第12話 子供っぽいかもしれない
イクミさんの姿を見て取ると、アキラくんはまた冷たい無表情を作った。
「なんだよイクミ、まだいたのか」
「アキラ、大会は終わったんでしょ」
「オレはいまからフリープレイするんだよ」
「は? なにそれ」
「だから、まだここでカードゲームをやるの。見ていてもつまんないと思うぞ」
「──いや、見る」
「本気で言ってんのか、それ……」
二人とも、さっきよりはトーンダウンしているが、それでもまだ意地を張りあっているようだ。……改めて見ると、若者を通り越して、子供っぽいかもしれない。
「大会じゃないんなら、別に見るのは勝手でしょ」
「勝手ったってな。……オジさんが良いって言うのなら、良いけど」
「え?」話を急に振られたわたしは反射的に答える「まあ、別に問題はないけど……」
これを聞いて、アキラくんは一つため息をついた。そして、あきらめたようにイクミさんの方を見た。
「じゃあ、イクミ。見ていてもいいけどさ。──わかっていると思うけど、余計なことは絶対に言うなよ」
わたしの向かいに座るのは、アキラくん。そしてその隣に、不機嫌そうなイクミさんが座った。……なんというか、この二人が並んでいると、完全にやんちゃでガラが悪いカップルにしか見えないな。
「えっと、オジさんに改めて紹介しておきますね。これは、同級生のイノウエ・イクミです」
アキラくんは、今度はイノウエさんの方を向き、手を開いてこちらを示した。
「えっと、イクミ。こちらはオジさん。オジっていうのは名字な。ちょくちょく話していたと思うけど、オレのカードゲームの先輩で、いろいろ教えてくれている人。頼むから失礼がないようにしてくれよ。それと、重ねて言うけど、オジさんに余計なことは言わないように……さて、じゃあ、さっそく始めますか」
そうして、わたしとアキラくんのフリープレイが今日も始まった。
しばらくまわしていると、イノウエさんがふと口を開いた。
「ねえアキラ」
「なんだよ」
「もしかしてあんたって、本当はカードゲーム弱い?」
「はあ!?」
「だって今も負けたし」
「そりゃオジさんはベテランだからだよ。今日の優勝者だぞ。オレが弱いんじゃなくて、オジさんが強いんだよ」
「でもあんた、大会で他の人にも負けてたでしょ。カードゲームが上達したって嬉しそうに言っていたけど、あれ嘘だったんじゃない」
「あのな、『マ・ザ』っていうのは、一回一回の勝った負けたじゃないんだよ。そもそも、お前が乱入してきたせいで、今日の大会は調子が悪かったし……もー、黙ってみてろよなあ」




