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第九十八章:ルシアス特製アイテム

カフェ・アルカディアの祝宴は華やかな雰囲気に包まれていた。

新たに仲間になったミリア、エヴァン、エリオットの歓迎を祝うため、店主やセレス、ルシアスは豪華な料理と酒を用意していた。


「まさかこんなに盛大に歓迎されるとはな。」

エリオットはワインを一口飲みながら、カウンターに肘をつく。

「これだけ手厚くされると逆に気味が悪いぜ。」


「それだけお前達が大事な仲間だということだ。」

ルシアスはニヤリと笑いながらグラスを掲げた。

「せっかくの歓迎だ。遠慮なく楽しめ。」


「しっかり働いてもらう分、今くらいは気を緩めていいわよ。」

セレスも微笑む。


「なら、いただきまーす!」

ミリアは早速料理に手を伸ばし豪快に食べ始めた。

「んんっ!やっぱりこのカフェの料理は最高ね!」


「お前、もう馴染みすぎだろ。」

エヴァンは呆れながらもグラスを傾ける。


***


宴が進みひとしきり盛り上がった頃、ルシアスは突然立ち上がった。

彼の手には黒い箱が握られている。


「さて、お前たち新入り三人には、ここの従業員として持っておくべき“特別なアイテム”を渡そうと思う。」


「アイテム?」

エヴァンが静かに眉を上げる。


「なんだそれ?」

エリオットも興味深そうに箱を見つめた。


「このカフェはすでにただの店ではない。王都の情報と交易の中心になりつつある以上はある程度は危険が伴う。」

ルシアスは黒い箱を開き、そこに収められた三つのアイテムを取り出した。


「だからこそ、お前たちにもいざという時に自分を守るための力が必要になる。」


「まさか、戦えってこと?」

ミリアが口を尖らせる。


「いや、戦えとは言わん。ただ、何かあったときに逃げる手段や助けを呼ぶ手段は必要だろう。」

ルシアスは小さく笑った。


「なるほどな……それで、具体的にはどんなアイテムなんだ?」

エヴァンが関心を示した。


「まず、これだ。」

ルシアスは小さな銀の指輪を三つ取り出し、三人に手渡した。

ルシアスの説明をまとめるとこんな内容だった。


【緊急連絡の指輪】

•身につけた者が強い恐怖やストレスを感じたとき、自動的にルシアスとセレスに“緊急連絡”が届く。

•指輪の中央には、カフェ・アルカディアの紋章が刻まれている。

•危険な状況で意識を失っても、指輪が代わりに発動する仕様。


「おお、綺麗な指輪ね。」

ミリアは指にはめてみる。「これ、どうやって使うの?」


「使い方は簡単だ。」

ルシアスは説明する。

「お前が本当に“危険だ”と感じたとき、この指輪が反応する。」


「意識して発動させるわけじゃないのか?」

エヴァンが確認する。


「そういう余裕がない時にこそ必要だからな。」

ルシアスは頷く。

「意識を失ったり動けなくなった場合でも、指輪が勝手に反応して俺たちに知らせる。」


「なるほどね……それなら戦うことはできなくても助けを呼ぶことはできるってわけか。」

エリオットは指輪をはめながら納得した。


次に、ルシアスは小さな銀のペンダントを三つ取り出した。


【透明化ペンダント】

•1回だけ使用可能。発動すると10秒間、完全に透明になる。

•透明化している間は足音も消えるが、攻撃を受けると効果が切れる。

•一度使うと魔力が尽き、ただの装飾品に戻る。


「これが透明化ペンダントだ。」

ルシアスは一つずつ手渡した。


「透明になれるの!?」

ミリアは目を輝かせた。


「まあ、長くはもたないがな。」

ルシアスは肩をすくめる。

「発動すると10秒間、完全に姿を消せる。」


「10秒か……短いようで逃げるには十分かもしれんな。」

エヴァンが冷静に分析する。


「ただし、攻撃を受けると効果が切れる。つまり、戦闘用ではなく逃げるためのアイテムだと考えろ。」

ルシアスは釘を刺した。


「なるほどね。使いどころを間違えなければ便利そうだ。」

エリオットはペンダントを首にかけた。


最後にルシアスは琥珀色の石が埋め込まれた腕輪を三つ取り出した。


【自己回復の腕輪】

•致命傷を負った場合、自動で回復魔法が発動する。

•ただし、一度使うと効果が消え、再充填には時間がかかる。

•軽傷では発動しない。


「これは自己回復の腕輪だ。」

ルシアスは説明する。

「致命傷を負った場合、自動で回復魔法が発動する。」


「……それはありがたいが、致命傷限定か。」

エヴァンは腕輪を見つめながら言った。


「ちょっとした傷で発動してたらすぐに魔力が枯渇するからな。」

ルシアスは説明を続ける。

「あくまで“死にかけたとき”に発動する保険みたいなものだ。」


「なるほどな。」

エリオットは腕輪をつけながら、「料理中に手を切ったら発動する?」と冗談を言った。


「その程度じゃ発動しないし、エリは料理で怪我をする程度の料理人なのか?それならクビだな。」

と、ルシアスが呆れたように言った。


「これでお前たちもカフェの正式な一員だ。」

ルシアスは箱をテーブルに置いて改めて三人を見渡した。


「もしも何かあったときはこのアイテムを活用しろ。そうすれば俺たちがすぐに駆けつける。」

セレスが微笑む。


店主は静かにグラスを掲げた。「では——」


「カフェ・アルカディアの未来に、そして新たな仲間に乾杯!」


「乾杯!」


グラスが鳴り響き、笑い声が広がる。


こうして、カフェ・アルカディアはより強固なチームとなった——

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