夜明け
新任務を言い渡されてから一夜明けてテイラーは優雅に朝市を歩いていた。
「テイラー、ちょっと止まってくれ。右の屋台からものすごくおいしそうなにおいがする。」
買ってくれと肩の上でのたまう詐欺神を無視し、酒場に入る。
「お、テイラーか。どうだ?あいつらと仲良くやれそうか?」
奥の部屋に行くとまだ朝にもかかわらず酒を飲んでいるキルパがいた。
「無理無理。あんなやつらとは無理せめて人かえよう?」
体面に座り陽気に語るテイラー。
「それは無理だな。」
「やっぱ?」
「ま、本当はお前にあいつら監視してほしいんだよ。」
「何?裏切り?物騒だね。やっぱり繋がってるのは四大国のどこか?」
「繋がってるのは三人のうちの誰か。トローン王国と繋がってる。探っているのはお前の情報だろうな。」
テイラーはあまり反応しなかった。へー、そうなんだくらいの反応である。
「ま、無理しない範囲で探ってくれや。殺してもいい。この許可が欲しくて訪ねてきたんだろう?」
にやりと微笑みかけてきたキルパに微笑み返して相変わらず菓子を食べていたザルフを掴み無言で部屋を出て行った。
酒場から出て、すぐに路地裏に入ったところでザルフはテイラーから離され彼の肩に座る。見上げた彼の顔には渦巻く闇がかかっていた。テイラーはそのまま少し急ぎ足で路地裏を歩く。
その時、後ろから肩に手を置かれた。
「なあ、お前。有り金全部おいてってくれや。」
「あ?」
身の毛が総毛立ち、本能的に動けなくなるおぞましい声を聴き、腰が砕け座り込んでしまった男の顔を覗く闇に覆われたテイラーの顔を見てしまった男は泡を吹いて気絶してしまった。
「ねぇ、あそこまで脅す必要あった?」
その後も路地裏を歩いているとザルフが聞いてきた。
「まあいったん落ち着きなよ、今あの三人全員始末したってえられる利益はわずかだよ?キルパが望んでいるのは逆に向こうから情報を引き出すこと。君も情報の重要性は理解してるだろ?」
「・・・・・・・・」
「ま、ゆっくりじっくり行こうよ。まだ時間はあるんだから。」
「・・・ああ、そうだな。」
「うん、そう。それがいい。じゃあ、戻ろうか。」
そう言って二人は三人がいる家を目前に引き返した。
そして、夜から臆病な夢が這い出てきた。
その夢は、悪夢にあらず。
しかし、吉夢にあらず。
瑞夢が昼と夜を引き合わせ、
良夢が雄と凡を引き離す。
夢と跡の境は雄と凡の境なり。
出典『リハルの夜』 作者不明
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