⑫
ショックが大きかったからか、馬車の中でも泣くことなく帰宅した。
部屋でお兄さまの帰りを待っていた。
門が開く音がしたので急いで玄関に向かった。
少し疲れた様子のお兄さまに抱きついた。
「お兄さま、おかえりなさい。お待ちしておりました」
「レオナどうしたんだい?」
「少しお話をしたいのですが、夕食の後お兄さまのお部屋に行ってもいいかしら?」
「いいよ。待っているね」
お父さま以外の家族全員で食事をしてから私はお兄さまの部屋に向かった。
部屋をノックするとお兄さまが迎え入れてくれた。
「レオナが来るっていうから夜だけどちょっとだけチョコレートを用意したよ。食べながら話をしよう」
部屋のソファに向かい合わせで座り、テーブルにあるチョコレートに手を伸ばした。
「夜だから少し甘さの抑えたチョコレートにしたからね」
口に含んだら少し苦味があって、いつも食べているチョコレートの甘さではなかった。
「それでレオナ、何かあったのかい?」
お兄さまに聞かれて教室で見た光景をそのまま伝えた。
「それはレオナの思い過ごしじゃないのかい?この前レオナが学校を休んだ時もとても心配してレオナを探していたよ」
「それは婚約者としての義務なのではないかと思うのです。私はカリーナ様の代わりだから」
「アラン様には聞いてみたのかい?」
「そんなこと聞けないですよ。私のことはカリーナ様の代わりですか?なんて…」
「そうじゃなくて”わかってくれている”という言葉の意味だよ」
「立ち聞きしていたなんてアラン様に知られたら恥ずかしいですわ」
「でも聞かずにずっとモヤモヤする位ならちゃんと聞いて、それから考えればいいんじゃないか?」
聞くことが出来たらどれだけ楽か。
私のことを愛してくれますか?
カリーナ様の代わりなんですか?
黙ってしまった私を見て、お兄さまが探ってみると言ってくれた。
拙い文章を読んでくれてありがとうございます。




