会えない時間
## 第十一話
### 会えない時間
「また帰ったら連絡するね!」
そのメッセージから、
三週間が過ぎていた。
最初の頃は、
普通にやり取りしていた。
「寒すぎる笑」
「おせち食べた?」
「親戚集まり疲れる〜」
そんな軽いやり取り。
でも。
少しずつ返信の間隔が空き始めた。
一日。
二日。
そしてまた返信。
春斗は、
気にしないようにしていた。
帰省中だし。
家族もいるだろうし。
忙しいだけ。
そう言い聞かせる。
でも。
夜になると、
スマホを見てしまう。
通知がないことを確認して、
また閉じる。
それを何回も繰り返していた。
仕事帰り。
コンビニで温かいカフェオレを買う。
家に帰る。
電気をつける。
静かだった。
春斗はふと、
元旦に着るはずだった服が、
まだハンガーに掛かったままなのを見つける。
急に、
胸の奥が空っぽになる。
会う約束をしただけ。
付き合ってるわけじゃない。
でも。
“会える予定だった人”
がいなくなるだけで、
こんなに寂しいんだと思った。
その夜。
結衣から久しぶりに返信が来た。
> 「ごめん〜!バタバタしてた」
春斗は少し安心した。
でも同時に、
以前みたいに素直に喜べない自分もいた。
スマホを握りながら、
考えてしまう。
——また、消えるんじゃないか。
——また、自然に終わるんじゃないか。
美咲の時みたいに。
期待すると苦しい。
だから、
期待しない方が楽だ。
そう思うのに。
通知が来るたび、
嬉しくなってしまう自分がいた。
春斗は短く返信を送る。
> 「お疲れさま。
> 無理しないでね」
送信。
既読はつかなかった。
窓の外では、
冬の風が静かに鳴っていた。




