不明瞭
兄のリアン視点です。
絶望一言で言えばそれだ。何か心の中から抜け落ちてしまった感覚。当然その何かが何かを俺は知っている。弟だろう。弟の部屋は誘拐される以前のままだ。あの時から俺とテイラーの時間は止まってしまったのだろうということをなんとも寂しい部屋が物語っているような気がして部屋から目をそらす。
その足で向かうのは父上の部屋だ。何か知っているわけではないだろうが精力的に動いていることは知っているのでつい言ってしまう。
「それじゃあ、テイラーはそこにいるということで間違いないんだな?」
微かに父の言葉が聞こえてきた。
身体がいつの間にか動いていた。
「父上!テイラーは!テイラーはどこにいるんですか!そことはどこなんですか!」
聞いていたことに少し目を丸くし、それでもすぐに表情を戻した。
「リアン、聞いていたのか。」
「っ!聞き耳を立てていたことは謝ります。ですが、テイラーのことです。引けません!」
「話を聞いていたことを咎めはしないが、ついてこようとするな。」
「何故ですか、弟の一大事ですよ!」
「場所が場所ゆえだ。ここにいろ。」
「しかし!」
「ダメだ。」
威圧感が父から滲み出ている。
「ですが、」
「リアン、少し落ち着け。すまない、リアンを部屋まで送ってくれないか。」
「わかった。リアン坊ちゃま行きますよ。」
そういって父と比べれば身長の低い男が背中を押してくる。かれは騎士団長だ。逆らえるはずもない。リアンは渋々といった様子で部屋に戻っていった。父の机の上には『教団』のアジトの地図が出されていた。
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