TRPG内でなにかを作ることについて
バグ・フィックスの話題に入ったばかりですが、ちょっと質問をいただいたので、今回はそちらについてにします。
いただいた質問ですが、要は、魔法であれ機械であれ、TRPG内で独自のものを制作するルールはどうしたらいいのかというようなものです。リストに載っている魔法や機器だけではなく、プレイヤーあるいはPC独自のものを作れるようにしたいというわけです。
それが可能か不可能かという話であれば、それは可能です。ただし、質問をいただいた方が想定しているらしい、「きっちり設計して」というものになると、TRPGの歴史を見ても多くはありません。私が知っている限りだと、片手の指で足りるくらいでしょうか。ではあっても存在するわけですので、可能ということになります。
一応これ関係のルールも組み込んだ経験はあります。きっちりというほどではないですが、「設計して」というものも、それほどでもという両方の経験があります。
ですが、「設計して」というものはかなり難易度が高い話ですし、そもそも説明も難しいので、まずは簡単な方を3つ紹介します。
1つめですが、それが魔法であれ機械であれ、これまでの説明というかなんというかからは、エンティティか、エンティティの集まったもののはずです。であるなら、そのエンティティだとか、それぞれのエンティティに、エフェクトがあるはずです。そのエフェクトの変更のしかたを決めるというものです。どれくらい変更するには、どれくらいの「なにか」がこれくらい必要というあたりを決めるのが定番でしょうか。あるいは弱くしたらその「なにか」がどれくらい増えるかというのもあります。
エンティティのエフェクトについて言えば、魔法にせよ機器にせよ、射程だとか効果範囲だとか威力とか速さだとかがあると思います。これまでのところでは1つのエンティティであっても、ここをルールにしようとするなら、それを分解して複数のエンティティの集りとして書き直してやったりという作業が必要かもしれません。
2つめですが、変更ではなく作る感じになります。この際には、エンティティやエンティティの集りのエフェクトの強さそのものに「なにか」がどれくらい必要というやりかたです。最初からエンティティやエンティティの集りや、それらのエフェクトを明確にできるなら、この方法もありかと思います。
3つめは、ある意味では単純で、それがなんであれPCやNPCと同列に近い決め方にしてしまうという方法もあります。キャラクター・シートならぬエンティティ・シートがあるという感じです。
これらの3つの方法は、そこそこ目にするものです。また、エフェクトが、それらをどう扱うかの基準だとか指標になるため、やりやすい方法でもあります。
ただ、この「エフェクトが、それらをどう扱うかの基準」とかになってしまうので、どういうエフェクトになるのかがわかってしまうというところが同時につまらなさに繋がる場合もあります。
それに対して、難しい方の方法です。こっちは、まず大型ロボを想像してみてください。そして、たとえば肩関節にいくつかの規格があると想像してみてください。規格が合えば接続はできますが、もしかしたら肩から先のパーツが充分な性能を発揮できないという条件があったりするかもしれません。
で、上の3つめの方法のように、エンティティ・シートのようなものがあると想定しますが、そのエンティティ・シートに記載するエンティティのインタフェースを決めるというのが難しい方の方法です。上の3つの方法では、たとえば威力と速さは相反するというような条件を付けたいとしたら、そういうルールを書いてやらなければなりません。そちらでは個別のルールでもいいのですが、こちらではそこのところを一般的なルールとしてうまく書けるなら、というかこの方法の場合だと一般的なルールとして書いてやらなければなりません。
「一般的なルール」とだけ書いてもわかりにくいかと思いますので、言いかえてみましょう。こちらの方法は、組合わせるエンティティ間のインタフェースを決めてやる必要があります。それで、まず肩関節の規格というような話をしたわけです。実際に組合わせるエンティティは肩と腕という場合もあるでしょうが、なんであれエンティティ同士と考えてもらうといいと思います。また、それを見易くするようなエンティティ・シートの用意も必要かもしれません。
この方法だと、上の3つとは違う面白さが入れることができる可能性があります。つまり、「チューニング」という要素が入って来るかもしれません。
まぁ、チューニングを楽しいと思えるなら、あるいはそう思えるくらい作り上げられるなら、こっちの方法を選ばない手はないのですが、単純にTRPGとして作る際の面倒臭さがかなり跳ね上がります。たとえるなら、二重のルールを用意するようなものですので。遊ぶ際にも、それだけ面倒になりますし。
この方法は、現物を見てもらうのがいだろうとは思いますが、さてどれを紹介したものか。というか、なろう的に紹介できるのかというのがあるので、こっそり返信だけさせていただきます。
補足的に書いておきますが、「ソフトウェア」とか「プログラム」についてもこれらと同じように扱ってやることで自前のものを作ってやることができます。「速さ」がハードウェアに依存するのか、アルゴリズムに依存するのか、処理対象のデータに依存するのかというかなり基本的な問題はありますが。
ですが、「ソフトウェア」とか「プログラム」については、いわゆる「シェル・スクリプト」くらいについては眺めてもらうのもありかなと思います。プレイヤーがちゃちゃっと「シェル・スクリプト風」のものを書いて、GMが確認したらOKとかも面白いだろうとは思います。サイバー・パンクものだったら、セッション中に即席でシェル・スクリプト風のものを書くとか、雰囲気もいいかなと思いますが。
もっともその場合、プレイヤー自身の知識が直接響いて来るので、ゲームとして妥当なものなのかはわかりませんが。
あぁ、このあたりに関係することがありまして、どの段階になるかはわかりませんが、触れてみたいと思います。
ともかく、プレイヤーとかPC独自の魔法とか機器を用意する方法にはこれらのようなものがあります。どの場合であれ、こうと決まったエフェクトに限定されなくなるため、バランス調整に手間がかかるようになることは想像に難くありません。




