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魔王とドールの地下生活⑦ 魔王によるDIY建築

お久しぶりです。

 「フズリナ……様……」


 ……やっぱりか。お前がダイニングに飛び込んできた時にマナが減少していたのは、間違いではなかったか。


 「空気中のマナの量が、減少……しています……」


 モグラを追うのにえっと、パワー増強モードだったか? そんなもん使うから……液体のマナを蒸発させておいてよかったな。


 「スリープモードに移行する必要はありませんが……しばらくは動けなくなり……ます……」


 高性能なんだか……。まあいい。そうだな……これを機に、あれを作ってみるとするか。失敗すれば、そこでやめにすればいいか。


 「あれ、とは……?」


 フフフ……貴様が休憩している間に完成させ、お前を仰天させてやろうぞ……。


 「……?」


 フフフ……ハーッハッハ! 魔王としての腕が鳴るわい!


 「……??」


魔王、移動中……


 俺は倉庫に移動し、室内農園を拡張したときに使った、ピッケルを手にした。

 室内農園へ行き、入って左の方の壁に向き合う。

 そしてピッケルを持ち上げ、周りのマナを腕とピッケルにまとわせる。俺のマナを操る力はマナを消費するものではないため、ドールの状態の悪化などは気にしなくてもよい。

 だから……存分に、力を発揮できる。

 目を瞑り、周りのマナの流れを感知する。

 マナは俺と不仲な存在。故に、それを感知するときには、不快感が生じる。しかし、所詮は俺の支配に背けぬ存在。人間よりもひ弱な存在ごときが、この魔王の操作には背けぬ。


 本来はドールにマナの感知を習得させ、これ・・を行いたかったが……。使いの健康管理すらできぬとあれば、ブラック企業と似たようなものだ。今回は、俺が行おう。


 ――――はあああぁぁぁぁ…………

 ぬぅんッ!!

 ガッ(ピッケルが壁に突き刺さる音)

 ドゴオッ(壁が粉砕される音)


 もう一丁!

 ガッ(ピッケルが壁に(略)

 ズゴオッ(略)


 ふううぅぅ…………。

 腕が外れそうだ……しかし、今の俺でも、この程度のことはできることが分かったな……。

 これで、縦2×横2×奥行4の通路と、4×4×4の正方形の部屋が出来上がった。本当はもう少し大きくしたいのだが、今の俺では、即席ではこの程度が限度か。またゆっくり広げるとしよう。


 さて、まずは掘った天井を支える柱が必要だな。室内農園は小規模な拡張だからよかったものの、こちらはこのままだと落盤しかねん。マナを感知したところ、地盤は丈夫ではあるが、念を入れるに越したことはない。

たしか倉庫に木材があったな。ドールに使えるか聞いてくるとしよう。


 魔王確認中……


 使っていいか?

 「いいですよ」


 と言うわけで、肩に木材を担ぎ、掘った場所に戻ってきた。先ほど少々無理をしたため腕の痙攣が心配だが、この程度の作業は造作もない。

 金槌と釘があるから、これで支柱を作り、部屋の四隅にたてる。さらにそれをほかの木材を使い、天井でつなげる。


 魔王によるDIY建築とは、人間どもは想像もしないだろうな、ハーッハッハッ!

 正直生まれて初めてこんな事したわい。

 金槌を持ち、釘をくわえ、地道に釘を木材にたたきつけるなど……傍から見たらただの建築士だろうなきっと。


 ともかく、わが魔王の力をもってすれば、こんなものの完成に大して時間は取らん。

 よーしよしよし、柱の固定と天井の隅の木材の設置も完了した。


 後は……この近くに感じた、水の水脈を掘り当て、この部屋に持ってくるだけだな。

 えっと……確か、この部屋の入口の正面の壁の方に、水脈を感じるな。


 その前に壁の手前の床に縦1×横1.5×深さ0.5の穴を掘り、その周りを、先ほど持ってきた木材(高さ15cm程度)で囲む。こんなものでいいだろう。


 それでは……もう一発、ぶちかましてやるか。

 今度はピッケルではなく、金槌だ。壁に向かって、金槌を構える。


 コオオオオオオ――――……

 セイッ!!

 ドゴオッ(壁に穴が開く音)


 ぐおおお……さすがに三発目となると負担がえげつないのう……。


 しかし、これで目的は果たした。

 この拳ほどの大きさの穴が水脈へ達し、まもなく先ほど掘った穴に注ぎ込まれることだろう。

 っと、もう来たな。穴を開ける場所を工夫したため、水の勢いはそれほど強くはない。それも、温泉の時に水が出てくるやつのような……(※湯口)


 そう! この魔王! 温泉を作っていたのだ!! フワーッハッハッハッハ――――!!

 フフフ、これならば、ドールも驚嘆の言葉を上げざるを得ないだろうな! ハッハッハ!!


