バグ・フィックス3
さて、キャラクター・メイキングはできたし、セッションを通してという前提での “Primary” などの成功率も調整できたとします。現在の段階では、それらは確定していなくてもかまいません。ここを1回めに読んでいる方は、これからαテスト、それ以外の方はβテストやγテストを行なうからです。それらのテストについては、改めて紹介します。
さて、次に確認したいのが、世界観をどれほどシステムに持ち込むかです。もちろん、世界観を元に “Primary” などを抜き出したので、そっち方面では世界観は反映されているはずです。それに加えて、どこかに世界観を反映する/できる箇所はあるでしょうか?
あると言えばありますし、ないと言えばありません。
「ある」方向での一つの方法は、世界観に沿った、なんらかのパラメータを用意するという方法です。精神状態を表わすパラメータなんていうのは、有名な例でしょう。また、そのパラメータから、 “Basics” や “Primary” などでの判定になにか修正がかかるなんていうのもあります。ただ、この場合、判定そのものには世界観はそれほど強く影響していません。悪い言い方をすれば、汎用システムに取って着けたような実現方法です。
それに対し、判定そのものに世界観を反映するという方法もあります。オカルティックな雰囲気のTRPGであれば、判定にタロット・カードを用いるなんていうのもあります。山札からタロット・カードを当事者あるいはGMが引き、どっちのカードが強いかというような方法もありあす。あるいは、あるPC/NPCを表現する (あるいはランダムでもいいですが) タロット・カードを何枚か選んでおき、山札から引いたカードがそれらに該当すれば成功という方法も考えられます。
この方法の場合、普通にトランプを使ってもかまいません。ですが、雰囲気としてタロット・カードを用いるというのは、ありでしょう。
タロットに関しては、トランプを使ってもかまわないということからもわかるように、判定に世界観をそのまま持ち込む必要はありません。トランプを使えば、ダイスを使う場合とは成功の確率はすこし違ってきます。各回が独立事象である、ダイスを用いた場合との違いということです。しかしタロットを使っても、トランプとはさほど大きな違いはありません。要は、一枚引いたらすぐに山札に戻すのではなければ、山札の最初の状態と一枚引いた状態とは違っているということです。事後確率的に、それは明らかです。にもかかわらずトランプではなくタロットを使う理由はなにかあるでしょうか? 雰囲気以外には理由はないでしょう。もちろん、これはタロットをどう使うかにも依存する話ではありますが。たとえば、タロットを読み取り、その内容を判定結果に反映させるというような場合は、トランプとは異なってきます (トランプでそれができないというわけではありませんが)。
あるいは、プレイヤーに、PCの職業とかなんとかに応じた何枚か特別なカードを配っておき、それを使うことで判定をひっり返したり、成功の確率を高めたり、成功の度合を高めたり、成功を無条件に確定するなんていう方法もあります。
これはもちろん全体としての成功率に影響を与えますが、カードとして独立しているため、基本的な判定方法そのものには影響は与えません。ですから、これによって世界観を持ち込んだとしても、あくまで付加的に持ち込んだにすぎません。
ここで、判定には次のものがあることがわかります:
- 独立事象なもの
- 事後確率的に影響を受けるもの
- 解釈によるもの
どれを選ぶかは、正直なところ好き好きというところでしょう。TRPGを作る際には、成功率のバランスが取れているかを気にする必要があるのみで、どれを選んでもやることは同じです。
ところで、“Basics” や “Primary” など以外ものや方法として、世界観を判定方法に組み込む必要があるのでしょうか? 埋め込むとしてもどのように、またどの程度埋め込む必要があるのでしょうか? プロの意見としては、世界観を反映した判定方法にするのがいいという意見もあります。しかし、根本的な判定方法にそれを持ち込むのは、かなり難しいと言っていいでしょう。一皮剥けば、それはコレコレと同じという場合がほとんどです。TRPGを作る際には、「それは本当は一体なんなのか?」を意識していることが重要です。
たとえば、「事後確率的に影響を受けるもの」にしたいのに、「独立事象なもの」という考えでバランスを取ろうとしても、無理があります。もっとも、「事後確率的に影響を受けるもの」は成功率の見込みが難しかったりもしますので、近似として「独立事象なもの」として考えるという方法はあります。
難しいのは、「解釈によるもの」です。解釈によるのですから、単独の判定であっても、成功率の見込みは難しくなります。ここは思い来って、「独立事象なもの」として扱えるように、だいたいの確率は見込んでおくのがいいでしょう。この見込みは、とりあえず自分でテストしてみて得るしかないでしょう。あるいは、いっそ常に成功として想定しておくこともありかと思います。常に成功というのは無理があるということであれば、 60〜90% の成功率を見込んでおくという方法もあるでしょう。ここでは幅を持たせていますが、見込みの段階では、たとえば 83% のように固定で考えてください。余裕があれば、場合によっていくつかの具体的な成功率を使い分けるなんていう方法もありますが。
次回は、これに関連して例を挙げます。




