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20話 魔法少女研修4 衣服着用研修

 魔法少女研修13日目――。


 あれから、ゴスロリ、巫女服ときて、昨日はメイド服、完全にコスプレ大会である。そして今日は……。


「いや、さすがにコレは無いです! 悪意……というか邪な意図を感じます!」


 朝、白いネグリジェ(ちなみに下着はネコちゃんプリントつきの白いやつ)を脱ぎ、着替えようと用意された衣装を手に取ったわたしは、さすがに抗議の声を上げた。


「杏お姉ちゃん! 聞いてるんでしょ!」


 セーラー服……普通のセーラー服なら別にいいんだけど(あんまりよくないけど)、このセーラー服、丈が異常に短く、着たら胸の下からへソまで丸見えになるやつで、しかもちょっと透けてる。


 スカートの方も超ミニでちょっと透けてるヤべぇやつ。ニーソは……まあ別にいいけど、どうみてもコスプレショップではなく、アダルトショップの方でで売ってるやつだ。


「……………………」


 杏子が顔だけ出して覗いている。


「さすがにコレはないでしょ! 前のベビードールも大人の下着も一応普通のやつだったけど、コレ、明らかにエロ目的のやつだよね? さすがにおかしいでしょ!」


「……………………」


「杏お姉ちゃん!」


『あー、アンナさん、許可なく私物を研修室に持ち込むのは服務規定違反です。直ちにカリキュラムで指定された衣服を渡すように』


 天井から声が響く。ってコレ、杏の私物かよ!? ってか今の監視の人!?


「チッ。最近、理奈さんが文句を言わず何でも着てくれるようになったので、そのまま着てくれると思ったのですが、思わぬ横槍が入ってしまいましたか」


 いやいや、着たとしても監視カメラがあるんだから、バレるでしょ!


「百枚ほど写真を撮ったら、間違いでしたと本物の衣装を渡す予定だったのに、とても残念です。本当に融通の利かない監視員ですね」


『アンナさん、お話がありますので後でモニター室に寄ってください』


 監視員の人、怒っている。がんばれ、監視員の人!


「杏お姉ちゃん、早く本物の服をください!」


「……………………」


 杏が無言で渡してくる衣装を受け取り、代わりに杏の私物(・・・・)を返却する。


 杏の頭を押しのけるようにドアを閉め、渡された衣装を広げてみると……胸元とサイドに大きくスリットの入ったミニチャイナドレス!? ご丁寧に専用のTバック下着まである。コスプレショップの方で売ってるか怪しいレベルのやつ……。


「杏お姉ちゃん! さすがに2度目は怒るよ!!」


 杏のヤツ、懲りずにしょーもないことを……また監視員さんに怒られるぞ。


ソレ(・・)です」


「えっ!?」


 ドアの向こうからボソっと杏の声がする。


「今日のカリキュラムで決められている衣装はソレ(・・)です」


 またまたご冗談を。思わず天井を見上げる。


『ん、んんっ……間違いありません。それが今日のカリキュラム用の衣装です……』


 えーーーーー!? どうなってんだよ千桜!? 大丈夫!?


 いや、ちょっと待て。だいたいお前等だって美少女だろうが! 自分で着てろよ! 自分でエッチなコスプレして、自分で好きなだけ眺めてろよ!!


「順番をちょっと飛ばしただけなのに、ここまで怒られるのは心外です。大して変わらないでしょうに」


 ドアの向こうで不穏な呟きが聞こえたような気がしたが、多分気のせいだろう。うん、きっと気のせいだ……。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 とりあえずミニチャイナに着替えたわたしは、天井に向かって猛抗議を開始! とりあえず責任者との面会を要求した。


 いや、だっておかしいでしょうが! 13歳の女の子としての行動を強制するカリキュラムを実行中に、どう考えても13歳の女の子が着ないようなコスプレさせるとか矛盾しすぎてる!


 ミニチャイナ姿でバスルームに閉じこもって30分、『勤務部教育課新造魔法少女教育係係長』という長い肩書の高校生くらいに見える女の子がやってくる。


 杏と同じダーク系のパンツスーツ姿で、明るい茶髪をポニーテールにしたちょっと垂れ目の人のよさそうな女の子で、わたしの主張をうんうんと頷きながら最後まで黙って聞いてくれた。


「キミの主張はもっともだ。確かに、13歳の女の子としての行動を求めているのに、年齢にふさわしくない衣装の着用を強制するのは間違っている。でもね、これは魔法少女研修であって、13歳の女の子研修ではないんだよ」


 むむっ。


「研修を受ける者達は、女性としての身体、生活、習慣に慣れていない者が多い。短い魔法少女研修期間でそれらを全て覚えてもらわなければならないんだ。確かに13歳の女の子としての行動は重要だけど、まず女性としての生活全般に慣れてもらう必要がある。色々な衣装を着てみるってことは、その一環なんだよ」


 むむむっ。


「それに、これは昔からの千桜の伝統であり、千桜の魔法少女はみんな経験したカリキュラムなんだ。共通体験を通じて、千桜の魔法少女としての絆を強くするという意味もある。キミの意志を尊重してあげたいのは山々だけど、キミだけを特別扱いできないことは、組織の魔法少女として理解して欲しい」


