3日後、ホテルで!!
僕の好きな小説はロボットの夢の都市でーす
1日後。
無事に日本へ到着したヒューゴたちは、東京の格式あるホテルを拠点として、さっそく標的の調査を開始していた。
……とはいえ、その緊張感は早くも霧散しかけている。
「うめ…うめ…」
ヒューゴは串に刺さった出来立てのたこ焼きを熱そうに頬張っていた。
「仕事しろ」
その様子を横目で見ていたメロルスが、心底呆れたような声を出す。
「してるしてる」
「どこがだ。どう見ても食い倒れツアー中だろ」
「失礼な。さっき、たこ焼き屋のおっちゃんに綿密な聞き込みをしたところだ」
「それ、聞き込みじゃなくてただの雑談だろ」
「バカ言うな、日本の景気に関する有益な情報をだな――」
「ただの観光客トークだ」
メロルスの容赦ない言葉が突き刺さる。
その横では、カテリナがスマートフォンを片手に大興奮していた。
「見てくださいい!」
「なんだ、騒々しい」
「神社ですう!」
「……だからなんだ」
「鳥居ですう!」
「見れば分かるって」
「本物ですう!」
「お前、今まで写真で見たことなかったのか?」
「ありますう!」
「じゃあなんでそんなに驚いてんだよ」
「本物だからですよう!」
完全に理屈が崩壊していたが、彼女の純粋な瞳には、異国の伝統建築がよほど輝いて見えているらしかった。
そんな喧騒から少し離れたホテルのデスクで、リシアだけは黙々と端末を操作している。この中で唯一、まともに仕事を遂行しているのは彼女だけだった。
「ヒューゴ」
「ん?」
リシアがデスクから顔を上げ、端末の画面をヒューゴに向けた。彼女の声はいつも通り冷静だが、どこか鋭い。
「これを見て。巌巌会が関わっていた施設がいくつかヒットした。表向きは慈善事業や教育支援の名目だけど、裏の繋がりが濃厚みたい」
画面には、学校、閉鎖された病院、そして水族館の情報が並んでいた。どれも関係なさそうだが巌巌会の紋章が微かに残る写真や、関係者の名前がちらほら出てくる。
「学校、廃病院、水族館……それぞれ調査する価値ありそうね」
ヒューゴはたこ焼きの串をくわえたまま頷いた。
「了解。じゃあ分担しようぜ。俺は学校だ。楽しそうだし」
メロルスがため息をつきながら地図アプリを立ち上げる。
「俺とカテリナは廃病院かな。カテリナ、怖がるなよ」
「わ、私、平気ですう! メロルスさんと一緒なら……!」
カテリナが少し震えながらも目を輝かせる。
リシアは静かに自分の担当を告げた。
「私は水族館。海辺に近いみたい。データが一番新しいから、残ってる痕跡も多そう」
分担が決まったところで、ホテル内のラウンジは少しだけ緊張感を取り戻した。しかし、出発の準備を始める段になると、ヒューゴが自然にリシアの腰を引き寄せた。
「ちょっと待てよ、リシア」
二人は他の二人から少し離れた窓際で向き合う。ヒューゴはリシアの背中に腕を回し、額を軽くくっつけた。低い声で、まるで世界に二人しかいないかのように囁く。
「気をつけろよ。危なそうだったらすぐ連絡しろ。……愛してる。お前がいないと俺、張り合いねぇんだ」
リシアもヒューゴの胸に顔を埋め、指先で彼のシャツを軽く握る。普段のクールな表情が溶けたような、甘い微笑みを浮かべた。
「あなたこそ。無茶はしないで。……私も、愛してるわ。帰ってきたら、ゆっくり二人で過ごしましょう」
二人はそのまま、ゆっくりと抱き合い、唇を軽く重ねる寸前まで顔を近づけた。甘い空気が周囲を包む。
その様子を、ソファから遠巻きに見ていたメロルスが、盛大に顔をしかめた。
「……は? お前らマジかよ。仕事の前にラブシーン? 」
と毒を吐くような口調でまくし立てるメロルスだったが、声が完全に空回りしている。カテリナは両手で頰を押さえ、
「ひゃああ……また大人の空気ですう……! メロルスさん、顔赤いですよう!」
とさらに火に油を注ぐ。
ヒューゴはリシアの肩を抱いたまま、ニヤニヤしながら振り返った。
「嫉妬か? メロルス」
「誰が嫉妬するかボケ! さっさと行け、調査だ調査!」
結局、ヒューゴとリシアはもう一度軽く抱き合って「行ってくる」と囁き合い、別行動を取った。メロルスは頭を抱えながらカテリナの袖を引っ張り、廃病院へと向かう。
「ったく……あいつら、いつになったら自重すんだか……」
そうぼやきながらも、メロルスの視線は時折、カテリナの横顔に優しく落ちていた。
四人はそれぞれの場所へ散った。日本での調査が、本格的に始まる。
ラッブラーブにしーてやんよー




