脱出後編
「はぁ、はぁはぁ、はぁ」
俺は、今逃げ回っている。
なぜ逃げ回っているかというとそれは少し前までさかのぼる。
「本当にそれでこの部屋から出れるのか?」
もう一度、確認するようにグルートがシュリュッセルに問う。
「うん、脱出できるよ、この部屋からはね。」
間違いなくと付け足して、シュリュッセルは頷いた。
「わかった。俺としてはシュリュッセルを信じたい。」
「僕としては、少し不安ですが異論はありません。」
「僕が提案したから僕もいいよ~」
「わ、私は大丈夫です。」
「ん、私もいいけど囮役はどうするの?」
「囮?」
「当たり前。一番最後に残ってなるべく敵を引き付ける。」
「それは、必要か?」
「重要。リスク分散は大事。」
「だが、どっちにしろ敵に見つかったら終わりだ。」
「それでも、生き残る確率は少し上がる。やるのとやらないのでは全然違う。」
何か、目に見えない圧力を醸し出しながらフロントがグルートを問い詰める。
「わかった、囮をする。」
彼としても、囮を作った方が効果的だと思ってしまったのか絞り出すように言った。
「わかりました。それでは、囮は僕がやります。」
その言葉に、一同は目を見開く。
当然だ、死地に自ら飛び込むような真似だ。
「いや、俺が行く。俺が判断したのだから。」
「ダメです。僕が行きます。」
「いや、、、」
「グルート様、あなたは公爵家子息です。自分の立場と国益を考えてください。」
強い口調にグルートがたじろぐ。
「そ、それだったら、わたしが代わりの囮になります。その方が、たぶんいいです。」
「ダメです。」
ショルツの提案をバッサリと切り捨てる。
「ある程度自立して動ける、+ある程度の危険を冒せるものじゃないとだめです。」
「じゃあ、テイラーを囮にするってことでいい?」
今まで口をつぐんでいたシュリュッセルが尋ねる。
「いや、やはりみんなで脱出しよう。」
「それもアリかもしれないけど、ダメだ。第一、彼が死ぬとわかって志願したんだ。その覚悟に水は差さない方がいい。それでいいね?皆。」
皆それぞれ頷く。
「それじゃあ、やるよ。」
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