 むむむむっ。


「そこで提案なのだが、色々な種類の衣装を着てもらうというカリキュラム自体を無くすことはできないが、キミの意思を尊重して、歴代の魔法少女達が実際に着た実績のある衣装の中から、キミ自身が着たいと思うものを選択するというはどうだろう?」


 勤務部教育課新造魔法少女教育係係長の女の子の提案に同意したわたしは、明日からは自分で衣装を選ぶという条件でコスプレ着用を認めることにしたのだ……。


 しかし、本当に全員自分達で着ていたとは……。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 勤務部教育課新造魔法少女教育係係長とのお話合いの少し後――。


「理奈さんがコスプレ着用を受け入れてくださって、お姉ちゃんは本当に嬉しいです!」


 スマホを構えた杏が、シャッター音を響かせながらフラッシュを瞬かせせる。


「良いです、良いですよ! もう少し左脚を上げて素敵な太ももが見えるように……はい、素晴らしいです! 理奈さん最高に可愛いですよ! はい笑って、ああ、素敵です! 可愛いです!」


 はい、ミニチャイナを着てますよ、ええ。ちゃんと下着もソレ用のに着替えて、かなーりきわどい感じのミニチャイナを着ちゃってますよ! だって、今日は他の服がないんだもの!


 勤務部教育課新造魔法少女教育係係長の女の子とのお話合いの後、今日は準備された衣装を着用して研修を続けることに同意してしまったのだ、何となく流れで。


 あの茶髪のポニテの女の子、口が上手いんだよね……。


 で、アンナに今日の報告書用の写真を撮られてるんだけど、さっきちょっと見せてもらったんだけど、アンナの撮った写真、ミニチャイナ着たツインテール美少女がメチャクチャ可愛く撮れてるのよ。


 それに、撮られるのってちょっと気持ちよくてさ。杏が乗せるの上手いんだよ。自分が凄い美少女モデルになったみたいな気分になるのよ、いや、実際美少女なんだけどさ。レイヤーの気持ちがちょっとだけ分かるわー、コレ、クセになる……。


「はい、お疲れさまでした。理奈さんとっても可愛かったですよ!」


 杏のスマホを覗き込むと……。


「えっ!?」


 なに、このエロい写真!? いやいやいや、コレわたし!? ヤバいだろ、コレ!


 ほんのり上気しウットリと蕩けたような表情のインテールの美少女が、赤いミニチャイナドレスを着て、ロリぃボディーを太ももの付け根まで露わにしてセクシーポーズを取ってる……背徳的かつ煽情的な画像!


「ふぅ、理奈さんの協力のおかげで良い報告書ができそうです」


 ヤバい。ツンデレ娘以上の黒歴史になる……。


「ちょっと待ったぁ! その写真はNGで……」


「ダメですよ。これは報告書用に正式に撮影したものですので」


 スマホを取られるのを警戒したのか、アンナはササっと素早くスマホを内ポケットに仕舞ってしまう。


「もう、理奈さんだってノリノリで協力してくれたじゃないですか。研修が修了する時に、まとめて画像データはお渡ししますから、楽しみにしていてください」


 それはちょっと欲しい、欲しいけど……アレが世にでるのは非常に恥ずかしい。


「ほ、報告書だけに使うんだよね?」


「ええ、もちろんです。安心してください、不特定多数の目に入ることはありません。せいぜい関係者数十名程度です」


 関係者って、数十名もいるの!?


「そんなにいるの?」


「本来なら40ユニットの教育をする予定だった部署ですから、それくらいは」


 そう言われるとそうかもしれない。アノ画像を数十名に見られるのか……何かメチャクチャ恥ずかしいんだけど。


「大丈夫ですって。勤務部教育課新造魔法少女教育係係長の言ってた通り、みんな通ってきた道ですから」


 うーん、明日からの衣装は、よく考えてから選ぼう……。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 昼食後の小休憩中――。


「ふぅ……美味しい」


 杏と一緒に食後のコーヒーを味わう。ちなみに昼食は、海鮮サラダと野菜スープ、トーストというメニュー。


「理奈さん、明日はどの衣装にするんですか? お姉ちゃんとしては、コレなんかおすすめです」


 杏がタブレットに表示したて見せてきたのは、さっきのスケミニセーラー服だ。懲りないなコイツも……。


「いや、セーラー服というカテゴリーにある、この普通のヤツにします」


 タブレットにはセーラー服というカテゴリーの中に、歴代の魔法少女達が着たという複数のセーラー服の画像が表示されている。


 ピンク色の襟以外は完全にスケスケの誰が着たんだよコレってものから、ごく一般的な普通のセーラー服まで色々なバリエーションがあり、この中から自由に選ぶことができる。


 さっきの反省を活かしてわたしが選んだのは、どこもスケてない白地に濃紺襟のセーラー服だ。これなら結構可愛いし、誰かに見られてもそれほど恥ずかしくないだろう。


「理奈さんは可愛いんですから、もう少し冒険してもよいのではないでしょうか。後からコスプレ写真を見返して、もっとエッチなのにしておけばよかったと後悔することになりますよ?」


 なんねーよ!


 あの……で、できればでいいんですけど、ブックマークとか、評価ポイントとか、感想とか、頂けると、凄っごく嬉しいかなって……あ、いえ、面倒くさいなら全然いいですから! でも……できればでいいんで、お願いします!

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