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アラン様は走って行ってしまい、取り残された私。
その様子を見ていた令嬢が、
「クスクス。取り残されてますわ。カリーナ様には敵いませんものね」と扇子越しに話をしている声が聞こえた。
悲しさと残念さで走ってその場を後にした。
私もこの試合を観る必要はあるのだろうか。
私が応援してもしなくても、いてもいなくても変わらないな。
私は席には戻らず、そのまま屋敷に戻ることにした。
馬車に向かうと丁度アラン様とカリーナ様が話しているところだった。
令嬢たちが
「あの2人、よく話しているところ見かけますけど、2人とも婚約者いらっしゃいますよね…。禁断の恋かしら!」
「この前もカフェで2人を実は見かけましたわ!」
「そんな話を誰かに聞かれたらマズイですわ!」
コソコソ話している声が聞こえて去っていった。
皆知っていたんだ。
そうだよね。
2人はお似合い。
そんなこと知っている。
私はカリーナ様の代わりの婚約者。
代わりの婚約者は代わりの婚約者として弁えないと。
2人には気付かれないように馬車に乗って屋敷に戻った。
侍女に顔色が真っ青だと言われたが、疲れたので部屋で休むとのみ伝えた。
部屋に入りベッドに寝そべった。
泣くに泣かなくなってしまった。
わかっていたことだから。
長く一緒にいるようになってアラン様を好きになっていた。
私よりカリーナ様を優先することも仕方ないと思っていた。
アラン様はカリーナ様が好きだから。
第一王子の婚約者になってしまったから私が代わりになっただけ。
でも愛し愛される婚約者になりたかった。
私は努力が足りないのかな。
勉強も刺繍も私なりに努力した。
それでもカリーナ様には敵わない。
目を閉じると先程のアラン様とカリーナ様の姿が浮かんでしまう。
いつまで頑張ったらカリーナ様より私を優先してくれるのだろう。
そう思うことすら厚かましいのかもしれない。
疲れた。
ずっと同じことを考えて夜になっていった。
拙い文章を読んでいただきありがとうございます。




