家族
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「おーい、テイラー!鬼ごっこしようぜ!」
赤い髪に赤い瞳をしたやんちゃそうな少年が俺の部屋のドアを開ける。
かなり大きい音に抱えていた本を落としそうになる。
「わわっ。兄上、いきなり入ってこないでください。」
落としそうになった本を持ち直しながら少年に声をかけたのは、この部屋の主である、テイラー・ブルク・シュヴェーアト辺境伯令息である。
彼は赤い髪に赤い瞳という兄とは正反対で、群青色の髪と瞳だった。
しかし、目を引くのは瞳の中にある真っ白な紋様だった。
この白い紋様は、『王の魔方陣』と呼ばれている。
王家の血が混ざった者にのみ現れる。
王族の者は確定だが、それ以外の者は王家の血が混ざって三代目以降は『王の魔方陣』は発現しない。
もっとも、王家の血が混ざったところで他家の人間ならば発現率は少ない。
そして、その確率を引いた超レアな者が俺だ。
そして、プラスで元日本人の転生者という超超超×10000000レアを持っている。
そして、この世界は俺が小学生のころやっていた学園伝説の世界である。
「なあなあ、テイラー。鬼ごっこ嫌か?ならかくれんぼにするか?いや、剣の練習するか?」
例えば、今俺の肩を組んで喋りかけてきている赤い髪に赤い瞳のやんちゃそうな少年は学園伝説の主人公で俺の兄であるリアン・シュヴェーアトである。
「ごめん、兄上。今日はもうちょっと本を読みたいから午後からじゃダメかな?」
申し訳なさそうに苦笑いしながら頼み込む。
「う~~~ん、わかった。でも、昼ごはん食べたら鬼ごっこしような!」
「ふふふ、そうだね。折角だからロイスとスレヤにも声を掛けたら?喜ぶと思うよ?」
ロイスとスレヤは将来リアンの側近となる二人の伯爵家子息だ。
ちなみに俺には側近がいない。リアンにもだが、婚約者もいない。うちの辺境伯爵家は社交をほとんどしないことで有名だから、社交の場なんぞ多い年で十回あればいい方だ。祝賀会などを除いて。
その祝賀会も、ほとんど出席しないのだが。
コミュ障だからじゃないよ?
でも、うちの家は駆け引きがあんまり得意じゃないから出ないだけだ。典型的な脳筋と言うか、力こそパワーならぬパワーこそパワーを地で行っているからだ。だから思考力がない。数学はだから苦手だ。でもその代わり地理や歴史などの暗記科目は強い。
「おう。ありがとな!じゃあまた昼めし食った後遊ぼうな!」
そういって、兄は去っていった。
「ふぅぅぅぅ。」
目頭をもむ。
傍から見るとおっさんだが、まだ俺は子供だ。まだ近視になるわけにはいかない。まあ、精神年齢はおっさんなんだがな(前世二十八歳+今世六歳合計三十四歳)。
改めて言おう、ここは俺が小学生の時にやっていた学園伝説というゲームの世界だ。なぜ気づいたかって?それは俺が転生したテイラー・ブルク・シュヴェーアト辺境伯令息が俺の好きなキャラだからである!ちなみに、ほかに学園伝説関連で覚えていることはテイラーが『教団』っていう組織に誘拐されてなんやかんやあって、兄であり主人公であるリアンに殺されるという事である。
つまり、今のままだと死ぬ!でも、努力は前世で死ぬほどやったからいやだ。やれっと思うかもしれないけどやだ。特に勉強は。前世で死ぬほどやったからなぁ(遠い目)。まぁ、そのおかげでいい大学出て、大企業でありえない速度で出世し、そして、働き過ぎで体壊してお陀仏になってテイラーに転生したわけだ。さすがに最低限の努力はするが、勉強は別だ。これがなくっちゃ駄目ってやつ以外はあんまり勉強しないと決めている。
テストとかで、補修があるなら頑張りますけれども、俺の自由の為に。
え?ダチ?いねぇよ、ボッチだよ。え?部活?帰宅部さ。テスト?一位以外とったことないぜ!(いい笑顔)
学園伝説の世界に転生したから学園に通え?ハハッ、行くわけねえだろ、さっきいったよ?勉強はほとんどしないって、勉強をするとこなんて嫌に決まってんだろ!
そんな俺が、なぜ本を読み漁っているかというと、この辺境伯家に保管されている魔物などの生態や、特調に関することを暗記しているのだ。暗記って言ってもパラパラとめくるだけでなんでも覚えられるのだ。調べるのは分かりやすく言うとGoo○le先輩である。でも、今まで自分が見聞きしたこと以上のことは問いかけても何も出てこない。ちなみに検索をしてみると、出てきた結果が脳内に表示される。
「でも、まともに読んでいないとはいえ、この量の本を全部かぁ。」
そういって、椅子の背もたれから後ろを見るとそこには巨大な本棚が、横に何個も並べられていた。これが奥にもある。
本も、一冊一冊が辞書よりも分厚く大きい。
俺は四歳からここに入り浸っているが、まだ読み残しているのは約半分である。よく半分読み切ったともいえるが、二年間でまだ半分ともいえる。というか、俺はほとんど読んでないからいいけど、普通の人ならニ、三十年かかるんじゃねぇか?
「テイラーおぼっちゃま、お昼の用意ができました。」
こんこんとノックがされ、メイドが扉の外から昼ごはんができたという。
「うん、ありがとう今行くよ。」
そういって、分厚い本をテーブルに置き、部屋を出る。
「ねぇ、もう父上たちもみんないる?」
「はい、皆様揃っておいでです。」
「へぇ、そうなんだぁ。ちなみにメニューって何かな?」
「テイラーおぼっちゃまの好物でございます。」
「本当!?それじゃあ、早くいかなくちゃね。」
そして、楽しそうな足音は書庫から遠ざかっていった。
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