 笑いが止まらん! 更にこれは体を癒すこともできる場所となる。労働で疲弊した体を癒すことの、なんと素晴らしいことか! どれ、仕上げが終わった暁には、この魔王も疲弊した肉体を、じっくり休めるとしようぞ!


 魔王仕上げ中……及び道具類片付け中……


 ドールよ!! 起きておるか!!?


 「わ、ご主人様。回復は完了しました。いかがされましたか?」


 ふっふっふ……聞いて驚くな! そうだ、今すぐついてこい! この魔王が自ら製作した素晴らしき建造物を、貴様の目にかけてやろうぞ!


 「かしこまりました」


 場所は室内農園を入ったところの左だ!


 「あれ、こんなところにドアなんてありましたっけ」


 そう! これこそがこの魔王が造りし建造物よ!


 「このドアがですか」


 ちがうそうじゃない。ドアの向こうだ。ドアもそうだが。

 さあドールよ! このドアを開け放ち、中にあるものを見て、とくと驚くが良い!


 「では、失礼します……これは」


 フフフフフ、ハハハハハ、フアーッハッハッハ!

 どうだドールよ! さぞ驚いたことだろう! そう、これは――


 「温泉、ですか」


 うむ! その通りだ!


 「ですが……」


 ……あれ、あんまり驚いてない?


 「機械人形に驚きと言う概念は存在しませんので」


 ええ……。あんなに頑張ったのに……。


 「ですが、これがあったのならば、ご主人様も少しは心を休めることができたかもしれません」


 む……あの骨主人のことか。いやはや、驚きと言う感情はないというのに、物思いにふけることはできるとは……。


 「……しかし、なぜ……いえ、どこから水を持ってきたのですか?」


 フフフフフフ……それこそ、マナを掌握することによって得られる力だ。

 俺はこの地脈のマナを読み、水脈を発見し、そこにつながる直線状の穴を開けたのだ。


 「最後のはともかく、それはすごいものですね」


 いずれ、これをお前が習得するのだ。

 これがあれば、水脈を探知するだけではなく、地盤の強度の探知、生物の探知なども可能になる。


 「生物の探知……害獣どもの抹消が、より現実になるわけですね」


 お前の思考回路マジでどうなっとるんだ。

 まあ、熱意があるのは大変結構だ。

 そうだ、レキシカボタニアの読み進め具合はどうなっている?


 「はい、かなり読みやすい書物でしたので、近いうちに全内容の把握と、最適化が終わるものと判断いたします」


 フハハ! それは重畳だ!

では、この魔王はしばらく休むとしよう! それまでお前は好きにしておくといい。


 「かしこまりました」


 ふああ……肉体の疲労か、疲れがどっとやってきたわい。どれ、机に突っ伏して、ひと眠りするかぁ……。


 魔王、睡眠中…………


 ハッ! ああ、寝ておったのか。かなり長く寝たような気がするな。あとなんか腕が痛いな……筋肉痛か。あれほど無理をしたのだから、まあ当然か。


 ふむ、そうだ……温泉で、一っ風呂浴びてくるとするか。温かい湯にゆっくりとつかれば、筋肉の痛みも少しは和らぐだろう。


 運のいいことに温かい水脈を掘り当てたが、そういえば、温かい水と言うことは近くに溶岩があるのかもしれんな。用心しておかねば。

 あと湯気が室内にたまりすぎるのは少し対処が必要かもしれんな。隣は室内農園だし、空調を整えておくことも懸念点として覚えておくか。


 よーし、では、俺が造りし温泉室に入るとするか。


 ガチャリ


 ふーむ、やはりかなり湯気がたまっておるな。前がもはやほとんど見えん。これはやはり空調を整える必要がある。

いやしかし、今はただ、温泉で体を休めるとしよう。


 俺は究極奥義<瞬間着脱>で衣類を一瞬で脱ぎ捨て、また一瞬でタオルを腰に巻き付けた。


 一番風呂は俺のものだ! ハッハッハッh


 「フズリナ、様……?」


 えっ!!?


 俺の魔の前では、胸と鼠径部を腕で隠した女が、上目遣いで俺を見ていた。


 「信じて……たのに……」


 なんっ……えっ……????


 め……がみ……?


 「そんなに、見たかったんですか……?」


 こんなセリフを、ドールは言えたのか――


 ハッ!! ドールか!!


 ハハハッ! フアーッハッハッハッ!!!


 こ、この魔王、一生の不覚――じゃない!


 いや、な! 俺はただただ、ここの空調を確認しに来ただけよ!! 貴様の気配が薄弱すぎて気が付かなかったわ! どれ、湯加減でも見直してくるかハハハハハ!!


 俺は振り返って走ってドアを開けて閉めて瞬間着脱して天井を見上げた。


 大きく胸を膨らませ、大きく息を吐きだした。


 叫びたい喉を必死に抑え、俺は一言だけ、しっかりと口にした。


 「なんで???」

また次回!

YASUDAさん感謝!!


2022/07/9 改訂しました。

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