激闘!超次元勇士ゾーンG(グレート)ロボ対紫の双眸次元獣!
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「よし、ホテルからは十分に引き離したぜ……!ここからは俺たちの出番だ!」
1号機フレア・ストライカーのコクピットで、タケルは操縦桿を握り直し、モニターの向こう側にいる仲間に向かって叫んだ。
背後には、遠く離れたホテルの明かりが小さく見える。目の前には、怒りに燃える巨大な紫双眸の次元獣。
「ケン、モンタ! 準備はいいか! あの次元獣を叩き潰すぞ!」
「わかってるよ! いくよ、全回路開放、合体プログラム起動!」
ケンの3号機ギガ・ランダーが、無数の電子の火花を散らしながら上空へと急上昇する。
「う、うん! 僕も準備は出来てるよ! やろう、二人とも!」
モンタの2号機アイアン・グラップラーが、ブースターを最大出力で噴射し、地響きを立てて跳躍した。
三機のマシーンが夜空の一点で交差する。
その瞬間、タケルの脳細胞が、魂が、沸騰した。
「行くぜぇえぇぇえぇ!ゾーン・フォーメーション、セット・オン!!」
タケルが喉が張り裂けんばかりの雄叫びを上げると同時に、三人のモニターに「COMBINATION CONFIRMED(合体承認)」の文字が点滅する。
三人の《ゾーンブレス》が激しく共鳴を始め、三機のマシーンが島の上空でV字の編隊を組み始める。
最初にモンタの2号機アイアン・グラップラーが変形を開始する。装甲車の中央が左右に割れ、強靭な両腕と屈強な胴体部が露わとなり、続けてケンの3号機ギガ・ランダーが巨大なコンテナ部分を二つに分割。重力制御によって垂直に立ち上がり、Gロボの巨大な両脚と腰部を形成する。
最後にタケルの1号機フレア・ストライカーが翼を畳み、機首を反転させながら、胴体部へとダイレクトに飛び込んでいく。
――ガキィィィィィンッ!!
タケルの1号機の機首が胸部中央の「青いコア」に収まり、内部から頭部がせり上がる。エメラルドグリーンのセンサーが眩い光を放ち、フェイスガードがガシャリと音を立てて閉じる。
「合体完了!!超次元勇士、ゾォ"オ"オ"ォ"オ"ォ"ン"グレ"ェ"ェ"エ"ト"ォ"オ"ォ"ロ"ボ"ォ"ォ"オ"ッー!!」
タケルの雄叫びと共に、月の光を背に受け、白銀と紅蓮の装甲を輝かせる巨大ロボット——ゾーンGロボ。
――ドスンッ!!
森の周辺辺りに着地と同時に周囲の森の木々が着地の際に強い風に吹かれ、激しく揺らぐ。
「 行くぜ、次元獣! ホテルから引き離した今がチャンスだぜ!こっからは手加減は抜きだッ!!」
タケルの叫びに応えるように、ゾーンGロボが巨大な拳を握りしめ、一歩を踏み出す。
対峙する次元獣は、自分と同等の巨躯を持つ敵の出現に、喉の奥から地響きのような唸り声を漏らした。紫色の血管が体表で激しく脈打ち、禍々しいプレッシャーが周囲の空間を歪ませる。
「グォ"ォ"オォ"ォ"オ"オ"ォ"ォ"オ"ッ!!!」
次元獣が大地を蹴った。
その巨体からは想像もつかない瞬発力で、漆黒の塊がゾーンGロボへと肉薄する。
「来やがった! 受けて立つぜッ!!」
タケルは操縦桿を前方へ叩きつける。
ゾーンGロボの巨大な両腕が、突進してくる次元獣の肩を正面からがっしりと受け止めた。
――ズゥゥゥゥゥゥゥゥンッ!!
凄まじい衝撃波が走り、足元の森が同心円状になぎ倒される。
まさに怪力と怪力の激突。次元獣の剛力がゾーンGロボの関節各部を軋ませ、警告音がコクピット内に鳴り響く。
「くっ……重てぇ! モンタ、脚部の出力を最大に上げろ! 押し返すんだ!」
「わかった! パワー全開放!!」
モンタがペダルを全力で踏み込む。
ゾーンGロボの脚部スラスターが火を噴き、大地を削りながら怪物を押し戻そうとする。拮抗する力と力。
――だが、次元獣の双眸が不気味に明滅した。
力比べをしていたはずの怪物が、突如としてその巨体をひねる。
「―なっ!?」
タケルの驚きが冷めぬうちに、次元獣の右腕が異様な角度でしなった。
そこには鋭く研ぎ澄まされた、長い爪が、夜闇を切り裂く軌跡を描いて迫っていた。
――キィィィィィィィィンッ!
