やっと会える
## 第十二話
### やっと会える
一月の終わり。
春斗は、
相変わらず仕事に追われていた。
でも。
以前みたいに、
恋愛のことばかり考えることは減っていた。
期待しすぎると苦しい。
自然に終わる関係もある。
そうやって、
少しずつ諦めるのが上手くなっていた。
結衣とのやり取りも、
前ほど頻繁ではない。
終わったわけじゃない。
でも、
“なんとなく続いている”
そんな距離感だった。
春斗は、
今回も自然に終わるんだろうなと思っていた。
その日の夜。
仕事帰りのバスの中。
スマホが震える。
結衣からだった。
春斗はゆっくり通知を開く。
> 「春斗くん、
> 来週って空いてたりする?」
心臓が少し跳ねる。
続けて届く。
> 「ちゃんと会って話したい笑」
春斗は、
数秒動けなかった。
会えない時間が長かったせいで、
どこか勝手に終わった気になっていた。
でも。
終わっていなかった。
春斗は窓に映る自分を見る。
少し疲れた顔。
でも、
自然と口元が緩んでいた。
急いで返信を打つ。
> 「空いてるよ笑
> ぜひ!」
送信した瞬間、
高校生みたいだと思った。
数秒後。
> 「じゃあ土曜日!
> 昔話もしよ笑」
春斗はスマホを閉じ、
小さく息を吐いた。
外は寒い夜だった。
でも、
少しだけ世界が明るく見えた。
会える。
やっと会える。
それだけで、
こんなに嬉しいんだと、
春斗は久しぶりに思った。




