フェードアウト
## 第五話
### フェードアウト
会った日から数日後。
春斗は、
スマホを見る回数が増えていた。
仕事中。
休憩時間。
エレベーター待ち。
通知が来ていないか確認してしまう。
でも。
美咲からの返信は、
少しずつ遅くなっていた。
前はすぐ返ってきたのに。
今は半日後。
時々、一日後。
春斗は、
理由を探してしまう。
仕事が忙しいだけ。
疲れてるだけ。
考えすぎだ。
そう思おうとする。
でも。
トーク画面を開くたび、
温度が下がっているのを感じた。
ある夜。
春斗は、
勇気を出して送った。
> 「またタイミング合えば、
> ご飯行きましょう笑」
送信。
既読。
返信なし。
春斗はスマホを伏せた。
でも数分後、
また開いてしまう。
既読はついたまま。
返信は来ない。
コンビニで買った弁当も、
半分くらい残した。
美味しく感じなかった。
深夜。
ようやく通知。
春斗は急いでスマホを開く。
> 「最近ちょっと仕事忙しくて…!」
短い文章。
でも、
どこか距離を感じた。
春斗は悩む。
ここで追ったら重いか。
でも終わりたくない。
何分も悩んで、
結局送った。
> 「無理しないでくださいね!」
送信。
既読。
返信なし。
数日後。
春斗はアプリを開いた。
美咲のプロフィールが消えていた。
退会したのか。
ブロックされたのか。
もうわからない。
春斗は静かにスマホを閉じる。
付き合っていたわけじゃない。
たった数週間、
やり取りしただけ。
それなのに。
思っていたより、
胸が痛かった。
静かな部屋に、
冷蔵庫の音だけが響いていた。




