第4話 勝負あり
アンドウくんのターン。
こちらが先ほどの繰り出したユニットについて、怪訝そうな顔でちょっと考えたようだが。結局アンドウくんは追加の戦力を投下して盤面を強化することを選択し、そのターンを終えた。
これで、アンドウくんはフルタップ──こちらが何をしても対応できない状態になったわけだ。
……プレイングが甘いな、と思った。いまは除去を撃つべきターンだった。仮に除去を持っていなかったとしても、除去を持っているふりをしなければいけなかったのだ。
つまりは、勝負あり。
自分のターン、わたしは呪文のプレイを宣言する。
「この呪文をプレイ。対象は自分のユニット」
「えっ」
「追加コストで手札を全部捨てて、都合20点ダメージ。──そのダメージを反射して、相手プレイヤーに20点」
「……もしかして、オレ、死にました?」
「うん」
「えー!?」と、若者は目を丸くして声を上げた。
ダメージ反射能力を持つユニットに大ダメージを与えることで、相手プレイヤーに大ダメージを与えるコンボである。
実際のところ、勝負を決めたダメージ呪文はなかなか古く、マニアックな呪文である。手札を捨てるという重すぎる追加コストがあるため、普通は使われることもない。初心者は知らなかったとしても無理は無かろう。
相手の予想外のところから勝負を決める。結局、これが一番楽しいのだ。
こみ上げてくるにやつきを抑えながら、わたしは言った。
「じゃあ、サイドボード行きましょうか……」
通常、『マ・ザ』の大会は2本先取で行われる。1本目が終わったあと、サイドボードという控えのカード群を使ってデッキを組みなおし、2本目以降の勝負を行うのだ。
さて、2本目。アンドウくんは、1本目で勝負を決めたこちらのコンボを警戒して動いた。コンボによる即死を避けるために、盤面への戦力投下を最小限にし、除去を構えて動いている。
……しかし、今度はその警戒が仇となる。警戒し、受け身としている動いている分、今度はこちらがミッドレンジとして優勢に盤面を作っていく。
そう、わたしが使ってるのは、コンボデッキとミッドレンジデッキの複合デッキだ。相手が盤面を作るのに注力したらこちらはコンボによって盤面を無視して勝つことを狙い、反対に相手がコンボを警戒したらその分だけ盤面を作ってミッドレンジで勝ちに行く。これが、この環境においてわたしが選択した戦術である。
アンドウくんも、途中でこちらの狙いに気づいたようだった。しかしすでに盤面の趨勢は覆しがたく──こちらのユニットの大軍が相手を圧殺し、これでわたしの2本先取となった。