鼓膜を突き刺すような、高周波の金属摩擦音。
ゾーンGロボの胸部、タケルの乗るフレア・ストライカーが収まった直上の装甲に、紫の閃光が走る。
「……ッ!?」
衝撃と共にコクピットが激しく揺れ、タケルは前方のモニターに映し出された損傷数値に目を見開いた。
「おい、嘘だろ……胸部装甲に、損傷……!?」
モニターの3Dモデルには、ゾーンGロボの胸部中央に刻まれた一本の掠り傷が赤く点滅している。
たった一撃。取っ組み合いの最中の、ほんのわずかな接触。
たった、それだけで装甲が、まるで紙のように容易削り取られたのだ。
「そんな……! ゾーンGロボの装甲は、通常兵器じゃ傷一つ付かないはずなのに……!」
ケンが驚愕の声を上げる。
「へっ……冗談じゃねぇ。アイツの爪、厄介だな…!」
タケルは額に汗を流しながらも、その瞳から闘志を失ってはいなかった。
傷口からはバチバチと青白い火花が散っている。それはこの戦いが、一瞬の油断も許されない死の舞踏であることを告げていた。
「だが、これで怯む俺様だと思ったら大間違いだぜ! 傷をつけられたなら、その分、叩き伏せてやるだけだ!!」
タケルが咆哮し、レバーに指をかける。
「ケン! モンタ! 武器を出すぜ!!」
「わかった!」
「了解!」
タケルが右手のコンソールにあるトリガーを強く押し込み、その名を叫ぶ。
「こいッ!バトルァァァアァアァックス!!」
その叫びに応え、ゾーンGロボの背面に装備されたバックパック上部が、油圧音と共に勢いよくスライド展開する。
内部に格納されていた武骨なフォルムの“バトルアックス”が、上方へと勢いよく射出された。
月明かりの下、空中で銀色に回転しながら落下する斧。
タケルは操縦桿を鮮やかに操作し、ゾーンGロボの右腕を伸ばす。
「ふんっ!!」
――ガシィィィィィィンッ!!
重量感溢れる金属音。
ゾーンGロボの巨大なマニピュレーターが、空中で斧の柄を正確に、そして力強く掴み取った。
短柄ながらもその刃は次元獣の厚い皮膚をも容易に断ち切る鋭利さを放ち、基部からは青いエネルギーの脈動が溢れ出している。
「これならどうだ……! 行くぜ、次元獣! ぶった斬ってやるッ!!」
斧を構えたゾーンGロボが、夜の森を蹴って再び加速する。
「くらえぇぇぇッ!!」
タケルの叫びにあわせ、ゾーンGロボが渾身の力で斧を振り下ろす。狙うは次元獣の頭部。――だが、その刹那、次元獣の紫の双眸が冷酷な光を放った。
――カキィィィィィィィィンッ!!
凄まじい金属音と衝撃波が周囲に放射される。
次元獣は逃げることも、避けることもせず、その漆黒の両腕を顔の前でX字にクロスさせ、鋭利な爪でゾーンGロボが誇るバトルアックスの刃一撃を真っ向から受け止めたのだ。
「んなッ!?」
タケルは操縦席で歯を食いしばる。
バトルアックスの刃と次元獣の紫の爪が激しく擦れ合い、周囲に無数の火花の礫を撒き散らし、火花が激しく散り、夜の森を一瞬だけ真昼のように照らし出す。
ゾーンGロボのパワー出力は、現在最高値の〈85%〉にまで達している。それだけの巨力を注ぎ込んだ一撃を、この次元獣は力技でねじ伏せているのだ。
「タケル、離れて! 押し切られるよ!」
ケンの鋭い警告。
――ギギギギギギギッ!
火花が激しく散る接合部。次元獣の爪が、バトルアックスの刃をじりじりと押し戻していく。怪物の紫の双眸には、恐怖ではなく、獲物を追い詰める捕食者の愉悦が宿っていた。
「押し切られる……? 冗談じゃねぇ! なら――押し通すんだよぉぉぉお!!」
タケルが操縦レバー限界まで押す。
するとゾーンGロボの背部スラスターが猛然と火を噴き、大地を深く削り取りながら再加速する。
――ドガァァアァアァンッ!!
至近距離でのエネルギーの爆発。
その衝撃で、ようやく次元獣との組み合いが外れ、両者は一旦距離を取った。だが、そこからはもはや"戦闘"ではなく、命を削り合う"殺戮の演舞"だった。
「グオォォォオオォォオォッー!!」
次元獣が地を這うような低空姿勢で突進してくる。
その動きは野獣のそれでありながら、無駄が一切ない。右の爪がゾーンGロボの側頭部をかすめ、返しの左爪が腹部を狙う。
「おっと!危ねぇ!」
タケルは反射的に斧の柄を盾にし、突き出された爪を受け流す。
――キィィィィィィンッ!
