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「春になる頃には」  作者: ともり。


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もう一回だけ

## 第八話


### もう一回だけ


気づけば、

季節は冬になっていた。


コンビニに入ると、

クリスマスソングが流れている。


イルミネーション。


手を繋ぐ恋人たち。


「今年もあと少しですね」


そんな言葉を聞くたび、

春斗はなんとなく一人を実感していた。


仕事は相変わらず忙しい。


でも、

春よりは少しだけ落ち着いていた。


年末休み前日。


大掃除を終えた帰り道。


冷たい空気の中を歩きながら、

春斗はふと思った。


——誰かと話したい。


嬉しかったこと。


疲れたこと。


くだらない話。


そういうものを、

誰かと共有したくなる夜があった。


家に帰る。


静かな部屋。


電気をつける。


冷蔵庫には、

コンビニ弁当とペットボトルのお茶。


春斗はソファに座り、

ぼんやりスマホを眺める。


そして。


消したはずのアプリを、

またインストールした。


自分でも少し笑ってしまう。


「結局戻ってくるんだな……」


登録を進めながら、

春斗は以前と少し違うことに気づいていた。


前は、

“嫌われないように”

ばかり考えていた。


でも今は。


無理して好かれるより、

自然に話せる人がいい。


そう思っていた。


プロフィールを書き直す。


趣味。


仕事。


休日の過ごし方。


最後に、

少し悩んで一文だけ付け加えた。


> 「一緒にいて、

> 落ち着ける関係が理想です。」


送信。


その夜。


スマホに通知が届く。


> 「マッチングしました。」


相手の名前は、

「結衣」。


プロフィール写真には、

どこか見覚えのある笑顔が写っていた。


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