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第二十章:選択と未来と俺

続きを読んでくださってありがとうございます!

勇者と魔王がどうしたらここからバイトに入るのかを予想できる方はきっといないかもしれません。

崩壊の寸前にある異世界と現代。扉の光はさらに強く輝き、全てを飲み込もうとしていた。リリスの冷笑、エリスの震える手、そして勇者と魔王の切迫した視線――すべてが俺に圧し掛かる。


「選べ……管理者よ!」

リリスが扉の前で笑みを浮かべる。その言葉には挑発だけでなく、どこか哀れみにも似た感情が混ざっているように感じられた。


「壊すか、救うか。その決断が、今、この瞬間に迫られている……!」


扉の光がさらに広がり、現代と異世界の景色が完全に混じり合い始めた。異世界の村には、俺がかつて働いていたオフィスのビルが突き刺さるように現れ、現代の街並みには、異世界の魔物たちが蠢いている。


「これが……融合……?」

俺の声は震えていた。


「そうよ。」

リリスが静かに頷く。

「二つの世界が完全に混ざり合えば、過去のルールや縛りなんてものはすべて消える。新しい世界が生まれるのよ。だけど――」


彼女は俺をじっと見つめる。


「その新しい世界がどんなものになるかは、管理者であるあなた次第。」


「――馬鹿げた話だ!」

魔王が低い声で言った。


勇者も力強く剣を掲げ、俺に向き直った。

「管理者さん。あなたにはこの世界を守る力がある。」


だが、俺は彼らの言葉を聞きながら、迷いを拭い去ることができなかった。現代も異世界もどちらも完全に壊れかけている。守るべきものが、もはや何なのかさえ分からなくなっていた。


その時、リリスがふと表情を曇らせた。いつもの冷酷な微笑みではなく、どこか寂しげな瞳で俺を見つめていた。


「あなたには分からないわ、管理者さん。」

彼女の声は小さく震えていた。

「私はずっとこの扉を見守ってきた。この扉が繋ぐ二つの世界がどちらも壊れていく様を見続けてきたのよ……。均衡なんて幻想だわ。この世界は救いようがない。」


「リリス……?」

エリスが驚きの声を上げる。


「お姉ちゃんだって分かってるでしょう? この扉が存在する限り、どちらの世界も完全に救うことなんてできない。それなら一度壊してしまった方がいい……!」


彼女の叫びには深い悲しみと絶望が滲んでいた。


俺は拳を握りしめた。リリスの言葉にも一理あることは分かっている。だが、俺はここまで来てこのカフェ、この村の人々の笑顔、そして現代での自分の過去を捨てることなんてできない。


「俺は……俺はこの世界を壊させない!」

俺は胸の中で強く脈打つルナグレープの力を感じながら叫んだ。


「リリス、壊して再構築なんて言うけどそれはただの逃げだろ! 壊れたものを修復するのは難しい。でも、それを放棄して全部リセットするのは、もっと簡単な選択なんだ!」


リリスの表情が微かに揺らぐ。


「だからこそ、俺は修復を選ぶ! この世界も、現代も――全部救う道を選ぶ!」


俺の決意に呼応するように、ルナグレープの力が爆発的に広がった。胸の奥から溢れ出る光が勇者と魔王の力をも巻き込み、一つの調和を生み出す。


「これが……管理者の力……!」

勇者が驚きの声を上げる。


「面白い……!」

魔王もその力を受け入れ、再び闇を解放する。


その瞬間、リリスが目を細め、静かに呟いた。

「本当に、その選択でいいのね?」


扉の光が暴走し、世界がさらに歪んでいく。俺たちはその中心で最後の戦いを迎えようとしていた。


「行くぞ!」

俺は勇者と魔王、そしてエリスの力を借り、扉に向かって一歩を踏み出した。だが、次の瞬間――扉の中から、新たな影が現れる。


それは見覚えのある顔。

「お前は……俺!?」


そこに現れたのは、俺自身――しかし、異世界でも現代でもない、全く新しい姿をした“もう一人の俺”だった。

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