第6話 大会が終わった後
1回戦で初心者をボコって勢いがついたのか、続く2回戦、3回戦もデッキがうまく回り、3戦全勝とあいなった。この日は参加者も少なかったため、唯一の全勝者となり、つまりはわたしは大会の優勝者となった。
表彰と賞品の授与も終わり、大会は終了。顔なじみたちとあいさつを交わして、あとは三々五々……となったところで、ハスキーな声をかけられた。
「──オジさん、お疲れ様っス。優勝おめでとうございます。サイコロもありがとうございました」
そこにいたのは、アキラくんだった。こうして立っていると、なおのこと線が細く見えた。恰好やら髪色やらで不良っぽいが、その中にもどこか幼さのようなニュアンスが垣間見える、中性的な美青年。
わたしはサイコロを受け取った。
「うん、ありがとう。えーっと、アキラくんのほうはどうだった?」
「いやー、今日は3戦全敗でした。悔しい!」そうは言いつつも、野球帽とマスクの間から覗くその大きな目は、楽しそうに輝いていた。「でも、他の皆さんからも丁寧にしてもらって、本当に楽しかったっス」
「それはよかった。このショップは、比較的客層もいいからねー。まあ、『マ・ザ』プレイヤーの中には変なやつもいるから気を付けて」
なんにしても、初心者であるアキラくんが楽しめたのなら、それは良いことだ。
アキラくんは、ふとあたりをきょろきょろと見回した。
「えーっと、大会が終わった後って、どうするもんなんスか?」
「まあ、それは個人の自由だね。さっさと帰宅する人もいるし、腹が減っていたら飯を食いに行ったり。新しいデッキを組んで回したいときは相手を捕まえて、ここに残ってフリープレイしたりね」
「そうスか。フリープレイ……」
そこでアキラくんは一瞬、思わし気な目でこちらを見た。何かを望んでいながらも、慎ましさからそれを言い出せない感じ──
わたしは思わず反射的に、言った。
「よかったら、ちょっとやっていくかい、フリープレイ」
「いいんスか!」
アキラくんは嬉しそうに笑った。
……なんか、この若者が望むように誘導されている気がしてならない。おそらくこの若者は、幼少期から人に好かれる容姿をしているために、おねだりを通す方法を無意識のうちに身に着けているのだろう。ちょっとだけ口をつぐみ、上目づかいでじっと見る……それだけで、たいていの人間はこの若者の意のままにされてしまうのだと、そう思えてならない。
なんか、変な感じだ。わたしはそもそも、他人から好かれる美男子という物を軽蔑こそすれ、好むことはなかったはずなのに……




