけてきた。
照れているのか顔が薄っすら赤い……まあ、握手くらいならいいけどさ。
「はい、スミレアさん。これからも『血の宣誓』をよろしくお願いします!」
ニッコリ笑顔で握手する。
少しでも『血の宣誓』の印象が良くなればと思ったんだけど……なんかアイドルの挨拶みたいになってしまった。意図したわけじゃないよ?
「?」
ん……あれ? スミレアさんの後ろに行列ができてる?
「あの、リリナさん、握手お願いします!」
スミレアさんの後ろにいた魔法少女が、恥ずかしそうに手を突き出してくる……いや、別に握手くらいいんだけどけさぁ、何かアイドルみたいで照れるな、コレ……。
「え、あ、はい! えーと、これからも『血の宣誓』をよろしくお願いします!」
「頑張ってください! 応援します!」
うーん、何を応援してくれるんだろう……?
その後は、なし崩し的に『謎の握手会』のような様相を呈し、わたしはみんなから、よく分からない何かを応援されることになったのであった――。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
今日はリレッタと2人で60万マギトずつ、合計120万マギト稼げた。
内訳は討伐報酬が40万マギトずつ、任務報酬が20万マギトずつ。
どういうシステムで分配しているのかよく分からないが、レイド組に便乗した形になるので、もっと低いかと思ったらそうでもなかった。
ゲームみたいにダメージ量とかで計算しているのかもしれない?
リレッタに預けている160万マギトと合わせれば、280万マギト。
これだけあれば、『血の宣誓』として、しばらく狩りに出られなくても大丈夫だろう。
「リリナ、ほら……」
空いてきた中央ロビーのカフェスペースの片隅で今日の収入を確認していると、向かいに座っていたリレッタがマギリングを重ね、140万マギトを送ってきた。
「それで、もう1マガジン買えるだろ。9発になりゃ、1日に2匹狩れる……かどうかは別にして、さすがに弾が6発しかないのはヤバいだろ?」
リレッタが真面目な顔をする。
「ちょっと調べたんだけど、リリナの持ってるみたいな対物ライフル? っていうのは、10~20発くらいは持ってるもんらしいぞ? それでも少ないって書いてあった」
まあ、それくらいあれば悩むこともないんだけどさ……。
「いいのか?」
「元々リリナが稼いだマギトだしな。それに、リリナの戦力が上がれば、あたし達も助かる。同じパーティーだからな」
そう言ったあと、リレッタがふっと視線を落とす。
普段の強気な顔とは違う、どこか迷っているような――あまり見たことのない表情。
「それにな……」
「ん?」
「リリナが来てから、1人じゃなくなった気がしてよ……」
その声は小さく、リレッタはまるで独り言を呟くみたいに言葉を続ける。
「カーミラとセラを守るのは、あたしの役目だって思ってた。でも……正直、ずっと怖かったんだよ。いつか、あたし1人じゃ守り切れねぇ時がくるんじゃないかってさ……」
リレッタはマギリングを指で弄びながら、ぽつりぽつりと言葉を続ける。
「でもリリナが来てから……なんか、少し肩の力が抜けたわ。隣に立ってくれる奴がいるって、こんなに心強いんだなって初めて思った。あたしにできなかったこと、色々してもらっちまって……感謝の言葉もねぇ……」
リレッタの本心から出たであだろう、その言葉は、まっすぐで胸に刺さる。
2年間、たった1人でカーミラさんとセラさんを守りながら戦ってきた――それがどれだけ過酷だったか、魔法少女歴2か月のわたしでも分かるから。
「ま、とにかくだ! リリナが『血の宣誓』に入ってくれて、マジで良かったってこった!」
リレッタは照れたように急に椅子を蹴るように立ち上がり、いつものニヤニヤ顔に戻る。
「いやあ、明日のリリナにぎゅーって抱きつかれながらの2人だけの鏡界デート、楽しみだわ! マジでリリナが『血の宣誓』に入ってくれて良かったわ!」
「ヘンな言い方すんな!」
リレッタは照れ隠しのように茶化してくるが、わたしへの感謝の気持ちは伝わった。
ま、わたしはこの程度じゃデレないけどな!
ヨハナ :『ノクターン』のリーダー、通称『忍者・ヨハナ』さん
ヒカリナ:『ルミナスドーン』のリーダー、通称『聖女・ヒカリナ』さん
スミレア:『クリスタルヴェール』のリーダー、通称『水銀・スミレア』さん
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