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町中で声をかけられるほどイケメンな彼を振ってしまった  作者: Yoakira


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2/10

2話


「いるよ」


「少なくとも、俺はいる」


蓮先輩の言葉が、頭の中で何度も繰り返されていた。


駅から家までの帰り道。


いつもならあっという間に感じる道なのに、その日はやけに長く感じた。


『俺、美咲さんのこと好き』


何度思い出しても信じられない。


蓮先輩が?


私を?


「……ありえない」


思わず小さく呟く。


だって、蓮先輩は誰が見ても魅力的な人だった。


背が高くて、顔も整っていて、仕事もできる。


バイト先でも、女の子たちはみんな蓮先輩を見ると少し嬉しそうな顔をする。


そんな人が、どうして私なんかを好きになるのか。


きっと何かの間違いだと思った。


次の日。


バイト先に着くと、蓮先輩はいつも通り仕事をしていた。


「おはよう、美咲さん」


「……おはようございます」


顔を見るだけで昨日の告白を思い出してしまう。


私はどう接すればいいのか分からなかった。


すると蓮先輩が少し困ったように笑う。


「避けられてる?」


「え?」


「昨日から、俺のこと見る時ちょっと緊張してる」


図星だった。


「すみません……」


「謝らなくていいよ」


蓮先輩は優しく言った。


「急にあんなこと言われたら困るよね」


その優しさが、余計に苦しかった。


普通なら嬉しいはずなのに。


憧れのような存在の人に好きと言われたのに。


私は素直に喜べなかった。


「蓮先輩」


「ん?」


「どうして私なんですか?」


ずっと聞きたかった。


「私、可愛くないし」


「おしゃれでもないし」


「明るくて人気者な女の子みたいじゃないです」


口に出すと、自分でも嫌になるくらい弱気な言葉だった。


蓮先輩は少し黙った。


そして、真剣な顔で言った。


「美咲さん」


「俺が好きになったのは、そういうところじゃないよ」


「俺の周りには、俺の顔とか雰囲気だけ見て近づいてくる人が多かった」


「でも美咲さんは違った」


「俺が失敗したら普通に注意するし、忙しい時は周りを見て動いてる」


「そういうところを見てた」


胸が少し苦しくなる。


でも、それでも。


「……でも」


「私じゃ、釣り合わないです」


その言葉を聞いた瞬間。


蓮先輩の表情が少し悲しそうになった。


「美咲さん」


「俺は、美咲さんを誰かと比べて好きになったんじゃないよ」


「だから、俺と釣り合うとか考えなくていい」


その言葉に、何も返せなかった。


だけど。


すぐに「はい」と言えるほど、私は自分を信じられなかった。


「少し……考える時間をください」


「うん」


蓮先輩は笑った。


「待ってる」


その優しさが嬉しくて。


同時に、怖かった。


もし付き合ったら。


いつか蓮先輩が思うかもしれない。


『やっぱり違った』


『思っていたより普通だった』


そんな未来が。


だから私はまだ知らなかった。


この時、蓮先輩が一番恐れていたことも。


私が自分を好きになれないことを。

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