第23話 今って成人年齢は
大会の最後に優勝者としてみんなの前で表彰され、優勝賞品を受け取ると、アキラくんも段々と実感がわいてきたらしく、喜びをあらわにした。
大会が終わった後、常連たちは帰り際にアキラくんに声をかけていく──初優勝おめでとう、とか、アキラくんもすっかり強豪だよ、とか、口々に褒められて、アキラくんはすっかりと上機嫌になっていた。
「いやー、なんか夢を見ているみたいっス。すげーいい気分」そう言いながら、アキラくんはわたしの向かいの席に着いた。……大会終了後に二人でこの席に着くのは、すっかり慣習となっている。
「本当に優勝することなんてできるのかって、ずっと不安だったんスけど。……でも、終わってみたら前にオジさんが言っていた通りでしたね。その内案外あっさり勝てるって」
「最近はずっと勝ち越していたもんね、アキラくん。それに今日はプレイングもばっちりだったし、優勝するのは必然だったね」
「えへへ、そうスかね。……よし、これで目標達成! じゃあ、オジさん。よろしく」
「え、なにを」
「ご飯っスよ! オレが優勝したら、ご飯に連れてってくれるって……まさか忘れていたんじゃないでしょうね」
「いやーそんなことはないけどさ。当のアキラくんがどこまで本気か分からなかったし」
「最初から本気にしてます!」
「あー、いつだと都合がいい?」
「今からでも、明日でも、いつでもいいっスよ」
「なんか食べたいものある?」
「食べたいもの、と、いうか」と、アキラくんは上目遣いでこちらを伺った。「……お酒、飲んでみたいっス」
「お酒? あれ、でもきみってたしか」
「実はつい昨日、ハタチになりました」
「え! 成人したんだ、おめでとう!」
「ん? 成人はとっくの昔にしてますよ」
「ん? だってこの間ハタチになったって……あっ。そうか、今って成人年齢は18か……」
「──あはは! もーオジさん、それじゃあ本当におっさんじゃないっスか、やだなあ」
「しかし、お酒かあ。わたし、普段は安居酒屋しかいかないんだよなあ」
「安居酒屋、行ってみたいっス!」
「そうは言ってもねえ。……家族や友達とは、誕生日祝いにお酒を飲んだのかい」
「家族には、今度帰省したときに祝ってもらうことになってます。友達とは……ちょっといろいろあって。なんで、お酒を飲むのは本当に初めてっス」
「初めて飲むのが安居酒屋じゃあなあ。……この前、会社の飲み会で行ったちょっと良い創作和食の店が食い物もうまかったから、そこに行こうか」




