↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
復讐に行ったら、超能力探偵に出会ってしまった話  作者: 小説書こう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
82/116

殺

遠くで響いた爆発音が、急速に近づいてくる。

龍牙の目が鋭く細められた。


「……来たぜ」


紫苑は静かに湯飲みを置き、ゆっくりと立ち上がる。カテリナの肩に手を置いたまま、彼女を自分の後ろへ庇うように移動した。

次の瞬間、重い鉄の扉が内側から激しく蹴破られた。


「カテリナァァァッ!!」


メロルスの怒声が部屋に響き渡る。後ろにはヒューゴがリボルバーを構え、そしてその隣に、リシアが静かに立っていた。

リシアの赤い瞳が、紫苑を捉える。


「……やっと会えたわね、天城紫苑」


「あら。SHLDの犬も連れてきたの」


紫苑は優雅に微笑む。


「歓迎するわ」


空気が凍りついた。


「龍牙」


紫苑が静かに命じる。


「お願い」


「ああ」


龍牙が巨体を起こす。床が軋む音がした。

メロルスとヒューゴが同時に動いた。


「行くぞ、メロルス!」


「ああ!」


二人は一直線に龍牙へと突入する。リシアは紫苑へ、無言で歩みを進めた。


龍牙の拳が、音速を超えて振り下ろされる。

メロルスが義手で受け止め、衝撃を逃がしながら横へ回転。その隙を突いてヒューゴが三発の弾丸を撃ち込む。肩、太もも、脇腹。すべてが命中し、肉を抉った。

だが、龍牙は笑った。


「効かねぇな」


傷口が、見る間に塞がっていく。記憶を燃料に、肉体が蘇る。


「チッ……!」


メロルスが歯を食いしばり、再び義手を振り上げる。龍牙の頭部を直撃させ、頭蓋骨を砕いた。次の瞬間、ヒューゴのリボルバーが至近距離からこめかみを撃ち抜く。

龍牙の体が崩れる。

しかし、すぐに立ち上がる。


「まだだ」


また再生する。また殺す。また蘇る。

何度目かの再生を目の当たりにしたとき、ヒューゴの目が鋭く光った。


「……わかった」


彼は低く呟く。


「アイツを殺し続ける状況を作ればいいんだよ……!」


メロルスが即座に理解した。二人の息が合う。

メロルスが低く構え、龍牙の足を狙って義手を振り抜く。衝撃でバランスを崩した巨体が、片膝をつく。その瞬間、ヒューゴが義手からフックを射出。ワイヤーが龍牙の首に絡みつき、強く引き絞られた。


「ぐ……っ!」


龍牙の顔が紅潮する。メロルスが背後に回り、両足を義手でがっちりと固定した。


「動くなよ、再生野郎」


ワイヤーがさらに締まる。ヒューゴは義手のフックの出力を最大まで上げ、容赦なく首を締め上げ続けた。


(……まずい)


龍牙の脳裏に、初めて焦りの色が浮かぶ。

再生を繰り返せば繰り返すほど、記憶が削れていく。このままでは燃料が尽きる。

彼は首の骨を操作した。骨を鋭く変形させ、ワイヤーを断ち切るつもりだった。だが、ワイヤーはNISIKI製の特殊繊維。簡単には切れない。


「……っ、くそっ……!」


焦りが、さらに深くなる。

龍牙は懐へ手を伸ばした。以前、入手していたデッドリートライアルの薬剤。これで一発逆転を狙おうてしていた。

注射器の針が、太い首筋に刺さる。

薬液が流れ込む。

だが――。


「……あ?」


副作用が、即座に襲ってきた。

筋肉が異常収縮し、内臓が焼け付くような激痛が全身を駆け巡る。

だが自身の肉体になんの能力も身についた体感はなかった。

それは"ハズレの薬剤"だった。

肉体へのダメージで記憶が、一気に消費されていく。


「が……あっ……!」


龍牙の巨体が大きく揺れ、やがて力なく床へ崩れ落ちた。

意識が、闇に落ちる。

メロルスが荒い息を吐きながら、義手を解除する。


「……やったのか?」


「ああ」


ヒューゴがワイヤーを巻き取りながら答える。


「記憶を食いきったらしい」


二人は顔を見合わせ、安堵の息を吐いた。


一方、部屋の反対側。

紫苑とリシアが、静かに対峙していた。


「あなた、龍牙のためにどれだけの人を壊してきたの?」


リシアの声は冷たい。


「数え切れないわね」


紫苑は微笑む。


「でも、後悔はしていない」


リシアのナイフが、銀色に光った。


「なら、ここで終わらせる」


二人の影が、ここに交差する。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。