第24話 女のように綺麗な顔で
そういうわけで、今日はフリープレイはせずに、二人で連れ立ってカードショップを出た。ちょっと良い創作和食の店までの道のりを、二人並んで歩く──アキラくんと並んで街中を歩くのは、これが初めてだ。この二人組を見て、すれ違う人々はどのように思うのだろうか。ガラの悪い美青年と、くたびれた三十路男。不釣り合いで、奇妙な組み合わせに見えるに違いない──
「そうだ、酔っ払っちゃう前にお願いしておきたいんですけど」と、アキラくんは思いだしたように切り出した。
「酔っ払うほど飲ませないよ」と、わたし。
「今日の帰り、送ってもらっていいスか? ほら、どれだけ具合が悪くなるかも分からないし、一応」
「具合が悪くなるほどは飲ませるつもりはないけど……そうだね。なんにしても、はじめて飲酒する人間をひとりで帰すのは心配だし、帰りは送るよ」
「オレが住んでるの、○○○○ってところっス。駅の東口の方」
「はいはい、○○○○ね」
学生が住むところにしてはなんだかやたらと仰々しい名前のアパートだな……と思いながら、その場所を調べるために、スマホを取り出して検索すると──検索結果は、予期しないものだった。
画面に現れたのは、高層マンション。しかも、なんかオシャレで豪華な感じ。
「……えっ、なんか、随分いいとこに住んでたんだね。わたしが住んでるとこより家賃高いでしょこれ」と、わたしは思わず口走った。
「セキュリティがちゃんとしているところじゃないとダメだって、親がこだわったんスよねー」
「ふーん」
今時だと、男子の親でもそういうことを気にするのだろうか。まあ、アキラくんくらい綺麗な顔をしていると、男だからと言って安心できるものではないのかもしれないが──
突然、脳裏にイノウエさんの声がよみがえった。
『変なこと考えんなよ、おっさん!』
……変なことなと、断じて考えていない!
大体、いくらアキラくんが綺麗な顔をしていようと、わたしは若い男に対する嗜好を持っていないのだから……うん、持っていないはずだ。大丈夫、多分。
まあ、とはいえ、わたしの側に問題はなかったとしても、だ。若い男に対してこう評するのもなんだが、実際のところ、アキラくんはなかなか隙が多い人間に見える。普段明るくて人懐っこくありながらも、時折、思わし気で、妖艶な表情を見せる──女のように綺麗な顔でそんなことをするんだから、ぐらっと来てしまう男がいたとしても、不思議ではないだろう。
……いや、わたしは、全然そんなことないけれど。




