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NTR報復に行ったら、能力者探偵と出会った  作者: 小説書こう


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フラグ回収はコーヒーの後に その四

深夜の高速道路を音速の如く駆け抜け、二人はついにNISIKI中央工場へと辿り着いた。

しかし、そこはすでに「工場」と呼べる状態ではなかった。崩落した外壁、ねじ曲がった鉄骨、闇夜を不気味に照らす赤黒い炎。煙が立ち込める敷地内では、不規則な金属音と駆動音が絶え間なく響いていた。

バイクを急停車させ、ヒューゴとメロルスはヘルメットを脱ぎ捨てた。


「おいおい、冗談だろ……」


メロルスが声を震わせる。彼らの視線の先、数頭の巨大な鋼鉄の獣――暴走した『ウォーカー』が、狂ったように周囲を破壊し続けていた。


「おい、メロルス! 上だ!」


ヒューゴの鋭い声に顔を上げると、工場の屋根を突き破り、異形の存在が姿を現した。

純白の装甲に包まれた四足歩行のシルエット。背中からは禍々しい光の翼が揺らめいている。

――セラフィム・サードケンタウラ。


「あれが、百億の獲物か」


ヒューゴは唇の端を歪め、腰のリボルバーに手をかけた。その瞳はすでに、敷地内に残っていた監視カメラの映像を捉えていた。


「笑ってる場合か! 完全にこっちに気づいて――うわあああ!?」


メロルスの悲鳴と同時に、数体のWALKERが突進してきた。上空のセラフィムも駆動音を高める。


「メロルス、下がってろ!」


戦闘の火蓋が切られた瞬間、ヒューゴの姿が一瞬でかき消えた。

次の瞬間、彼は工場の壁際に設置された監視カメラが映す死角から出現し、WALKERの側面に強烈な蹴りを叩き込んでいた。鋼鉄の巨体が大きくよろめく。


「相変わらずズルい能力だな……!」


メロルスが義手の拳を握りしめながら毒づく。嫉妬の混じった声だった。自分は義手の性能と経験で戦うしかないというのに、ヒューゴは視界さえあればどこへでも飛び移れる。戦いが始まるたびに、この差を痛感させられる。


「文句言ってる暇あったら動けよ!」


ヒューゴは笑いながら再び監視カメラの死角へワープ。セラフィムの攻撃を回避しつつ、背後からアンカーを射出してWALKERの脚部を絡め取った。


「せーのっ、と!」


巻き上げ機構を強引に作動させ、巨体を崩す。そこへワイヤーの反動を利用した高速接近から、左手のリボルバーを至近距離で連射。火花が夜空に舞う。


「おいメロルス!このアンカーの巻き戻しどうやるんだっけ!」


「説明書読んどけって何度も言ってるだろ!右手首セーフティ二回ノック!」


メロルスは苛立ちをぶつけるように両腕の戦闘義手を激しく打ち鳴らし、大振りのフックで別のWALKERの顔面を殴り飛ばした。格闘センスは皆無だが、義手の馬力だけで鉄塊をねじ伏せる。


「くそっ……あいつはカメラがあれば無限にワープで

きるってのに、俺はただの力任せかよ……!」


メロルスが小さくぼやく。その視線の先で、ヒューゴは再び監視カメラ経由でワープし、セラフィムサードケンタウラの死角に滑り込んでいた。

その様子を、ボロボロの白衣を着た東堂が離れた場所から目を見開いて見つめていた。


ヒューゴは不敵に笑いながら、不慣れな漆黒の義手を白い怪物へと向けた。


「おいヒューゴ、ぶっ壊しても百億から修理費出すからな!」


「おう、お前の取り分から引いとくわ!」


「なんでだよ!」


絶望的な戦場のはずが、二人のいつもの掛け合いで妙に締まらない。しかしヒューゴの視線は一瞬も白い怪物から外れず、メロルスも苛立ちをバネに義手を全力で振り回していた。

乱戦の熱気が、さらに跳ね上がる。

二メートル級の巨体を誇るウォーカーが地響きを立て、メロルスへと突進してきた。重戦車のような質量が迫る中、メロルスは「クソが!」と悪態をつきながら、火花を散らす両腕の戦闘義手を正面から突き出した。

ガギィィィィン!!

金属同士が激突する凄まじい衝撃波が周囲の瓦礫を吹き飛ばす。メロルスの足元のアスファルトがベキベキと割れ、義手の内部モーターが過負荷の悲鳴を上げた。


「ただの力任せで十分なんだよ、おらぁ!」


格闘の型などない。メロルスは野生の戦い方でウォーカーの太い腕を強引に掴むと、義手の出力を最大まで解放。そのまま自慢の超馬力で巨体を持ち上げ、工場の崩れた壁へと叩きつけた。

一方、上空から降下してきたセラフィム・サードケンタウラは、その真の姿を現していた。

四脚で大地を駆ける鋼鉄のケンタウロス。その下半身の上に鎮座するのは、あまりにも神々しく、しかし冷徹な美しさを湛えた女神の上半身。その異様かつ洗練された白い機体は、戦場にあってなお神聖な光を放っている。

だが、その右腕に装着された巨大なクロスボウがギチギチと音を立てて絞られると、放たれたのは神罰のような破壊の光弾だった。

ドガァァァン!!

着弾した地面が一瞬で消し飛ぶ。


「おいおい、あんなの直撃したら百億ごと灰になっちまうぞ!」


ヒューゴは間一髪、敷地内の隅に残った監視カメラの視界に滑り込み、その赤外線レンズを経由してセラフィムの真横へとワープした。

空中に出現したヒューゴは、漆黒の右腕を突き出す。


「これでも喰らいな!」


手首のセーフティを素早く操作し、強靭なアンカーを射出。アンカーは鋭い金属音を立ててセラフィムの白い装甲の隙間にガチリと噛み合った。

しかし、セラフィムは微動だにしない。四本の脚で強固に大地を踏み締めると、右腕のクロスボウをヒューゴに向けて再び引き絞った。


「チッ、重てぇな!」


ヒューゴはワイヤーを巻き戻す反動を利用して空中で強引に軌道を修正。光弾がそのすぐ下を掠め、背後の鉄骨をドロドロに融解させる。まだ義手になって二、三ヶ月の感覚は完全に馴染んでおらず、冷や汗が背中を伝う。


「メロルス! そっちは片付いたか!」


「うるさい、今やってる!」


メロルスは迫り来るWALKERの追撃を紙一重でかわしながら、その強靭な金属の指先で敵の頭部センサーを無理やり引きちぎろうと躍起になっていた。

二人の賞金稼ぎによる命がけの乱闘は、さらに激しさを増していく。

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