表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
16/19

第16話 休みの日までスーツ着たくはない


 次の週の土曜日、午後。

 そのショップ予選が開かれるカードショップは、普段行きつけのカードショップからちょっと歩いたところ、繁華街のビルに入っている。大手チェーンの加盟店でもあり、『マ・ザ』以外のタイトルも扱っている大型店舗だ。

 その目的地に向かって歩いているが……しかし、土曜日の午後というのは人通りが多い。普段は出不精なので、人の流れにおぼれてしまいそうだ。

 ようやくそのビルの前までたどり着くと、すでにアキラくんが待ち構えていた。

「あ! スーツじゃないんですね、オジさん」とアキラくんは、何故だか嬉しそうに言った。

「そりゃ、休みの日までスーツ着たくはないよ」と、わたしは苦笑する。

 エレベーター待ちの間、アキラくんはふと口を開いた。

「そういえば昨日の麻雀、どうでした?」

「まあ、ぼちぼちかな。損はしないくらい」

「麻雀って面白いんスか?」

「運と実力のバランスが半々で、それが楽しい、って感じかな」

「ふーん。……今度、麻雀教えてくださいよ」

「それはやめておくよ」

「えっ! なんで? いいじゃないスか、ケチだなあ」

「麻雀って結局、ギャンブルだしね。アキラくんはみたいな学生さんにそれを教えて、変なことになったらいやだからさ」

「……そういう考えなら、まあ、許します」

「アキラくんのほうは、昨日の金曜日大会はどうだったの」

「あー、昨日は大会出ませんでした」

「そうなの?」

「オジさんもいないし、良いかなって」

「なんだよ、こっちのことは気にしないでいいのに」

 そうこう言っていると、エレベーターがやってきた。

 このショップに入店するのは、久しぶりである。広く明るい空間と、立ち並ぶショーケース、ストレージコーナー、そして奥に広がる広大なプレイスペース。国産タイトルも一通り扱っているということもあり、全体的に客層も若く、賑やかだ。普段は、こじんまりとした、おっさんばかりの『マ・ザ』専門店でばかり遊んでいるせいで、余計に差異を感じるのだろう。

 ちょうど入店したタイミングで、店内にアナウンスが流れた。

「本日の『マ・ザ』ショップ予選に参加のお客様は、大会受付カウンターで参加申請をお願いします。繰り返します、本日の『マ・ザ』ショップ予選に──」

 はきはきとした女性の声だった。それは、とても聞き覚えのある声。

 ……今日はちょうど、あの人のシフトの日だったらしい。

「オジさん、どうしたんスか? 大会受付カウンターに行きましょうよ」

「……うん、そうだね」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