磔台の陵辱
魔女という存在は、いつの時代も、どこの国にも現れる。
得体の知れない力や、巨大すぎる知識、そして理屈を超越した能力を持つ者は、皆、人々から恐れられ、理解を拒絶され、次第に迫害の対象となっていく。
その歴史は、血塗られた鏡合わせの歴史だ。
「魔女裁判」という名の集団ヒステリー。
得体の知れない個人を見つければ、彼らは皆「魔女」であると、あるいは「悪魔の眷属」であると決めつけ、自分たちの心の平穏のためにその存在を焼き払ってきた。
かつての英雄、セリアがそうだったように。
巨大な力は常に、権力者や凡夫にとって不都合な異物となりうる。
自分にない力、理解のできない力は、必ずや嫉妬の毒を孕み、排他という名の炎を燃え上がらせるのだ。
……さて、カナンの国に話を戻そう。
英雄セリアを裏切り、追放したこの王国は、今やかつての誇りを失い、ただの獣の檻と化していた。
明日の公開処刑を待ちわびる王都の広場。
そこには、真の黒幕として仕立て上げられたエレナのための磔台が用意されていた。
だが、その設えはあまりにも異様だった。
エレナは裸に剥かれ、両手首のみを硬いロープで縛られ、頭上から吊るされるようにして固定されていた。
腰から下は完全に自由であり、風に揺れるままに晒されている。
夕刻までは、広場を監視する衛兵たちが配置されていた。
しかし、日が沈み、月が雲に隠れる頃になると、衛兵たちは何事もなかったかのようにその場を去っていった。
つまりは、そういうことだ。
暗闇に紛れ、広場には列ができていた。
国中の男ども、兵士たち、荒んだ民衆たちが、獲物を狙う野犬のように群がっている。
彼らがここに集う理由は、法の執行でもなければ、正義の追求でもない。
ただ、一晩中、かつての聖女を蹂躙し尽くすためだ。
エレナの絶叫は、広場を支配する欲望の渦に飲み込まれていく。
男たちは、彼女が聖女であったか魔女であったかなど、どうでもよかった。
目の前にあるのは、ただの無抵抗な肉塊であり、自分たちの鬱屈したストレスと歪んだ性欲をぶつけるための「道具」に過ぎないのだ。
一夜が明ける頃、エレナの秘部は男たちの濁った体液でグチャグチャに汚れ、足元には白い精液の液溜まりが形成されていた。
彼女の肉体は枯れ果て、腟からは自身の血と、男たちの汚物が混ざり合い、床を汚していた。
かつての聖女は、国中の男たちによって、文字通り「肉便器」として酷使され尽くしていた。
その光景を、城の奥深く、かつて国王が君臨していた玉座の間から、水晶玉を通じてセリアとレイラが眺めている。
セリアは王の椅子に深く腰掛け、冷酷な眼差しでその醜態を観察していた。
「……人間とは、なんと愚かで、醜い生き物だ」
セリアは呟く。
明日には死にゆく聖女に対し、一抹の慈悲も敬意も抱くことなく、ただ欲の捌け口として群がる群衆。
彼らにとって、高潔な信仰心など、この程度の快楽の前では無力に等しい。
「ええ、本当に。セリア、貴方の見立て通りね。この人形が魔女だろうが聖女だろうが、彼らにとっては関係ないのよ。ただの『穴』があればいいだけ」
レイラは優雅にワインを傾け、楽しげに笑った。
かつて人々を救い、崇められていたはずの聖女は、今や国中の男たちに嬲られるだけの汚れきった物体と化している。
彼女の神聖さは粉々に砕かれ、泥と精液の中に沈んでいた。
セリアはその光景を見つめながら、勝利の味を噛み締めていた。
自分を切り捨てた王も、自分を裏切った聖女も、そして自分を崇めていた民衆も。すべてが自分たちの手の中で、滑稽なほどに堕落していく。
「明日の朝、このボロボロになった肉片を晒し者にする。……さあ、いよいよ最後の幕引きだ」
セリアの瞳には、一切の迷いも悲哀もない。
ただ、この滅びゆく王国の結末を見届けるための、冷徹な軍師の眼光だけが宿っていた。




