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とある打ち切りにされた漫画「魔族ボクサー」

挿絵(By みてみん)

※「とあるハンサムな青年と湖の女神」登場キャラ

「うわ!?」


僕は足元に張られていた縄に

足を引っかけて無様に転んだ。


僕が倒れたのを見て

某魔族中学校の同級生が

笑いながら姿を現す。


「やーい! ひっかかってやんの!」


「ほんと、お前はグズだよな!」


同級生のヤジに

僕は痛みを堪えて立ち上がった。


「なな、なにをするんだよ!」


「あ!? なにお前、文句あんの!?」


「生意気だぞ!」


同級生の一人が殴り掛かってくる。

僕は慌てて逃げようとするも

恐怖に足が竦んで動けなかった。


僕は結局同級生に強かに

殴られて尻もちをついた。


「けっ、これに懲りたら俺たちに

逆らうんじゃねえぞ!」


同級生が唾を吐きながら去っていく。


僕は怒りと情けなさに

涙をボロボロとこぼしてしまう。


「うう、うううう・・・・」


その時、

泣いている僕にハンカチが差し出された。

ぽかんとその差し出した魔族を見る。

それは幼馴染の女の子だった。


「ほら、これで涙を拭いて」


「あ、ありがとう」


幼馴染からハンカチを受け取り涙を拭く。


顔をくしゃくしゃにする僕を見て

幼馴染がはあと溜息を吐いた。


「殴る方も悪いけど・・・

こんなことで泣くなんて情けないわ。

それでも魔族なの?」


「だって・・・だって・・・」


声を引きつらせる僕に

幼馴染がまた大きく溜息を吐く。


「君、小さい頃は四天王になって

魔王様の役に立つって言ってたよね」


「それは・・・」


「いまの見る限り、

それはとても無理そうね」


幼馴染が頭を振り去っていく。


僕はハンカチを返しそびれて

ただ呆然としていた。


彼女の言う通りだ。

この体たらくで四天王など

夢のまた夢。


雑魚キャラになれるかすら怪しいだろう。


「だけど・・・」


どうしようもない。

自分は弱い魔族なのだ。

悪いのは自分ではない。

弱い魔族として生まれることを決めた


――運命が悪いのだ。


「自身の運命を呪ったところで

何も変えることなどできんぞ」


胸中の呟きに

答えるようなその声に、

僕ははっとした。


いつの間にか目の前に

一人の老人がいる。


老人が眼光を尖らせて

僕に語り掛ける。


「悔しくはないのか?

あのように惨めになぶられ

お主は悔しくはないのか?」


一連の出来事を見ていただろう

その老人に僕はさっと顔を伏せた。


「そんなの・・・だって

しょうがないじゃないか」


「何がしょうがないと言うのか?」


「だってあいつらは

魔族として優秀な血統だし

僕なんて名前すらない種族で――」


「馬鹿者がぁあああああ!」


老人に殴られた。

殴られた頬を抑えながら

僕は涙ながらに抗議する。


「な、なにするんだよ、おじさん!」


「種族の違いなど些末なこと!

お主に足りぬのは血統ではない!

困難に立ち向かおうとする勇気じゃ!」


老人の言葉にはっとする。


呆然とする僕に、

老人が何かを差し出した。


それは――

ボクシンググローブだった。


「ワシとともに来い。

貴様を世界一の魔族にしてやる」


僕は決意を固めると

老人からボクシンググローブを受け取った。




=================================


それから過酷な日々が始まった。


老人から言い渡される練習メニューは容赦がなく

僕は毎日体をボロボロにされた。


「も、もうだめ・・・」


「この程度で音を上げてどうするか!」


「だって・・・死んじゃうよ」


「思い出せ! あの時の悔しさを!

お主は弱い自分と決別したはずじゃ!」


「うぐ・・・」


「さあ練習を続けるぞ!

お主の力はまだまだこんなものではないわ!」


「くそ・・・やってやる!

やってやるぞおおおおおお!」



――――

――――


その時の僕はまだ知らなかった。


弱いだけの僕に

恐ろしい力が眠っていることを。


そしてその力が――

僕に残酷な運命を定めてしまったことを。


僕はまだ知らない。




==================================


あれから五年後。


僕は四天王決定トーナメントの決勝戦の舞台に立っていた。


「お主ならやれる! さあ奴を倒して四天王になってこい!」


五年間世話になった老人。

三十年前の四天王のひとりで

怪我により泣く泣く前線を去った後、

自分の後継者をとなれる逸材を探していた

老人が、そう僕に発破をかけた。


「やっちまえ! お前なら絶対に勝てる!」


五年前に僕をいじめていた同級生。

今では無二の親友であり、

休日にはラウンド○ンで

ボウリングなんかを楽しむ仲となった

彼が、僕に力強い声援を送ってくれた。


「君の夢を・・・私の夢を叶えて!」


幼馴染の女の子。

今では交際を初めて

互いの両親とも顔合わせをして

結婚式の予約もしている。

もちろん彼女は妊娠中だ。


その彼女の声を聴いて

俺は瞳を尖らせた。


「やってやるさ! 僕は――

魔王の息子なんだからな!」


五年間に分かった真実。

僕は魔王の息子だった。

それにともない色々な苦悩があったが

どうにかそれらを乗り越えてきた。


そして僕は強くなった。


もう弱い頃の僕ではない。

僕は誰にも負けたりしない。


カーーーーーーーーーン!


戦いのゴングが鳴らされた。


僕は力強く駆け出して――

相手に向けて拳を突き出した!




俺たちの戦いはこれから始まる!




完!!!



打ち切り名物。最後に設定の詰込み


ブックマークと評価一件につき、10+2話書いてみたいと思います。

もう少し延長させてやろうという方、

よければブックマークと評価をいただけるとありがたいです。


ブックマークつけるか迷ったときはつけてみましょう。

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