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超次元勇士ゾーンG(グレート)ロボ  作者: 道化師
第三章次元獣総進撃編 ―前編―
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着替え完了!青空のカタパルト、 いざ、発進!ゾーンマシーン。

――櫻魅耶市の東北東。


そこから着実に、しかし圧倒的な絶望感を伴って街へと迫りつつあるのは、硬質な黒いウロコに包まれた、次元獣。

街を守るため、そして日常を守るため、三人はそれぞれのゾーンマシーンに乗り込み、すでに発進シークエンスの真っ只中にいた。

ベースの地下ドームに、重々しい油圧の駆動音が響き渡る。


■ 1号機:フレア・ストライカー


「……よし、特に異常なし!」


コクピット内を不具合がないか、チェックを終え、いつでも出撃出来る様にタケルは操縦桿に手をかけ、スタンバイする。


「ふう……落ち着けよ、俺!」


小さく息を吐き、呟くタケル。


■ 2号機:アイアン・グラップラー


一方、隣のカタパルトに鎮座するのは、全長18メートルを誇る重装甲・多目的装甲車型の2号機《アイアン・グラップラー》。その巨体を操るモンタは、どっしりとパイロットシートに腰を下ろす。


「え〜と…これが確か、こうで、うん。僕もいつでもいけるよ!」

モンタも目の前にはある、ゴツい二本の巨大なレバーと巨大な力計測器(アナログのパワーメーター)の不具合がないかを確認し、操縦機を握りこちらもいつでも出撃出来る事を二人に伝える。


■ 3号機:ギガ・ランダー


そして、最後の三機、支援・重火力特化型の3号機《ギガ・ランダー》のコクピット。


ケンは手元のフライトコンピュータを鮮やかな手つきで叩きながら、通信回線とマシーンの調整また、不具合など念入りにチェックしてた。

そしてモニター越しに、顔を向けるとタケルとモンタの顔が映し出される。 


「あっ、そうだ、タケル、モンタ二人とも。操縦席の右側を見てくれる」


ケンの唐突な声に、タケルとモンタは一瞬動きを止めた。


「ん? ああ、右側か?」

「なになに? 右側に何かあるの? ケン君」


ケンに言われるがまま、タケルもモンタも、それぞれのコクピットの右側へと顔を向ける。

そこにあったのは、冷たい金属のパネルにぽつんと埋め込まれた、四角い緑色のボタンだった。周囲の計器や他のスイッチとは明らかに毛色が違う、妙チキリンにレトロで、それでいて不自然なほどピカピカと淡い光を放っているボタンだった。


「……これか?」

「なんだろ…?」


二人が首を傾げる。モニターの向こう側で、ケンはふっと眼鏡のブリッジを押し上げ、微かに口角を上げた。


「そこに四角い緑色のボタンがあるんだけど。それを押してみて」


ケンの声には、どこか悪戯っぽい、しかし確信に満ちた響きがあった。

「おいおい、これ一体、何のスイッチだ? まさか、自爆装置じゃねえだろうな?」

「もータケル君。怖い事言わないでよ〜」


タケルは小さく息を吸い込むと、迷いを断ち切るように、その指先を緑色のボタンへと伸ばした。

モンタもタケルと同じ、隣の席にあるボタンに手をかける。


――ポチッ。


二人が同時に、その四角い緑色のボタンを押し込んだ。


――その瞬間。


――バシュッ!!