再び火花が夜闇を切り裂く。
流れるような動作で、タケルは斧を旋回させ、次元獣の脚部へと斬りつけた。だが、次元獣は巨体に似合わぬ柔軟さで跳躍し、空中で身を翻しながら尾のような器官を叩きつけてくる。
「わわっ! タケル君、上から来るよ!」
モンタが叫び、操縦桿を横に倒す。
ゾーンGロボは間一髪で回避するが、次元獣が着地した衝撃で周囲の森は爆風に煽られたかのように粉砕された。
「クソッ、チョロチョロ動きやがって!こッの!!」
「そう熱くなるな、タケル! アイツは僕たちの攻撃しつつ、隙を見て動いてる。人間の通常の反射神経とは思えない程に違うんだよ。あの次元獣は!」
ケンの冷静な分析が飛ぶが、戦況はそれを待ってはくれない。
次元獣は、月光を反射する紫の爪を幾筋もの残像に変え、ゾーンGロボに猛攻を仕掛ける。
――ガキィン! ドカァッ! ガガガガガッ!!
――刃と爪。
衝突するたびに発生する衝撃波が、真空の刃となって周囲の木々を、そして大地をバラバラに切り刻んでいく。
ゾーンGロボの白銀の装甲には、防ぎきれなかった次元獣にうけた爪の跡が次々と刻まれる。
「ハァ…ハァ…ハァ……。いいぜ、やってやるよ。てめぇの爪が折れるのが先か、バトルアックスの刃が叩き折られるのが先か……勝負だッ!!」
タケルは荒い呼吸を整え、再びバトルアックスを握り直す。ゾーンGロボの全身からは、幾重にも刻まれた爪痕から蒸気のような排熱が噴き出している。対する次元獣も、その漆黒の肉体には今の攻防で刻まれた数条の深い斬撃痕が刻まれていた。
…だが、モニターを凝視していたケンの表情が、驚愕に凍りついた。
「ちょっと、待って……そんな、バカな…!」
「どうしたんだよケン! 」
「 タケル、次元獣の傷を見て! 再生してるんだ!!」
「何ッ!?」
「え!?」
ケンの叫びに、タケルとモンタがモニターを拡大する。
そこには、バトルアックスで切り裂かれたはずの次元獣の傷口から、ドロリとした紫色の体液が溢れ出し、それが瞬く間に凝固して新しい皮膚を形成していく光景が映し出されていた。
「う、嘘……!? あれだけ深く斬ったのに、そんな…!」
モンタの声が震える。
「物理的な打撃だけじゃ埒が明かない…! タケル、再生速度を上回る超火力を一点に叩き込むしかないよ。一気に畳み掛けるんだ!!」
「……チッ、再生能力持ちの次元獣なんて、初めてだぞ! 上等だ、細胞ごと消し炭にしてやるぜ!!」
ケンの瞳に鋭い光が宿る。
「タケル、エネルギーを額の収束回路へ回して“ゾーンGビーム”で一気に決めるよ!」
「おう、合点承知だ! 派手に決めるぜ!!」
タケルがコンソールのリミッターを力任せに引き抜いた。
ゾーンGロボの全身の装甲がわずかに展開し、内部のエネルギー伝達チューブが眩い青色に発光する。
「エネルギー充填、100%! 全リミッター、解除!!」
「モンタ、姿勢制御を頼む! 衝撃に耐えて!」
「う、うん! アウトリガー展開、接地固定!!」
ゾーンGロボの脚部から巨大なアンカーが射出され、島の大地に深く突き刺さる。すべてのパワーが額へと逆流するように収束していく。
「これでおさらばだぜ! ゾォォォオングレェェエトォオォオビィィイイィィムッ!!」
タケルの咆哮と共に、ゾーンGロボの額から、夜の闇を白銀の世界に変えるほどの極太の光線が撃ち出された。光の奔流が次元獣を呑み込もうと直進する。
三人は勝利を確信した――その数秒後。
――ピカンッ!
次元獣の紫色の双眸が、太陽のごとき禍々しい紫色に輝きを放った。
「――ッ!?」
――ドォォォォォォォォォォンッ!!!
次元獣の両目から放たれたのは、重力を捻じ曲げるような紫色の破壊光線。
それが、正面からゾーンGビームと衝突したのだ。
激突点から放たれる凄まじい衝撃波と光が、周囲数キロメートルの雲を吹き飛ばし、夜の海を巨大な津波のように波立たせる。
「う、嘘だろ…!? ビームを、真っ向から押し返してくるだと!?」
タケルが操縦桿にへばりつきながら、信じられないものを見るかのように叫ぶ。
「まさか、あの次元獣の両眼からビームが出るなんて、予想外だよ…!」
ケンが必死にモニターを叩くが、エラーログが画面を埋め尽くしていく。
「ま、マズイよ…タケル君!このままじゃ、押し戻されるよ! 」
モンタの悲鳴に近い声。
青い光と紫の光が、空中で激しく攻めぎ合い、火花を散らす。
「くっ……負けるかよ…!こんなところで、負けてたまるかあぁあぁぁぁーッ!!」
タケルの叫びが、限界を超えたゾーンGロボのコクピットに虚しく、しかし熱く響き渡った――。




