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超次元勇士ゾーンG(グレート)ロボ  作者: 道化師
ティル・ナ・ノーグ編
32/35

巨大化した次元獣と砂浜にて呼べ、ゾーン・マシーン!

「グア"ァ"ア"ァ"ア"ァ"ッー!!」


背後から迫る、空気を切り裂くような爪の音。


振り返る余裕すらない。タケル、ケン、モンタの三人は、シダの葉をなぎ倒し、蔦に足を取られそうになりながら、一心不乱に闇の中を激走していた。


「ハァ、ハァ……っ! ケン、このままじゃ追いつかれるぞ!」


タケルが叫ぶ。背後のオゾン臭が、すぐそこまで迫っている。


「わかってる! 二人とも、ブレスの座標設定を“現在地”から ホテルの客室へ切り替えて!」


走りながら、ケンが《ゾーンブレス》のパネルを電光石火の指さばきで操作する。


「えっ、でも、アイツも一緒に連れてっ来ちゃったら……!」

「バカ!ちげぇよ! 俺たちだけが()()()んだよ! 走ったままの慣性を維持して転送する。着地で転ぶだろうが、背に腹は代えられない!」


タケルが必死にブレスを操作しながら叫ぶ。


「わ、わかった! あーもうッ!ホテルのフカフカのベッドが恋しいよぉぉ!」


「よし、 二人とも!」


ケンは二人に視線を合わせるとタケルとモンタがそれを察し、並走しながら力強く頷く。


三人のブレスが、緊急帰還のシグナルである真っ白な発光を開始した。


「転送、起動!」


ケンの号令と共に、三人の体が光の糸へと解けていく。


――その直後だった。


「グア"ァ"ア"ア"ァ"ァ"ア"ア"ッ!!」


次元獣が獲物を捕らえたと確信し、その鋼のような筋肉を爆発させて跳躍。鋭い爪が、一番後ろを走っていたモンタの背中に届こうとした――その瞬間。


――シュンッ!!


三人の姿が、掻き消えるようにその場から消失した。


「……グゥオ!?」


勢い余って地面に突っ込んだ次元獣は、鋭い爪で湿った土を深く抉り取った。

すぐ目の前にいたはずの獲物が、音も無く、匂いも残さず消え去ったのだ。

次元獣は立ち上がり、困惑したように巨大な双眸を左右に動かした。

そこにあるのは、静まり返った森の闇と、自分自身の荒い呼吸音だけ。

あまりにも不可解な現象に、次元獣はその場で呆然と立ち尽くした。


一方、ホテルの豪華な客室。


「うわあああぁぁぁっ!?」


虚空から飛び出した三人は、走っているポーズのまま、タケル、モンタ、ケンの三人は床にうつ向けで倒れる。


「いてて…」

「い、生きてる…?」

「た、助かった…?」


タケルが痛む頭を押さえながら、部屋の中で呟いた。


九死に一生を得た三人。だが、"次元獣"が消えたわけではない。


―――ズズズ、ズシンッ!!


「うぉっ、地震か!?」


突如、ホテルの建物全体を激しい震動が襲った。豪華なシャンデリアが不規則に揺れ、テーブルの上には三人がおみあげとして買ってきた物が次々と床に落ちていく。


「違う、これ……見て!」


ケンが青ざめた顔で窓の外を指差した。

三人が窓辺に駆け寄り、夜の闇が広がる森の方角へ目を向ける。

そこには、先ほどまで自分たちを追いかけて来た、あの“次元獣”の姿があった。


――だが…何かがおかしい。


「何か…デカくなってねーか?」


タケルが呆然と呟く。


漆黒の体表に紫のラインを走らせたあの怪物が、熱帯の巨木を見下ろすほどの巨大な影へと膨れ上がっていた。月明かりを背に受け、全長は約52メートルぐらいはあった。


「グオ"ォ"ォ"オ"ォ"ォ"オ"ォ"オ"ォ"オォ"ォ"ッ!!!」


咆哮一閃。その音圧だけでホテルの窓ガラスがビリビリと悲鳴を上げる。


「う、嘘…アイツ、さっきまであんなにデカくなかったよね!」


モンタが絶望的な声を上げた瞬間、部屋のドアの向こう側から「キャーッ!」「逃げろ!」「何だあれは!?」という、宿泊客たちのパニックに陥った叫び声が怒涛のように流れ込んできた。

平和だったリゾートは、一瞬にして地獄絵図へと変わろうとしていた。


「クソッ! ぐずぐずしてられねぇ! お前ら、秘密基地へ戻って『“ゾーン・マシーン”』を出撃させるぞ!」


タケルが踵を返し、再びブレスを操作しようとした。だが、ケンがその肩を強く掴んで引き止めた。


「待てよ、タケル! 基地に戻る必要はないよ!」

「あぁ!? 何言ってんだよ、マシーンに乗らなきゃあんなデカい奴に勝てるわけねーだろ!」

「そうじゃないんだ。僕の話を聞いて!」


ケンは自らのブレスをタケルに見せる。


「実はこの《ゾーンブレス》には〘遠隔システム〙が組み込まれているんだ」

「何…!」

「えっと…つまり?」

「つまり、僕たちがわざわざ基地にへ転送しなくても、この場所から直接マシーンを呼べる事が出来るんだ!」

「なにッ!?それならそうと早く言えよ! だったら、ここで指をくわえて見てる必要はねーよな!」


三人は一瞬だけ顔を見合わせた。言葉は要らなかった。その瞳には、恐怖を越えた使命感が宿っている。


「よし、愛先輩と翠さん、それにホテルの人たちに被害が出る前に場所を移すぞ! 場所は浜辺だ!」

「わかった!」

「了解!」


三人は同時にブレスのスイッチを押した。再び体が光に包まれ、次の瞬間――三人は月光に照らされた白い砂浜へと降り立っていた。そして振り向くと視界の先では観光客たちの人達が泊まっているホテルへと迫る巨大化した、"次元獣"の足音が、砂浜の地響きとなって伝わってくる。


「準備はいいね?」

「ああ!」

「もちろん!」

「よし、来い!ゾーン・マシーン!!」


三人は互いに頷き、ケンはブレスに向かって叫んだ。


そしてしばらくすると、三人が乗る、三機のマシーンたちがこちらへと向かってくる駆動音が、遠くから響き渡る。



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