第18話 変なヤツもいるから
第1試合が始まるまで、あとちょっと時間があった。わたしとアキラくんは、組み合わせが発表されるまで座って待っていた。
「しかし、アキラくん。どうして急に、プロツアーのショップ予選に出ようなんて言いだしたの?」
「まあ、腕試しっスね。それに、他のショップってどんな感じなのかも見てみたかったし。いやー、広くて明るいっスね、この店。オジさんは、こっちのショップはあまり来ないんスか?」
「昔はよく来たけどね。……変なヤツもいるから、気をつけなよ。まともに足し算引き算もできない馬鹿なハゲが、自分で勝手に計算ミスしておいてごねようとしてきたりするからね」
「なんか私怨入ってません?」
「とにかく、何かあったらプレイヤーだけで解決しようとしないで、ジャッジを呼ぶこと。それに、今日は普段の金曜日大会よりもルール適用が厳密だから、プレイングは一つ一つを丁寧にね。ライフのメモはしっかり書き残して──」
「わかってますって、もう。過保護なお父さんみたいじゃないですか」と、アキラくんは呆れたように笑った。
……笑われてしまったが、しかし、気分としては確かに親心のようなものだ。『マ・ザ』という古びたタイトルのカードゲームをせっかく始めてくれた若者が、大会で嫌な思いをして『マ・ザ』から離れることになったら、そんなに悲しいことはないのだから。
まだまだ注意したいことはあったが──しかし、そこで店内にアナウンスが流れた。
「第1回戦の組み合わせを店内モニタに表示しました。参加者の皆さんは確認し、指定の番号の席に着席してください──」
こうして、プロツアーのショップ予選が始まった。
このショップ予選は、まずはスイスラウンド5回戦で上位8人を選出し、その8人でシングルエリミネーションの決勝ラウンドを行う形式である。そして、最終的には上位2人が、次の地域予選へと進むことができる。
わたしはスイスラウンドを順調に勝ち進んだ。そして席順を見るに、アキラくんも調子が良いらしかった。
そして、3回戦目。お互いに勝ち卓なので、アキラくんとは隣の卓となったが──アキラくんの対戦相手をみて、わたしは思わず眉をひそめた。そいつは昔からいる、素行の悪いプレイヤーだった。不必要に威圧的で横柄な、初心者を小ばかにして見下すタイプの、傍から見ているだけでも不快な男である。自分で当たるのもいやなヤツだが、よりによって、アキラくんと当たってしまうなんて……。




