表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
町中で声をかけられるほどイケメンな彼を振ってしまった  作者: Yoakira


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
5/10

第5話



数日後。


私はいつも通りバイトに入っていた。


蓮先輩とは、少しずつ普通に話せるようになっていた。


まだ恥ずかしい。


まだ、前みたいに何も考えず隣にいることはできない。


でも。


蓮先輩が変わらず優しくしてくれることが、嬉しかった。


そんなある日の休憩中。


私はカウンターで作業をしていた。


すると、スタッフたちの会話が聞こえてきた。


「そういえばさ。」


「蓮くんって、綾瀬さんのこと好きだったよね。」


その名前を聞いて、手が止まった。


綾瀬さん。


今もいる女性社員さん。


私が入ったばかりの頃。


『蓮くん教えてあげてね』


そう言って笑っていた人。


「え……。」


思わず小さく声が漏れる。


「美咲ちゃん知らなかった?」


「蓮くん、昔綾瀬さんのこと好きだったんだよ。」


胸がざわついた。


知らなかった。


そんな話、一度も聞いたことがなかった。


「でもさ。」


スタッフは続ける。


「綾瀬さん、すごいよね。」


「蓮くんが好きだったの分かる気がする。」


私は黙って聞いていた。


綺麗で。


優しくて。


仕事もできて。


みんなから頼られている。


私とは全然違う。



仕事中。


綾瀬さんと蓮先輩が話している姿が見えた。


ただの仕事の話。


分かっている。


なのに。


胸が苦しかった。


「美咲さん。」


突然声をかけられて振り向く。


蓮先輩だった。


「大丈夫?」


「……はい。」


きっと顔に出ていた。


蓮先輩は少し困ったように笑う。


「何か聞いた?」


私は迷った。


でも。


聞かずにはいられなかった。


「……綾瀬さんのこと。」


蓮先輩の表情が少し変わる。


「聞いたんだ。」


「はい。」


「昔、好きだったんですか?」


少し沈黙。


「うん。」


その一言が胸に刺さる。


蓮先輩は続けた。


「でも、美咲さん。」


「俺が美咲さんに仕事教えたのは。」


「綾瀬さんに言われたからじゃない。」


私は顔を上げる。


「え?」


「最初に言われたのは本当。」


「『美咲さんのこと教えてあげてね』って。」


「でも。」


蓮先輩は優しく笑った。


「一緒に仕事していくうちに、美咲さん自身を好きになった。」


「頑張ってるところとか。」


「誰かのために動けるところとか。」


「そういうところを見てた。」


胸が熱くなる。


「綾瀬さんは、俺にとって大事な人だった」


その言葉に、胸が締め付けられる。


蓮先輩は続けた。


「でも、それは過去の話」


「俺が今、好きなのは美咲さん。」


「俺が今、隣にいてほしいって思うのは」


「美咲さんだよ」


その言葉に、少しだけ涙が出そうになった。


知らなかった過去。


知らなかった繋がり。


でも。


蓮先輩が今見ているのは。


昔好きだった人じゃなくて。


私だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