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「春になる頃には」  作者: ともり。


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春が来る

## 第十三話


### 春が来る


待ち合わせ場所にいた結衣は、

高校時代より少し大人っぽくなっていた。


でも、

笑い方はあの頃のままだった。


「久しぶりだね」


「ほんとにね笑」


最初は少しぎこちなかった。


でも、

歩き始めて十分もしないうちに、

自然と会話が続いていた。


高校時代の先生の話。


文化祭の失敗談。


誰が結婚したとか。


「春斗くんって、

昔から人の話ちゃんと聞くよね」


そう言われて、

春斗は少し照れた。


結衣といると、

頑張らなくてよかった。


変に駆け引きもしなくていい。


沈黙があっても苦しくない。


それが、

今まで会った誰より楽だった。


昼過ぎ。


二人は川沿いを歩いていた。


まだ少し冷たい風。


でも、

冬の空気とは違った。


結衣が空を見上げる。


「もう春来るね」


春斗も空を見る。


夕焼けが、

ゆっくり街をオレンジ色に染めていた。


その瞬間。


春斗は思った。


——ああ、この人好きかもしれない。


でも同時に、

怖くもなった。


今の関係が、

心地良すぎた。


ここで気持ちを伝えて、

崩れるくらいなら。


このままの方がいいんじゃないか。


帰り道。


駅の改札前。


結衣が少し笑う。


> 「また会おうね」


春斗も笑って返した。


> 「うん、また」


でも。


その“また”の先にある関係を、

二人ともまだ言葉にできなかった。


恋人みたいに仲がいい。


でも、

恋人ではない。


その曖昧さが、

少しだけ苦しかった。


春の風が、

静かに二人の間を通り抜けていった。


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