表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
78/129

第七十六章:商人たちの結束

カフェに残ったセレスは、すぐに行動を開始した。

彼女の役目は、このカフェが商人たちにとって必要不可欠な場所であることを公に示すことだ。


しかし、ただ署名を集めるだけでは不十分だ。

カフェが商人たちにとってどれほど重要かを王国に理解させるには、もっと明確な形にする必要がある。


「証拠を作る……」

セレスはカウンターに肘をつきながら呟いた。


その時、店主が静かに言った。


「商人たちの取引を見える形にするんだ」


「見える形に……?」


「そうだ。王国がカフェの存在を無視できないようにするには、ただの証言ではなく、数字や影響力を示す方法が必要だ」


商人の協力を取り付ける


翌朝、セレスは行動に移した。

彼女が最初に向かったのは、カフェの常連である貿易商バートンの店だった。


バートンは王都を拠点とする有力な商人で、王国の貴族とも関係が深い。

彼の協力を得られれば、他の商人たちにも影響を与えることができる。


バートンの店の前に立つと、ちょうど彼が荷車の積み下ろしをしているところだった。


「お嬢ちゃん、こんな朝早くにどうした?」


「バートンさん、お願いがあるの」


セレスは真剣な表情で切り出した。


「カフェの存続のために、商人たちの支持を公にしたいの」


「……なるほど。で、具体的にどうするつもりだ?」


「カフェを利用している商人たちに、この店で交わされた取引の内容を公にしてもらいたいの」


バートンは眉をひそめた。


「取引の内容を公に……?」


「もちろん、細かい金額や企業秘密までは求めないよ。でも、このカフェが商人たちにとってどれほど大事な場所なのかを証明するために、取引が実際に行われたという証拠が必要なの」


バートンは腕を組みながら考え込んだ。


「確かに、カフェで取引の話をすることは多い。だが、それを公にするとなると、他の商人たちがどう思うか……」


「大丈夫! 取引の具体的な内容ではなく、“このカフェでどれだけの商談が行われたか”を示すだけでいいの」


「……ふむ」


バートンはしばらく沈黙した後、にやりと笑った。


「面白い。よし、協力してやろう」


「本当!?」


「俺だけじゃなく、取引仲間にも声をかけてみる。ここで商談をしたことがある奴らはたくさんいるからな」


セレスは安堵の表情を浮かべた。


「ありがとう、バートンさん!」


商人たちの集会


バートンの協力を得たことで、セレスはさらに動いた。

彼とつながりのある商人たちにも声をかけ、カフェの重要性を訴えた。


その結果、王都に拠点を置く十五人の商人たちが賛同してくれることになった。


「カフェで交わした商談をリストにまとめるぞ」

バートンが言うと、商人たちは次々に筆を取り、**「カフェで取引の話をした回数」や「ここで決まった商談の規模」**を書き込んでいった。


「俺の取引の三割はカフェで決まってるな」


「ここがなくなると不便になるな」


「ヴィクトールの思い通りにはさせんぞ」


セレスは彼らの熱意に胸を打たれた。

そして、このリストこそがカフェの存続を証明する強力な材料になると確信した。


「このリストを王国に届けるんだね」


「いや、それだけじゃ足りない」

バートンが続けた。


「直接、王城の前で商人たちが声を上げる場を作るべきだ」


「王城の前で……?」


「そうだ。書類だけではなく、王国の役人や貴族たちの目の前で、このカフェがどれほど重要かを訴えるんだ」


セレスはその案に驚いた。

だが、それが最も効果的な方法であることも理解した。


「……やってみよう!」


集会の準備


その日のうちに、商人たちの間で話は広まり、カフェ存続を求める集会が開かれることが決まった。


場所は王城前の広場。

王国の役人や貴族が頻繁に行き交う場所だ。


「王城の前で堂々と主張すれば、ヴィクトール侯爵も無視できなくなる」


「貴族たちも交易を支配しようとしているヴィクトールのやり方に疑問を持つかもしれん」


商人たちはそれぞれのつながりを活かし、他の交易関係者にも声をかけ始めた。

気がつけば、王都にいる三十人以上の商人たちがこの集会に参加する意思を示していた。


そして、セレスはその中心に立つことになった。


「……やるしかないね!」


彼女の目には、決意の光が宿っていた。


──カフェの存続をかけた、王都の商人たちの戦いが始まろうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