機体の内部に、音を立てて高圧の圧縮空気が噴き出した。


「うわっ……なんだこれっ!?」


タケルの周囲で、全天周囲モニターの光が急激に眩しさを増す。


ただの照明の光ではなく、純粋なエネルギーの粒子が三人の服をみるみるうちに眩い光に包まれていく。

私服の布地がほどけ、光の粒子へと変わり、タケルの、モンタの、そしてケンの身体を撫でるように再構築されていく。

耐熱性、耐衝撃性、そして次元獣の放つ特殊エネルギーを完全にシャットアウトする特殊合金繊維。


――そう、それは操縦者専用パイロットスーツへの換装システムだった。


光が収まった時、そこにはいつものそれぞれの私服姿の少年たちの姿はなかった。

研ぎ澄まされたパイロットスーツに身を包み、ヘルメットのバイザー越しに鋭い闘志を宿した、三人の"勇士"がいた。


「お、おぉーー!こいつはすげぇ…!」


タケルが自分が今、着ているスーツを見つめ、ゴリゴリと拳の関節を鳴らす。


「凄い凄い! 体にぴったりフィットして動きやすいし、何より身体が軽く感じるよ!」


隣の2号機《アイアン・グラップラー》のコクピットでも、モンタが自分の体をペタペタと触りながら目を丸くして驚愕していた。

自分の服が一瞬で特殊な戦闘服へと変わった信じられない光景に、タケルは目を白黒させながら、通信モニター越しに3号機《ギガ・ランダー》のケンへと顔を向けた。


「なぁなぁ、ケン! いったいこれ、どうなってんだよ!? 勝手に服が気が付いたら、こんなカッコいいスーツに着変わるなんてさ! 」


タケルの驚愕と興奮が入り混じった問いかけに、ケンは落ち着いた手つきでキーボードを叩きながら、眼鏡のブリッジをスッと押し上げた。


「あぁ、それね。実は、以前にこのベース内のメインコンピュータの奥深くを色々と詳しく、調べていた時に偶然、見つけたんだ。ゾーンマシーンやこの基地のことをもっと深く知っておく必要があると思ってね。色々と探っていたら、結果的にこのパイロット用スーツがある事にたどり着いたのさ。それがこの『パイロットスーツ自動換装システム』って、わけ」 


ケンの涼しい顔での説明に、タケルはさらに目を輝かせる。


「ウヒョー、すげぇ! なんかそれってさ、ロボットアニメとかでよくあるお約束のやつじゃねえか! 出撃の時に勝手にスーツに着替えてるやつ!」


タケルは両手をブンブンと振り回し、全天周囲モニターの向こうにいるケンへ向かって身を乗り出した。


「思い出すぜ “無敵勇者ライギンオー”とかさ、うちの親父が俺ぐらいの歳に毎週日曜日の朝8時にテレビにかじりついて観てた、ロボットアニメの話を聞いて、スマホで探していざ、観たらめっちゃドハマリした、あの王道のやつ! 出撃シークエンスが始まると、いつの間にか制服からパッと専用のパイロットスーツに換装完了してる、あの最高に熱いお約束のやつだよ!」

「ああっ、分かる!それと、 “超銀河エルドラダー“とかでも絶対あるやつだよねそれ! まさに今、僕たちがテレビのなかの主人公たちと同じことやってるって、ことだよね!」


モンタも自分の操縦席で身を乗り出し、力計測器のレバーをバシッと叩きながら大きく頷いた。興奮のあまり、プロレスの試合前のようなファイティングポーズをコクピットの中でとってみせる。


「やべえ、一気にテンション爆上がりしてきたぜ……! このスーツ、なんかこう、胸のあたりからふつふつとやる気がみなぎってくる感じがする!」

「二人とも、少し落ち着きなよ。これから次元獣を倒しに出撃するんだから、余り浮かれすぎて、足元をすくわれないように」


ケンはモニターの向こうでやれやれといった風に小さく息をつきながらも、その口元にはわずかに笑みが浮かんでいた。ケン自身もまた、この高揚感を嫌いではないようだった。


「わかってるって、ケン! このスーツを着た俺たちなら、あの黒いウロコの次元獣一匹くらい、ちょちょいのちょいだぜ!」


タケルが操縦桿を強く握りしめる。


それに呼応するように、黄金のブレスから伸びる無数の光の糸が眩い輝きを増し、フレア・ストライカーの機体全体へとエネルギーを奔流のようにみなぎらせていく。


隣のカタパルトに鎮座するアイアン・グラップラーの巨体もまた、モンタが力計測器のレバーを押し込んだことで地鳴りのような重低音を響かせ始めた。


「よし、エンジン出力安定。エネルギー同調率、各機とも問題なし。これより、櫻魅耶市の東北東へ向けて、発進するよ!」

「おうよ!」

「うん!」

ケンの言葉に、タケルとモンタはモニター越しで気合が入った返事を返す。


モニター越しに映るケンの瞳にも、静かだが確かな闘志の炎が灯っていた。


――その瞬間、地下ドーム全体が大きくどよめいた。

秘密基地こと《ゾーンハイド・ベース》が、出撃に合わせ、轟音を立ててダイナミックな変形を開始する。

地下の隠しリフトがせり上がり、頭上の岩盤や偽装された建造物が左右へと豪快に展開していく。

そして、ベースの天井が完全に開ききった時――目に飛び込んできたのは、曇りのない見事なまでの青空だった。

澄み切った朝の光が地下ドームへと一気に流れ込み、三機のゾーンマシーンのボディを眩しく照らし出す。


「よっしゃッ、いっくぜ――!」


タケルの合図とともに、カタパルトの点火シークエンスが最高潮に達した。

轟音とすさまじい爆風を巻き起こし、タケル、ケン、モンタ、三機のマシーンが青空へと向かって一斉に発進するのだった――。








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